皮膚を荒らさないためには、常在菌を維持する事が大切、というお話。
常在菌によるバリアをキープする
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尿素クリーム、その他の各種クリーム、各種化粧品、石鹸、シャンプーをやめておく
これが大切です。
<常在菌がなぜ大切なのか?>
詳しい説明を、湿潤療法を作り上げた「夏井 睦」先生がしてくださっています。
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〜〜以下、引用〜〜
常在細菌群の生息にとって絶対に必要な細菌はPropionibacterium属である。なぜならこれらの細菌は皮脂を一番最初に分解し,他の常在菌へ皮脂分解産物の提供をするからだ。だから、Propionibacterium属がいなければ,他の皮膚常在菌は飢餓状態になり増殖を停止してしまい、皮膚は正常な機能を失ってしまう。
一方、Propionibacteriumは好気性状態では増殖が著しく抑制され,特にP.acnesとP.granulosumに至っては増殖は完全にストップしてしまう細菌である。つまり、皮膚の健常な状態を維持するのはPropionibacterium属が絶対的に必要で、この細菌の生存を維持するためには皮膚表面の「嫌気性状態を維持するワックスのバリア」は絶対に必要ということになる。
もちろん,皮脂成分にも一部,界面活性作用を持つ物質が含まれているが,それらは脂質融解作用が弱く,嫌気性環境を破壊しない(界面活性剤には洗浄効果が強いもの,洗浄効果は弱いが発泡作用の強いものなど,さまざまな種類のものがある)。要するに、皮脂は嫌気性菌のPropionibacterium属の栄養源であると同時に、空気に常に晒されている皮膚に嫌気性環境を作ってこの細菌群の住処を作るという機能も持っているのである。
「皮膚の嫌気性環境を破壊してはいけない」ということを大前提にして考えれば,尿素クリーム,その他の各種クリーム,各種化粧品,石鹸,シャンプーの使用の是非は極めてクリアカットに説明できるようになる。
これらの物質はすべて界面活性剤を含んでいるが,その成分は合成洗剤と同じで脂質融解能力(=洗浄能力)が高い(というか,そもそも脂質を溶かす能力が強いからこそ、化粧品や石鹸やシャンプーの界面活性剤として選ばれたのだ)。つまり、強い脂質融解作用を持つという点では,尿素クリームも化粧品も弱酸性石鹸もベビー石鹸も五十歩百歩,大同小異なのである。もちろん、上記のいずれもが皮膚常在菌に必要な嫌気性環境を破壊してPropionibacteriumが棲めない状態にし,その結果,外来菌(その一部が病原菌だ)が皮膚で増えられる環境を作ってしまう。要するに、含まれている界面活性剤が洗浄能力が高いものである限り、「皮膚によい」と言うことは理論的にあり得ないのだ。
シャンプーで頭皮をよく洗い,石鹸で体を丹念に洗うと嫌気性常在菌を守るワックスまで洗い流されて好気性の皮膚となり,常在菌が生息できなくなって外来菌(雑菌と呼んでもいい)だけが増える。だから頭の臭いや体臭がきつくなるのだろう。また、皮脂を強制的に洗い流すために,頭皮はそれに対応するためにさらに皮脂を分泌し,その結果として頭皮は油っぽくなるのだろう。角質表層がシャンプーで傷ついてしまうために皮膚のターンオーバーが異常になり,それがフケになるのだろう。
〜以上、引用〜