コレステロールや動脈硬化

動脈硬化の因果関係、コレステロールの冤罪(えんざい)

 

よくある動脈硬化の誤解。動脈硬化の真の因果関係。

 

で、サラッと書きましたが、今回はそれのフル版。

 

 

なお、この「冤罪」部分は

2016年の神戸講演でもお話しています。

 

 

 

 

 

よくある誤解。 

「LDLが高いから血管が詰まる」というもの。 

 

図で書くと下記の誤解がある。

 

 

これは

「高いLDLの人」

「血管が詰まる」

というのが相関がある、というのが実際の所。

 

 

 関係性がある、

というだけで上記のような

因果関係ではない

 

 繰り返す、

上記のような因果関係ではない。

 

 

LDLを高い人を追跡したら、血管が詰まった。 

だから、LDLが血管を詰まる「原因」だ。 

これが典型的な統計の「誤」解釈。 

 

関係性がある、という事を

そのまま原因と結果と間違えてしまう。

 

 

 

これが間違いというのはよく火事と消防士に例えられる。

 

 「火事の現場を調べると、消防士がいる確率が高かった」

 ↓ 

「火事は消防士が起こしている」

 

 コレである。

 

相関性は因果関係では無い。

現場にいるために犯人扱いされてしまう。

 

実際はご存知にように

消防士は火事を消そうとしているのである。

 

 

まさに、

冤罪(えんざい)

である。

 

 

 

コレステロールはまさにコレ。

 

 

 

実際には

血管の壁にくっついて

血管の壁の傷を治している

のがコレステロール

 

 

単に血管を塞いでいるわけではない。

 

 

 

 

コレステロールの吸収を減らすだけ、

コレステロールを作るのを止めるだけ、

というのは、

動脈硬化が治るのも止めている事になる。

 

 

もちろん、高度の動脈硬化の場合には

コレステロールがいっぱいの状態では

炎症が起きまくっており、

どんどん身体は治そうと思って

コレステロールを作る。

 

 

そして、それが血管の壁にくっつく。

 

 

(プラークの破綻の話は、今回はスキップ)

 

 

で、

「すんごい炎症」

「どんどん肝臓でコレステロール合成」

「傷つきまくった血管にくっつく(傷を治そうとする)」

となる訳だが、

 

どんどん血管の壁にコレステロールがくっつけば

そのうちに血管は詰まってしまう。

 

 

 

これを防ぐためには

「強めの抗血栓薬」

と同時に

「血管の傷自体を治す対策」

が必要。

 

 

図で言えば、コレ。

 

 

 

「強めの抗血栓薬」

「コレステロールを下げる薬」

を使っていても

血管が詰まる(心筋梗塞や脳梗塞を起こす)という人がいる

のは

「血管の傷自体を治す対策」、

「炎症の大本をなくす対策」

全くされていない

ため。

 

 

そう、

原因放置

なのである。

 

 

 

薬で押さえつけているだけ

大元の原因がそのままでは

そのうちいつか無理が来る、

溜まりに溜まったツケを払う時が来るのは

至極当然の流れである。

 

 

 

 


いう事で、

血管傷つきまくっている人は

「強め」の抗血栓薬が必要になる事が多い。

 

強めの抗血栓薬無しでは、

血管が詰まる事がある。

 

 

以上、コレステロールの冤罪(えんざい)について。

ABOUT ME
医師水野
内科医。2003年に医師免許取得(医籍登録)。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 その後、糖質オフやビタミン・ミネラルなどの情報をブログ、Facebook、YouTubeなどで発信。 監修本「糖質オフ大全科 (主婦の友社)」が中国でミリオンセラーに。 著書は「糖尿病の真実~なぜ患者は増え続けるのか~ (光文社新書)」「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法(エクスナレッジ)」「薬に頼らず血糖値を下げる方法(アチーブメント出版)」、など。