癌、ビタミン・ケトン療法

癌にかかってる間の鉄投与は?-3/3

【癌にかかってる間の鉄投与は?】-3/3
・鉄不足があると糖質を摂りたくなる→糖質で癌が悪化
・癌(特に腺癌)の人の多くは鉄不足の状態
という事なので、「癌になったら鉄を摂るべき?」と考えるかもしれません。

ですが、そう単純にいかない理由があります。その結果、多くの場合で、癌に〝既に〟なっている状態では、鉄投与が出来ません。大きな理由は3つ。

理由 3:免疫低下のリスク
鉄の投与によって、免疫がかえって低下する場合があります。異化亢進状態で鉄を摂っても、ゴミ扱いされて処理されてしまい、免疫系の処理能力も奪ってしまう、という事です。

体内には処理しきれない栄養などを「ゴミ」として、免疫系(白血球)が処理する、というシステムがあります。これを網内系(=細網内系)による処理、と言います。網内系の細胞は、具体的には単球やマクロファージの事を指します。

身体を分解してエネルギーを作る状態の「異化状態」では、鉄を投与してもヘムに合成するという「同化」作用が起きづらくなっています。すると、鉄が余る事になります。この余った鉄は、上記の網内系によって「ゴミ」扱いされて処理される事になります

すると、その鉄処理の分だけ、そちらに免疫が動員されてしまう、という事になります。それによって癌に対抗するハズだった分の免疫能が減ってしまう、という事になります。

このように、癌に〝既に〟かかっている状態の鉄投与は、間違った鉄の「常識」に囚われていない熟練の医師の元で、かつ、「限られた条件」でしか行えません。ただし、その「限られた条件」下であれば、鉄の投与が癌の改善に役立ちます。

ABOUT ME
医師水野
内科医。2003年に医師免許取得(医籍登録)。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 その後、糖質オフやビタミン・ミネラルなどの情報をブログ、Facebook、YouTubeなどで発信。 監修本「糖質オフ大全科 (主婦の友社)」が中国でミリオンセラーに。 著書は「糖尿病の真実~なぜ患者は増え続けるのか~ (光文社新書)」「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法(エクスナレッジ)」「薬に頼らず血糖値を下げる方法(アチーブメント出版)」、など。