今回は、2016年6月5日に行った神戸講演会のご紹介。
後半の「糖質」と「健康」についてです。
なお、前半についてはコチラ。
4部構成
神戸講演会は導入も合わせると4部構成になっています。
0.導入編
1.コレステロール
2.糖質
3.健康
上記のように、この記事では、
2.糖質
3.健康
を取り上げます。
神戸講演会、第2部「糖質」
では、イキナリ動画をどうぞ。
第2部「糖質」の内容
それでは、第2部、糖質について、です。
糖質で一番直接的に問題となるのは糖尿病です。
その糖尿病の治療は、今までは
・カロリーオフ
・インスリン治療
でした。
カロリーを抑えて、インスリン自体やインスリンを出す薬で血糖値を下げる治療でした。
これからの糖尿病の治療はどういったものになってくるでしょうか?
糖尿病に対しては、今まで「カロリーオフ」というアプローチがなされてきました。
このカロリーオフという考えの元は、「何を食べても血糖値が上がる」という当時の考えです。
当時はこれが、医学的事実として信じられていました。
カロリー制限は「何を食べても血糖値が上がる」と間違って信じられていた時代の考え方。
その後、何を食べても血糖値が上がるのではなく、「糖質だけが血糖値を直接的に上げる」という事が分かりました。
であるとするならば、話は簡単です。
血糖値を上げる糖質を食べなければ血糖値は上がらない、という事です。
血糖値を直接的に上げる「糖質」を食べなければ血糖値は上がらない
つまり、これからの治療の一つ目のカギは、カロリーオフではなく、「糖質オフ」です。
今後の薬
さて、薬はどうだったでしょうか?
今まではインスリン治療でした。
インスリン自体やインスリンを出す薬を使って血糖値を下げる、という治療です。
このインスリンというものはどういうモノでしょうか?
医学的知識のある方ならある程度はインスリンが危険というのを知っているかと思います。
それは、低血糖という事です。
インスリンの注射やSU剤などで低血糖になった人は日本全国にたくさんいらっしゃいます。
意識不明になって倒れたり、救急車で運ばれたりします。
私が往診に行っている(注:2016年当時)高齢者施設でも以前は年に何件も低血糖で救急搬送されていたそうです。
やはりインスリンやSU剤のため、低血糖になっていました。
そして、私の家族もSU剤による低血糖で救急搬送された事があります。
これが多くの人が知っているインスリンの「急性リスク」です。
低血糖で倒れる、死んでしまう。
では、インスリンの「慢性リスク」というのは皆さん、ご存知でしょうか?
これはあまり知られていません。(なぜなら、この時=2016年7月3日、水野が世界で初めて提唱したため)
インスリンの「3大」慢性リスクはこうです。
肥満
認知症
癌
肥満は直接的なインスリンの作用によります。
インスリンは栄養を蓄える働きがあります。
ですので、食べ物を脂肪に変え、脂肪細胞に蓄えます。
そして太ります。
インスリンがアルツハイマー型認知症のリスクになるのはご存知の方もいるかと思います。
インスリンが多いと、神経に毒性をもつアミロイドβというものを、分解しづらくなります。
アミロイドβが脳にたまることで脳細胞が死に、脳が縮んでいきます。
糖尿病というだけでアルツハイマー型認知症のリスクは2倍、インスリンを直接打っていると4倍というデータがあります。
癌については、意外に思う人がいるかと思います。
インスリンが体内に多いと肝臓癌、膵臓癌、大腸癌、乳癌、子宮内膜癌、膀胱癌などの癌のリスクが増える事が分かっています。
これはインスリンに、細胞を増やす働きがあるからです。
眼底出血も同じです。
糖尿病による網膜症では、単純期、前増殖期、増殖期という3つの段階があります。
名前から分かるように「何かが増えていくと病状が進む」という事です。
何が増えているのでしょうか?
これは「新生血管」と呼ばれています。
新しく生まれる血管なんて、良さそうな名前ですよね。
ですが、この新生血管、いわば欠陥商品です。
この新生血管があるために、糖尿病の方は眼底出血や硝子体出血をして目が見えなくなっていきます。
では、なぜこの新生血管が生えてくるのでしょうか?
従来は糖尿病によって網膜の血管が詰まるのでそれを何とかしようと新しい血管が生えてくる、という説明でした。
実際に眼底を見ると詰まっている網膜の血管が見えます。
もちろんそういう面もあります。
ですがきちんとした血管が生えてくれば、何の問題もないハズです。
しかし、異常な血管が生えてきます。
網膜の血管が詰まる病気は色々あるのに糖尿病だけ、このような異常な血管が特徴的に生えてきます。
何故、糖尿病だけで新生血管が特徴的に生えてくるのでしょうか?
先ほどのインスリンの作用を思い出してください。
インスリンの作用のひとつに細胞を増やす作用があります。
網膜の血管を不必要に増やしたらどうなるでしょうか?
きちんとした血管ではない、もろい血管ができ、そこから出血するという訳です。
これがインスリンによる眼底出血です。
インスリン・オフの治療をしている場合、血糖値が高くても眼底出血しない、という報告があります。
実際に私がインスリン・オフの治療を始めてから驚くほど、眼底出血は減りました。
逆に、その前のインスリン治療をしていた頃には、血糖値が良くても眼底出血する例がありました。
糖尿病で怖いのは、血糖値よりもむしろ合併症です。
目が見えなくなる、人工透析になる。
患者さんが恐れるのはそちらの方です。
合併症の予防という点ではインスリンを抑える事が非常に大切になってきます。
インスリンにはリスクがあります。
急性リスクと慢性リスクです。
それをリスクを避けるためにもインスリンはなるべく少ない方が良いのです。
つまりこれからの治療は糖質をオフして、そもそも血糖値を上げない。
そして、薬もインスリンをオフしてインスリンによる急性リスクと慢性リスクを避ける。
これがこれからの糖尿病治療です。
これからの糖尿病治療は糖質オフ、インスリン・オフ。
では第2部まとめ。
これからの糖尿病治療は、
・糖質オフ
・インスリン・オフ
です。
以上、第2部「糖質」でした。
次はいよいよ最終章! 第3部「健康」です。
第3部「健康」
では、動画をどうぞ。
第3部「健康」の内容
以下、内容です。
健康とは何か?とともに、なぜ自分は、健康を目指すか?という事も同じように大切です。
つまり、健康の目的は何か?という事です。
健康の延長線上に、私達が本当に望むものとは何でしょうか?
それは、苦しみや痛みのない、幸せな人生。
制限のない、自由な人生。
こういったものではないでしょうか?
つまり、健康とは幸せな人生のための「手段」と考えることもできます。
さて、健康が幸せの手段に過ぎないとしたら、人生の幸せに最も影響を与えるのは何でしょうか?
お金でしょうか、地位や名声でしょうか。
こういう研究があります。
例えば、宝くじに当たった人と半身不随になった人。
この二人を比べてみるとどうでしょうか?
当然、宝くじに当たれば幸せ半身不随になったら不幸せ、と思うでしょう。
ですが、1年後、この二人の幸福度はどうなるでしょうか?
半身不随になったの人の方が幸福度は低いように思います。
でも、実際は違います。
なんと、1年後にきいてみたとすると、この二人の幸福度は同じ程度になるのです。
つまりは、こういう事です。生涯のパートナーを得ようが失おうが仕事で昇進してもしなくても大学入試に受かっても落ちても私達は、それほど、それを引きずらないという事です。
人生における最大のトラウマが起こっていたとしてもそれが3ヶ月以上前ならその人の幸せにはなんの影響も与えないという事が分かっています。
ハーバード大学のダン・ギルバートという方の研究です。
人生における最大のトラウマが起こっていたとしてもそれが3ヶ月以上前ならその人の幸せにはなんの影響も与えない。
そして、ハーバードつながりで、幸せに関する有名な研究があります。
75年以上にわたり、700人以上を調べ続け、なんと現在も続いている研究です。
75年も続いているので、研究対象者の方は90代ですし、その方々の子供達2000人以上も現在は研究対象となっています。
「ハーバード成人発達研究」といいます。
ハーバード大学の2年生の学生とボストンの極貧環境で育った少年達が対象に選ばれました。
研究対象になった人にはアルコール依存症になった方もいれば統合失調症になった方もいればアメリカ大統領になった方もいます。
そういう人たちを調べて分かった事があります。
何が人生の幸せに最も関係したか?
75年以上に渡る研究の中で繰り返し、繰り返し分かった事は幸せに最も関係するものが、「良い人間関係」だった、という事です。
幸せに最も関係するものは、「良い人間関係」。
孤独が最も良くありませんでした。
早く死にやすく、認知症にもなりやすい。
また、不幸な人間関係にある人たちは身体的苦痛が精神的苦痛でさらに増幅される事も分かっています。
逆に50歳で幸せな人間関係にいた人は80代になっても幸せでした。
まさに、人は良い人間関係に守られる、と言っても良いでしょう。
人生の幸せとは、何かを達成する事ではありません。
私達も、糖質オフによる健康とともに良い人間関係を築きたいものです。
ご清聴、ありがとうございました。
以上、第3部「健康」でした。これで神戸講演会の動画は全てです。