今回は、体がコゲる、というお話。
体がコゲるってどういう事?!
体がコゲる、聞いたことがあるでしょうか?
こう聞くと、「聞いたことナイナイ!」と答える方が多いかと思います。
実は、「体がコゲる」と同じ反応は皆さんが見たことがあるんです。
それは、コレです。
ばーん。
そう、トーストを焼いた時の反応です。
このトーストがコゲる反応を「糖化」または「メイラード反応」と言います。
糖化は「生化学」で使われ、メイラード反応は「食品工業」でよく使われます。
どちらも同じ意味です。
え?
体の中でトースト焼いている訳じゃないでしょ、って?
そうですね、焼いてはいません。
焼いてないのに体はコゲます。
これがポイントです。
なぜ、体はコゲるのか?
これは糖質が原因です。
糖質には色々ありますが、その分子のはじっこに「アルデヒド基」という部分があります。
アルデヒド基?!
難しそう?
大丈夫、簡単です。
上図の右側の色の濃い部分がアルデヒド基です。
炭素・酸素・水素という3つから出来ている超シンプルな構造です。
この部分はとっても反応性が高くて、周りのものとやたらとくっつく性質があります。
ちょっとくっつくだけならすぐ分離するので何ともありません。
しかし、ガッツリとくっつくと離れなくなり、くっついた先の物質の構造を変えてしまいます。
これがコゲ=糖化です。
茶色くなるので「褐色反応(browning reaction)」とも言われます。
さて、このコゲ=糖化は、どのくらい体内で起こっているのでしょうか?
体のコゲって測れるの?
現在でも、全ての糖化を測る事はできません。
この糖化反応はとても色々な反応を起こし、全容が解明されきっていない程です。
というのも、やたらめったら周りのものと反応するからです。
ならいくつかは測れるのか?
そう、測れます。
むしろ、測りまくっています。
医療機関では毎日毎日測られています。
それは、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)です。
これこそが、まさに血液の酸素を運ぶ「ヘモグロビン」が糖化したものです。
HbA1cは、Hb(ヘモグロビン)がコゲたもの。
ずばりHbA1cの別名は「糖化ヘモグロビン」です。
糖尿病の方なら毎月のように測っていると思いますし、健康診断でもよく測定されます。
つまり糖尿病では「血糖値が高い」=「糖質がいっぱい」のため、体がコゲまくっているのでそれを測定している、という事です。
糖尿病の人は、健康な人より身体がコゲている。
「HbA1cを測りましょう」イコール「あなたのコゲっぷりを調べましょう」という事です。
よく言われる「今月のHbA1cが高いですね」は、つまり「今月はアナタ、コゲてますね」という事です。
この体のコゲつきが、
・骨の変形(高齢者で関節が変形したり、背中が丸くなる)
・免疫異常(リウマチなどの膠原病)
・糖尿病の神経障害(手足の感覚が鈍くなる)
などなど、全身に影響します。
変形性膝関節症で、指がボコボコしてたり(ヘバーデン結節)、腰や膝が曲がったりしているお年寄りは、まさにコゲまくった結果そうなっています。
食事も、コゲの原因となる「糖質」が多く、そのコゲを治すための「タンパク質」は1日10gしかない、といった高齢者が非常に多くいらっしゃいます。
なるべくして、そうなっています。
コゲないようにするには、どうしたら良いか?
話としては簡単です。
糖質を摂らなければ良いんです。
体がコゲる、意外と身近ですね。
以上、体がコゲる、という話でした。