糖尿病

DPP-4阻害薬の超まとめ、総論、2019年1月版

今回はDPP-4阻害薬の超まとめ、

総論編です。

 

 

DPP-4阻害薬は色々な作用を持つ薬剤。

 

基本的には

血糖値が高い時にインスリン分泌を促す事で

血糖値を下げる。

 

 

また

膵臓のβ細胞が減るのを防ぐ働き(膵保護作用)

があると言われている。

 

 

という事で

インスリン分泌が

低下している場合には有効

な薬剤。

 

 

 

DPP-4阻害薬は他にも、

胃腸の動きをゆっくりにして

血糖値の上がりをゆっくりにする作用がある。

 

 

このため副作用で

食思不振や体重減少、便秘などがある。

 

 

 

DPP-4阻害薬の副作用で食思不振と体重減少がある一方で、

体重増加も実際にはよく見られる

 

 

つまり、DPP-4阻害薬は、

痩せている人はさらに痩せ、

太っている人はさらに太る、

といった傾向が強い。

 

 

 

DPP-4阻害薬で体重増加は、

そのままインスリンの作用

 

 

DPP-4阻害薬によってインスリン分泌が増え、

それによって体脂肪が増え、太る。

 

 

SGLT2阻害薬でも太っている人が

かえって空腹感からドカ食いして太るのに似ている。

 

 

DPP-4阻害薬もSGLT2阻害薬も、

単なる「やせ薬」とするにはお勧めできない

理由がコレ。

 

 

 

太っている人が飲むとDPP-4阻害薬もSGLT2阻害薬もさらに太る事がある。

もちろん、他の各種副作用も起こり得る。

 

 

標準体重や痩せ気味の人が「さらに痩せたい」と

SGLT2阻害薬を飲むと病的に痩せてしまう。

筋肉なども削げ落ち、歩行さえも困難になるレベルで痩せてしまう。

 

 

 

 

 

<DPP-4阻害薬を避けるべき症例>

 

 

肥満の症例では体脂肪でインスリンの効きが落ちていて、

血糖値が高くなる。

 

インスリン自体は出ている事が多い。

 

(太るためには大量のインスリンが必要。

インスリン無しでは太ろうと思っても太れない)

 

 

そんな例にDPP-4阻害薬を追加すると、

さらに高インスリンとなる。

 

 

漫然とDPP-4阻害薬を出してはいけない。

高インスリンが糖尿病の合併症を起こす

 

 

繰り返すが、

肥満例ではDPP-4阻害薬は高インスリンを必ず起こす。

高インスリン血症は糖尿病の合併症を起こす。

 

肥満例にDPP-4阻害薬を出してはいけない

 

さらに太るし、高インスリンによって合併症が起こる。

 

 

 

 

逆にDPP-4阻害薬の良い適応は、

・標準体重から痩せ気味

・インスリン分泌が低下している

という症例。

 

 

こういった症例なら、高インスリンにはならない。

 

 

 

 

 

 

DPP-4阻害薬のまとめ

・肥満例では高インスリン血症となるため原則出さない

・標準体重から痩せ気味でインスリン分泌低下例が良い適応

・各種副作用には注意

 

 

 

 

DPP-4阻害薬の副作用に、内服1年以上で発生する

「遅発性の皮疹」

がある。それが出た場合には内服を中止する。

 

 

 

 

DPP-4阻害薬は、読み方は「でぃーぴーぴーふぉーそがいやく」。

DPP-4とは「dipeptidyl peptidase-4 inhibitor」。

GIPやGLP-1というものの分解を防ぐ薬。

 

それによってGIPやGLP-1の作用が増え、血糖値が高い時にインスリン分泌が増える。

 

 

次回はDPP-4阻害薬の「各論」へ。

ABOUT ME
医師水野
内科医。2003年に医師免許取得(医籍登録)。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 その後、糖質オフやビタミン・ミネラルなどの情報をブログ、Facebook、YouTubeなどで発信。 監修本「糖質オフ大全科 (主婦の友社)」が中国でミリオンセラーに。 著書は「糖尿病の真実~なぜ患者は増え続けるのか~ (光文社新書)」「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法(エクスナレッジ)」「薬に頼らず血糖値を下げる方法(アチーブメント出版)」、など。