今回はDPP-4阻害薬の超まとめ、
総論編です。
DPP-4阻害薬は色々な作用を持つ薬剤。
基本的には
血糖値が高い時にインスリン分泌を促す事で
血糖値を下げる。
また
膵臓のβ細胞が減るのを防ぐ働き(膵保護作用)
があると言われている。
という事で
インスリン分泌が
低下している場合には有効
な薬剤。
DPP-4阻害薬は他にも、
胃腸の動きをゆっくりにして
血糖値の上がりをゆっくりにする作用がある。
このため副作用で
食思不振や体重減少、便秘などがある。
DPP-4阻害薬の副作用で食思不振と体重減少がある一方で、
体重増加も実際にはよく見られる。
つまり、DPP-4阻害薬は、
痩せている人はさらに痩せ、
太っている人はさらに太る、
といった傾向が強い。
DPP-4阻害薬で体重増加は、
そのままインスリンの作用。
DPP-4阻害薬によってインスリン分泌が増え、
それによって体脂肪が増え、太る。
SGLT2阻害薬でも太っている人が
かえって空腹感からドカ食いして太るのに似ている。
DPP-4阻害薬もSGLT2阻害薬も、
単なる「やせ薬」とするにはお勧めできない
理由がコレ。
太っている人が飲むとDPP-4阻害薬もSGLT2阻害薬もさらに太る事がある。
もちろん、他の各種副作用も起こり得る。
標準体重や痩せ気味の人が「さらに痩せたい」と
SGLT2阻害薬を飲むと病的に痩せてしまう。
筋肉なども削げ落ち、歩行さえも困難になるレベルで痩せてしまう。
<DPP-4阻害薬を避けるべき症例>
肥満の症例では体脂肪でインスリンの効きが落ちていて、
血糖値が高くなる。
インスリン自体は出ている事が多い。
(太るためには大量のインスリンが必要。
インスリン無しでは太ろうと思っても太れない)
そんな例にDPP-4阻害薬を追加すると、
さらに高インスリンとなる。
漫然とDPP-4阻害薬を出してはいけない。
高インスリンが糖尿病の合併症を起こす。
繰り返すが、
肥満例ではDPP-4阻害薬は高インスリンを必ず起こす。
高インスリン血症は糖尿病の合併症を起こす。
肥満例にDPP-4阻害薬を出してはいけない。
さらに太るし、高インスリンによって合併症が起こる。
逆にDPP-4阻害薬の良い適応は、
・標準体重から痩せ気味
・インスリン分泌が低下している
という症例。
こういった症例なら、高インスリンにはならない。
DPP-4阻害薬のまとめ
・肥満例では高インスリン血症となるため原則出さない
・標準体重から痩せ気味でインスリン分泌低下例が良い適応
・各種副作用には注意
DPP-4阻害薬の副作用に、内服1年以上で発生する
「遅発性の皮疹」
がある。それが出た場合には内服を中止する。
DPP-4阻害薬は、読み方は「でぃーぴーぴーふぉーそがいやく」。
DPP-4とは「dipeptidyl peptidase-4 inhibitor」。
GIPやGLP-1というものの分解を防ぐ薬。
それによってGIPやGLP-1の作用が増え、血糖値が高い時にインスリン分泌が増える。
次回はDPP-4阻害薬の「各論」へ。