今回は、DPP-4阻害薬の各論。
各薬剤について書いていきます。
<エクア>
エクアは作用が強い。
腎不全でも副作用が増えない。
(つまり腎不全でも量を減らす必要がない)
しかし、
元々、
肝障害を起こしやすく、
定期的な肝臓の数値のチェックが必要。
発売当初は強さと腎不全でも使える点でメリットがあったが、
今となっては同じ強さのDPP-4阻害薬が他にあり、
さらに同じ強さで腎不全でも飲める「テネリア」が出たため、
肝障害のデメリットがあるだけの薬剤に・・・
という事で肝障害が使いづらく、
エクアはほぼ出していないのが現状。
<トラゼンタ>
トラゼンタも腎不全でも飲める。
こちらはエクアとは真逆で「弱い」DPP-4阻害薬。
その分、副作用が少ない。
他のDPP-4阻害薬が副作用で飲めなくてもトラゼンタは大丈夫な事がある。
ワンチャンあるDPP-4阻害薬。
ただし、お値段がお高い。
<ジャヌビア、グラクティブ>
ジャヌビアとグラクティブは同じ有効成分。
成分名は「シタグリプチン」。
一番最初に日本で発売されたDPP-4阻害薬。
このためシェアが最もある。
ただ、
他に特徴のあるDPP-4阻害薬が出まくったので、
私はほぼ処方していない。
<スイニー>
スイニーはちょっと変わって、
LDLコレステロールを下げる作用もあるDPP-4阻害薬。
LDLコレステロール下げたい派の先生が良く処方する。
私はLDLコレステロール自体ではなく、
その原因にアプローチする派なので、スイニーはほぼ出さない。
LDLや動脈硬化については
超まとめたのでそちら参照。
動脈硬化の超まとめ、その1、薬と検査
動脈硬化の超まとめ、その2、薬以外
<オングリザ>
オングリザはエクアと同じ強さ。
作用の強いDPP-4阻害薬。
エクアと違って肝障害の副作用は多くなく、使いやすい。
特に半量だと
他のDPP-4阻害薬より
お安いのが特徴。
最近では半量を処方する事がある。
エクアと違って、
腎機能が低下している例では
量を減らす必要がある。
<テネリア>
DPP-4阻害薬の中でも最後の方に発売された「テネリア」。
腎不全でも飲める。
量を減らす必要もない。
20mgでそれまで最強だったエクアやオングリザと同等の強さ。
40mgだとさらにちょっぴりそれより強い。
つまりDPP-4阻害薬で最強なのはテネリア40mg。
このため最近は、DPP-4阻害薬の中で主力としている。
ただし、お値段がお高い。
お値段も最強。
テネリアは最近、
40mg錠が出たので錠数も抑えられるようになった。
最強でも1錠で済むようになった。
(それまでは20mg錠を2つで処方だった)
テネリアは
体重減少からのリバウンドがないSGLT2阻害薬「カナグル」
との合剤がある。
「カナグル」の「カナ」と、「テネリア」の「リア」で、
「カナリア」という名前。鳥の名前になった・・・。
カナリアも比較的使いやすい。
ただし、
この合剤「カナリア」も肥満例ではやはりより太る場合があり、
その場合はカナグルのみにする。
<ネシーナ>
ちょっぴり強い。
あまり処方しない。
メトホルミンとの合剤「イニシンク」「メタクト」がある。
ピオグリタゾンとの合剤「リオベル」もある。
<ザファテック>
週1回のDPP-4阻害薬。
ほ
ぼ処方しない。
<マリゼブ>
こちらも週1回のDPP-4阻害薬。
ほぼ処方しない。
<腎不全でも安心なDPP-4阻害薬>
腎不全でもそのまま飲めるDPP-4阻害薬のは
・テネリア
・エクア
・トラゼンタ
の3つ。
他は腎不全では量を減らしたり、他剤に変える必要がある。
以上、DPP-4阻害薬の各論でした。