肥満は栄養失調

肥満は栄養失調、鉄不足編。鉄不足、ヤバい。超ヤバい。

あとは、「鉄」も、肥満の人に不足していがち。 

 

 

女性で肥満、 

肥満で糖尿病、 

などでは、もうほとんど鉄不足がある。

 

 

「鉄不足」で痩せない、太るのも、

代謝に影響が出るから。 

 

アブラを燃やす代謝経路には、

おおまかに3段階。 

 

大きい分子のアブラを切って小さくする「β酸化」、 

そっからエネルギーを作り始める「TCA回路」、 

最後にエネルギーを取り出す「電子伝達系」。 

 

この3段階。

 

 

このアブラを燃やす「3つの段階」のうち、 

最初の「β酸化」と、 

最後の「電子伝達系」には 

鉄が必須。 

 

つまり鉄不足があると、

アブラを燃やしようがない。

 

 

さらに、最後の「電子伝達系」は、

糖質の代謝でも通る代謝経路。 

 

つまり、糖質を効率よく使うためにも「鉄」が必要。 

 

この代謝は細胞の中にあるエネルギー工場「ミトコンドリア」の中で起きる。

 

 

 

鉄不足だとミトコンドリアで糖質が代謝できない。 

すると、もうその他の部分でどうにかする感じになる。 

つまり、細胞質で原始的かつ効率の低い経路で、糖質を代謝する事になる。

 

 

この原始的かる低効率の、細胞質で起きる代謝経路は

「解糖系」と言われる経路。

 エネルギー効率が低い。 

ミトコンドリアで代謝するのとは段違い。

 

 

ミトコンドリアでブドウ糖1分子を代謝すると、 

ATPというエネルギーが38分子くらいできる。

(36とか条件で少し変わる)。 

 

で、細胞質で起きる解糖系ではブドウ糖1分子から、

ATPが2分子しか出来ない。 

効率が19分の1になる。

 

 

そんな低効率な代謝でエネルギーをどうにかするには・・・。 

しかも、脂肪は燃えない状態。 

そう、糖質を大量に欲しくなってしまう。 

脂肪は燃えない。

 

 

鉄不足では「痩せにくくなる」し、 

糖質を過剰に摂取して「太りやすい」のが分かるかと思う。 

 

さらに「解糖系」は体を酸性化し、熱もあまり作れないので体温も低下する。 

まさに「代謝が低下している」状態になる。

 

 

で、鉄不足から脳細胞のミトコンドリアも働かなくなれば、

脳細胞がエネルギー不足になる。

 

「うつ」や「パニック」が鉄不足から起きるのは、

この脳細胞のエネルギーが原因。 

 

鉄不足ヤバイ、超ヤバイ。

 

 

まとめ。

 

 (1) 肥満はタンパク質不足。ついでに鉄不足もあるかも。 

 

(2) 肥満で健康的に痩せたいならタンパク質を摂るべし。 

 

(3) 鉄不足も結構ありがちだから、不足しているなら鉄も補充するべし。

 

 

 

なお、

男性の場合は鉄が足りてる事も結構あるので、

不足がなければ鉄をさらに摂る必要は無い。

 

 

あと、採血データで

血中TP(総蛋白)や

血中ALB(アルブミン)が下がるのは末期的な状態です。

 

TPやALBが下がっていなくても、

BUNが20以下ならタンパク不足です。

 

 

 

という事で、長かった

「肥満は栄養失調」

もついに一段落です。

 

タンパク質、ほぼ確実です。

鉄不足、あるかもしれません。

ABOUT ME
医師水野
内科医。2003年に医師免許取得(医籍登録)。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 その後、糖質オフやビタミン・ミネラルなどの情報をブログ、Facebook、YouTubeなどで発信。 監修本「糖質オフ大全科 (主婦の友社)」が中国でミリオンセラーに。 著書は「糖尿病の真実~なぜ患者は増え続けるのか~ (光文社新書)」「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法(エクスナレッジ)」「薬に頼らず血糖値を下げる方法(アチーブメント出版)」、など。