今回は薬の副作用の調べ方について。
意外と一般の人は知らない、
薬の副作用の調べ方について説明。
添付文書に載ってる
薬の副作用は、添付文書に一通り書いてあります。
国内で薬として承認された薬剤には必ず添付文書があります。
「添付文書」というのは、そのまま薬のパッケージ箱の中に紙で入っている(添付されている)ので添付文書と言います。
今はネットですぐに見られるようになりました。
ネットが普及していなかった時代には「日本医薬品集(Drug in Japan)」という超物凄く分厚い本で見ないといけませんでした。
ちなみに日本医薬品集はコチラ。
半端なく分厚いです。手首を痛める勢いです。
この分厚さですから、1つの薬について調べるだけでも超時間がかかりました。
という事で、今はネットで一発です。
添付文書を調べられるサイト「PMDA」
その添付文書が見られるサイト。
PMDAという所に添付文書が見られるサイトがあります。
PMDAは「独立行政法人 医薬品医療機器統合機構」で、お役所関連の所です。
承認されたり、変更があるとすぐに反映されるので、上記の日本医薬品集よりも良いです。便利な時代になりました。
では、早速使い方について説明です。
たとえば
「トラゼンタ」という糖尿病の薬で、
めまい、腹部症状、といった副作用はあるのでしょうか?
上記サイトの「一般名・販売名」の空欄に、「トラゼンタ」と入力して、「Enterキー」を押します。「ひらがな」や「カタカナ」が混じっていても検索してくれます。便利ですね。
そしてトラゼンタの検索結果
色々と出てきました。
情報量が膨大ですので、慣れないと逐一みていると時間がかかります。
この左側のウィンドウに注目です。
左側のウィンドウは目次になっています。
そこで「副作用」をみつけて、クリックします。
右側にウィンドウに副作用の所が表示されます。
副作用の欄には
0.3%以上で「浮動性めまい」が載っています。
また、0.3%以上で、「腹部膨満、便秘、鼓腸、胃腸炎」が載っています。
トラゼンタには「めまい」も「消化器症状」もあるのです。
ちなみに、トラゼンタはDPP-4阻害薬の中では、あまり副作用が起きないタイプです。
それでも薬ですので、副作用はあるにはあるのです。
副作用が多いか少ないか?
ちなみに「0.3%以上」はとても多い数値です。
通常は「頻度不明」や「0.1%未満」などです。
頻度の低いものは、副作用として載っていても、あまり気にしなくてかまいません。
同時に飲んでいた他の薬で出た副作用も、ここに載ってくるからです。
でも、頻度が高いなら別です。
その薬を飲むとよく起こる副作用という事です。
たとえば、他の薬とくらべてみましょう。
古くからあって、とても安全性の高い薬(逆に効き目もそれなり)を見てみましょう。
ノイロトロピン錠などはどうでしょうか。
色々とあちこち痛い時に使う薬です。安くて意外と効く時があります。
最初に表示される赤字で表示される「禁忌」も「本剤に対し過敏症の既往歴のある患者」と最も少ないです。
次に、ノイロトロピン錠の副作用を見ます。
軒並み「0.1〜5%未満」と、「0.1%未満」ばかりです。
内容についても、重い副作用はさしてありません。
これくらいが「普通」の感じです。
逆にこれ以上の副作用がある場合は、「お、これは」と心に留めておく感じです。
基本を知っていれば、あとはそこからの違いだけ知っておけば良いのです。
他のDPP-4阻害薬はどうか?
さらにスイニーを検索。
やはり、「0.1〜5%未満」で「めまい」が載っています。
また同様に「0.1〜5%未満」で「便秘、下痢、胃炎、腹部膨満、腹痛、腹部不快感、血中アミラーゼ上昇、悪心・嘔吐、腸炎、鼓腸、消化性潰瘍」が載っています。
同様に「めまい」と「消化器症状」があります。
トラゼンタ特有の、というよりは、ある程度、DPP-4阻害薬に共通する副作用なのかな、という推測もできます。あくまで推測ですが。
薬を変えてもらっても何かイマイチ、という場合は調べてみるのも良いでしょう。
添付文書の凄い所
この添付文書の良い点は、もちろん副作用を調べるだけにとどまりません。
・どんな効果があるのか?
・どれがどうなって効果があるのか?
・なぜ薬として承認されたか?
これらの情報もバッチリしっかり載っています。
逆に他を調べても情報は出てきません。ですが、添付文書を見れば一発です。
先ほどのノイロトロピンを見てみましょう。
左側の目次ウィンドウで、「薬効薬理」をクリック。
ノイロトロピン錠の薬効薬理
(薬効薬理の部分にリンクが飛ばないので、下にスクロールすると「薬効薬理」という部分があります)
鎮痛作用と鎮痛作用機序が載っています。
何か色々と効きそうな事が載っています。
ついでに、承認に関するものは、その下の主要文献に載っています。
この元の文献(文献)をみれば、なぜ薬として承認されたかが分かります。
外用薬など(軟膏など)では、今となっては「効き目がない薬」と比較して「効いた!」という事で承認がおりている薬があります。
さらにもっと情報が欲しい!
そう、実は添付文書よりも、もっと情報量が多いものが公開されています。
薬の情報、全部載せ「インタビューフォーム」
それは
インタビューフォーム
です。
これも
先程のPMDAの所でゲットできます。
薬剤名を入れて検索すると、右の方に「インタビューフォーム」と出てきます。
そこをクリックすれば内容を見る事ができます。
添付文書よりも、もっと細かく色々と載っています。
薬効薬理の所なんかも、楽しめると思います。
例えば、
メトグルコのインタビューフォーム。
17ページくらいが薬効薬理。
で、こんなような事が書いてあります。
2. 薬理作用
(1)作用部位・作用機序
血糖降下作用の主要な機序として以下の作用が提唱されている 9)。
●肝臓での糖新生抑制
●末梢での糖利用促進
●腸管からの糖吸収抑制
メトホルミン塩酸塩は AMPK※の活性化を介して肝臓における糖新生の抑制及び筋肉での糖利用促進 作用(ラット)を示すことが報告されている 10)。また、メトホルミン塩酸塩を服用した 2 型糖尿病患 者の骨格筋においては、AMPK が活性化されることが観察されている 11)。
AMPKの活性化とかはおいておいても、
なぜこの薬が効くか?という大雑把な事は把握できたかと思います。
インタビューフォームをきちんと読み込めば
一般的な医療関係者より、その薬に詳しくなれます。
さらに「なぜその名前にしたか?」とか「開発するまでのストーリー」とかも載っていて、ウンチクも語れるようになります。
以上、副作用の調べ方と、添付文書の見方でした。