今回は「過剰なカフェインの恐怖」について。
水野はコーヒーも紅茶も大好きです。
またコーヒーは適量なら健康的です。
コーヒーのガブ飲みが不健康です。
初公開:2019年8月18日
追記:2019年9月14日、水分のみ、デカフェの場合を追記。
はじめに強調しておきます。
マネしちゃだめ、ゼッタイ!
今回の検証は専門家の意見に基づき専門家が実施しております。
一般の方が同様な事をお試しになるのは厳につつしんでください。
非常に大切なので、繰り返します。
マネしちゃだめ、ゼッタイ!
何でも自分の身で試したい人
世の中には2つのタイプの人がいます。
それは、
自分で試してからモノを言う人
と
自分で試さないでモノを言う人
です。
私は「自分で試してからモノを言う人」です。
そして、「自分で試さないでモノを言う人」を一切信用しませんし、お付き合いも控えます。
「自分で試さないでモノを言う人」を信用しない。
といっても、「一発で死ぬ」とか「一度ためすと100発100中で中毒・依存する」とかはさすがに試しません。
そこで、さんざん説明してきたのに、「あ、マックスまでは試してないな」という事がありました。
途中までは試した事はありますし、実際に「ヤバい」という人を診た事もあります。
しかし、自分で体験していなかったのです。
それは「カフェイン」。
カフェイン!
今まで、色々と「ヤバいよ!」と説明してきましたが、実際に「ヤバい」所まで摂取した事はありませんでした。
医師であり知識と経験は既にありましたが、それでもめっちゃ下調べしてからトライしました。
場合によってもよらなくても、割とリスクがあるのを既に知っていたからです。
そして、結果は想定の範囲内でしたが・・・結構な感じでした。
という事で、繰り返します。
マネしちゃだめ、ゼッタイ!
で、何したん、アンタ?
やった事はシンプルで、
カフェインありのコーヒーを飲んだ
これだけです。
他は、「糖質はオフ」、「1日1食」、「ビタミンなどのサプリはこの間お休み」、「1日3時間睡眠」です。
つまり、「コーヒー多量」+「水野の通常運転」+「サプリ全部お休み」、です。
で、成人の場合、1000〜3000mgのカフェインで中毒の危険性があります。
カフェイン5000〜5万mgだと致死量です。
さすがに、1000mg以上のカフェインだと中毒となり、「一発アウト」の危険性があります。
という事で、ギリギリの1日900mgを、しかも1回ではなく3回に分けて摂取しました。
つまり、1回300mgのカフェイン(入りのコーヒー)を、1日3回の摂取です。
とはいえ、その1回300mg、1日3回、というのは「最低量」で、もっとイケる!という時はそれ以上の量も摂取していました。
そして、1週間が過ぎた頃に、ついに破綻が起きました。
水野はカフェイン1日900mgを1週間でヤバくなった。
で、どうなったの?
結論から書くと、両足がパンパンにむくみました。
コレ、結構ヤバいんですよね。
水野が大量にカフェインを摂ったら両足が超浮腫った。
↑
マネはダメ!ゼッタイ!
なお、
「カフェイン」とか「コーヒー」とかと、
「浮腫」や「むくみ」で検索しても、
ほとんどヒットしません。
というか、真逆の
「カフェインの利尿効果で脱水になる、むくみがとれる」
っていうのしか、ヒットしません。
英語で検索しても、そんな感じです。
英語でもカフェインの過量摂取で、ヒットするのは「脳浮腫」「肺浮腫」くらい。
実際、超むくみましたけど!!
・・・やってみないと分からない事って、多いんです。
では、何が起こったのでしょうか?
ヒントはこの論文です。
英語です、思いっきり。
グーグル先生によるゴリっと日本語訳はコチラ。
グーグル先生の日本語訳も精度が上がってきて、結構、見れる訳になってきました。
某国際的企業もグーグル先生の訳で日本語サポートしているという実話もあります・・・。
で、上の論文は主にカフェインを投与した時に、腹水とかから塩(塩化ナトリウム)が移動したよ、っていうのが趣旨なんですが、
「The factors which cause the sodium chloride to leave the body fluids are probably primarily responsible for the diuresis which takes place after administration of caffeine.」
「(グーグル先生訳)塩化ナトリウムが体液を離れる要因は、おそらく、カフェインの投与後に起こる利尿の主な原因です。」
という所があるんですね。
カフェインは利尿効果とともに、塩(塩化ナトリウム)を体外に出す働きがあります。
カフェインは水分とともに塩分も尿として出してしまう。
コーヒーをガブ飲みすると?
つまり、コーヒーをガブ飲みすると、どうなるのでしょうか?
塩分はカフェインの効果でガンガン出ていきます(尿から)。
水分はコーヒーに含まれています。また、コーヒーだけでなく、水分は別に「水」として摂取していました(浄水器で濾過した水)。
つまり、水は補給されるものの、塩分はガンガン出て行く、という状態です。
水分は別に「水」として摂取していましたが、塩分は追加で補充していませんでした。
コーヒーの水分とは別に、さらに水分を摂っていた。
結果として、「細胞外液量増加型(hypervolemic)の低ナトリウム血症」という状態になります。
コーヒーをガブ飲みして、水分も飲むと、「細胞外液量増加型(hypervolemic)の低ナトリウム血症」になる!!
これは、「水っ気はあるのに塩っ気が足りない」というのをカッコよく言っただけです。
まぁ、カフェインで塩が出て、水は摂ってたので当然ですね。
で、そうなると、血液の塩っ気がなくなって血液が「薄く」なるので、血管の外に水分が逃げてしまいます。
水分は「濃い」方に移動する性質があります。
血液がうっすいので、体液が濃い血管の外に逃げていってしまいます。
で、水野の場合は、両足がパンパンになった、という事です。
そんなにヤバいの?
ヤバいんです。
これ、足がむくむ、っていうだけならカフェインやめれば数日で治るよね、という案件です。
実際、水野も3日で足のむくみはキレイさっぱり消えました。
両足のむくみは3日でなくなった。
しかしながら、足以外がむくんだらどうでしょうか?
脳もむくむ!
カフェイン中毒で有名なのが「脳浮腫」です。
「細胞外液量増加型(hypervolemic)の低ナトリウム血症」の場合には、脳にいく血液も当然うすくなります。
すると、脳にいく血管の外、つまり「脳」に水がたまってしまいます。
脳がむくむんです。
錯乱や幻覚などの症状が出現し、命の危険も、後遺症の可能性も、あります。
水野が当初警戒していたのは脳への影響でした。
まさか、上(頭)の方ではなく、下(足)の方がむくむとは・・・。
おそらく、これは1日中、スタンディングデスクで立ちまくっていたためと思われます。
いや、意外とこういう姿勢の差、あなどれないんですよ・・・。立ってたから、重力で下(足)の方にむくみが出た、と。
3時間睡眠なのであまり横になってなかったですし。
さすがに足がパンパンな間は、スタンディングデスクで立ってられなかったので、ブログの更新はお休みしました(笑)
肺もむくむ
「肺水腫」で突然死する場合もあるようです。
カフェインで肺水腫の2症例(英語)
という事で、大変危険です。
最後に!
カフェイン過剰摂取、ヤバいです。
説得力が増しました。
カフェイン過剰摂取、超ヤバいです。
カフェインの過量摂取、ゼッタイにアウトです。
コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク、コーラ、風邪薬、等にカフェインは入っています。
コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク、コーラ、風邪薬、等に入っているカフェインには注意!
今回の私の例はやや特殊で、
・カフェインをガンガン摂取
・水分をさらに摂取
・結構、立ちっぱしで作業
という「3つの合わせ技」で、通常はあまりない「低ナトリウム血症」になったという症例です。
通常は低カリウム血症になる
そして、通常は私のような「低ナトリウム血症」ではなく、「低カリウム血症」が起きます。
合わせ技で救急搬送となった事例も多くあります。そちらはカリウムが低くなった場合です。
コーヒーにはカリウムも含まれますが、やはりカリウムを尿から出す作用もあるので、多量に飲んだ場合には結果として低カリウム血症になってしまいます。
このページの最後に実際の症例報告のリンクを載せますが、
・「パブロンゴールド」と「ヘルシア」で緊急入院
・「ウーロン茶多飲」で救急搬送
・「アイスコーヒー」と「コーラ」で入院
など、身近なもので重症化しています。
カフェインは色々なものに入っているので、「総量」に注意しましょう。
参考リンク
結構、参考になる文献を色々と発見したので、私には珍しく参考文献リストを記載。
(英語論文)STUDIES IN EDEMA : VIII. THE INFLUENCE OF CAFFEINE ON ABSORPTION FROM THE PERITONEAL CAVITY AND THE INFLUENCE OF DIURESIS ON EDEMA.
(適当訳:浮腫の研究:VIII。 腹膜腔からの吸収に対するカフェインの影響および浮腫に対する利尿の影響。)
↑
この論文のGoogle先生によるゴリ押し日本語訳はコチラ。
緑茶抽出物飲料の過剰摂取により 低カリウム血性ミオパチーをきたした 1 例
↑
「パブロンゴールドA」と「ヘルシア」の合わせ技。
日常生活の中におけるカフェイン摂取-作用機序と安全性評価-
↑
含有しているカフェインの量のリストがあります。
ウーロン茶多飲により低カリウム血症をきたした一例
↑
お茶系は多飲するとやはり影響が。
コーヒー・コーラ過剰摂取による 低K血症性ミオパチーの1例
↑
アイスコーヒーを「ジョッキ」で1日5杯、コーラを1日1.5〜2リットルの合わせ技
清涼飲料水の長期過剰摂取により低カリウム血症性 ミオパチーを起こしたと考えられた 2 型糖尿病の 1 例
↑
糖尿病もある場合。コーラで。
コレは医師などで登録してないと読めない記事(m3.comの記事)です。
カフェイン中毒を起こす4大機序を押さえる【研修最前線】
カフェインで肺水腫の2症例(英語)
追記:水・デカフェは大丈夫だった
以下は2019年9月14日に追記した分です。(当記事の初公開は2019年8月18日)。
この記事を書きつつ思ったのが「そういえばこの時、水分も1日合計3リットルくらい飲んでた」という事。
この時点で、単純に水分量で浮腫が来た可能性もありました。
という事で、カフェイン・レスで、水分1日3リットル生活を同程度の期間試しました。
はい、浮腫みませんでした。
そして、カフェイン(コーヒーとして)を再びこの実験当時の1日量を摂取した所、1日で浮腫みました。
やはり、原因はカフェインでした。
ならば、デカフェのコーヒーなら大丈夫か?
はい、浮腫みませんでした。
コーヒーの半分ほどのカフェインの紅茶ならどうか?(紅茶でカフェインを摂取し、1日のトータルのカフェイン量をこの実験の半分ほどに抑えました)
はい、ちょっと浮腫みました。
という事で、やはり当初の結論通り、カフェインによる影響でした。
以上、追記検証結果でした。