糖質オフライフ

糖質オフで溶血?

今回は糖質オフで溶血?というお話。

 

助手くん
助手くん
ハカセ、糖質をオフすると溶血するっていう話があるみたい!
ハカセ  
ハカセ  
ははぁ、あの話題じゃな。典型的な「因果の逆転」というやつじゃのぅ。

 

 

なんで溶血なんて話題?

 

2016年当時、ちょっとだけ話題になったので取り上げた記事です。

どういう話題だったでしょうか?

それは、こうです。

糖質オフで脂肪たっぷりの食事を摂ると遊離脂肪酸ができる。
遊離脂肪酸が多いと、細胞が酸化し壊れやすいため溶血する。

 

これはホントなの?!という話題ですね。

はい、ホントではありません

 

結論:糖質オフっても、溶血しません

 

 

 

その解説です

 

 

では、解説です。

順に説明していきましょう。

 

「糖質オフで、(高糖質食より)脂質が多めの食事になる。」

ここはOKです。

 

「脂質が多めの食事で、遊離脂肪酸が血中に増える。」

ここもOKです。

 

「遊離脂肪酸が多いと細胞が酸化し壊れやすくなる」

はい、ここがダウトです。

遊離脂肪酸が多くて細胞が壊れやすくなることはありません。

遊離脂肪酸による直接の「酸化」も起きません。

 

遊離脂肪酸が多くて細胞が壊れやすくなることは無い。酸化もしない。

 

遊離脂肪酸が多くて動脈硬化、とかも中性脂肪が多くて動脈硬化と同じで半分間違いです。

 

糖質を摂ってインスリンが出まくりつつ、中性脂肪が上がった時だけ、糖質をインスリンで動脈硬化します。

脂質だけと摂って、遊離脂肪酸が上がった時には動脈硬化は起こりません

 

つまり、遊離脂肪酸自体で酸化や動脈硬化するのではなく、糖質摂取とその後に分泌されるインスリンによって動脈硬化します。

 

詳細はコチラ。

先生!中性脂肪が高いんです!今回は、超よくある質問の1つ、 「先生、中性脂肪が高いのですが、どうなんでしょうか?」 について。 コ...

 

なぜ、今まで間違えられてきたかというと、糖質が中性脂肪も遊離脂肪酸も増やすからです。

それと同時に糖質による糖化反応で炎症が起こり糖化(広い意味での酸化)や動脈硬化が起こります。

中性脂肪や遊離脂肪酸が直接、酸化や動脈硬化を起こしている訳ではありません。

 

よくある「論文」は統計処理をするだけなので「相関」しか分かりません。

糖質摂取→中性脂肪上昇 (←←相関→→) 動脈硬化

という事しか分かりません。

 

しかし、これには他の真の原因があります。

糖質摂取→中性脂肪上昇 (←←偽相関→→) 動脈硬化
↓                    ↑
糖化・インスリンによるダメージ→→→→→→↑

という事です。

 

この「第3の真の原因」はいくら統計処理をがんばっても、全く分かりません

動脈硬化は中性脂肪ではなく、糖質とインスリンによって起こります

 

動脈硬化は中性脂肪ではなく、糖質とインスリンによって起こる

 

 

 

間違いの元となるもう1つの理由

 

さて、なぜこんな誤解が起きたのでしょうか?

これはもう1つ理由があります。

 

それは、逆の事は起こるからです。

何の逆か?

「遊離脂肪酸が高くて溶血」は起こりませんが、「溶血で(検査数値上で)遊離脂肪酸が高くなる」という事が起きます

なので、これが間違いのもう1つの理由です。

 

詳しくは東大の研究のコチラをご覧ください。

 

以下、引用です。

物理的あるいは化学的刺激により,赤血球中の内容物が細胞外へ漏出することを溶血という.

In vitroにおける溶血を血管外溶血というが,これが引き起こると生化学検査へ様々な影響を与える.影響を与える原因は主に二つある.

一つは,赤血球内の濃度が血清中より高い物質が溶血によって血清中に漏出し,測り込むため偽高値となるもの(LDH,AST,K,Feなど).

もう一つは,溶血によって漏出したヘモグロビンの影響で血清の色が赤くなるため,赤色付近の波長で測定している測定項目が偽高値となるもの(TP,遊離脂肪酸など)である.

 

ザックリとまとめると、「遊離脂肪酸」は色で測定しているので、「溶血」すると色が紛らわしくなって間違って「遊離脂肪酸」が高い数値になる、という事です。

 

「色が紛らわしい(笑)」という事です。

 

つまり、

「高い遊離脂肪酸」→→「溶血起こさない」

ですが、

「溶血」→→「間違った高い遊離脂肪酸の数値」

となる、という事です。

 

で、例によって統計処理だと「相関(お互いに関係があるか)」だけしか分からないので、誤解が生じます。

「溶血」←←(相関)→→「高い遊離脂肪酸」

 

これを見て、「おぉ!高い遊離脂肪酸で溶血するに違いない!!」

「溶血」←←(勝手な因果関係の捏造)←←「高い遊離脂肪酸」

という誤解です。

 

実際は

「溶血」→→間違った高い遊離脂肪酸の数値」

です。

 

因果関係が真逆です。

これを「因果の逆転」と言います。

医学論文は「ぱっと見分からない違い」に意味を見出そうと、統計処理する事が多いので、その結果見つけた(自分の元々の考えに近い、勝手な)因果関係を作り出してしまう事も多くあります。

 

まぁ、こういう論文は元々が「糖質オフなんてけしからん!!」という発想から作成されますので、自然と「因果の逆転」とか色々しちゃってます。

 

こういった論文が割とあります、沢山。

 

結論:糖質オフで溶血しません

 

皆さんも、ビタミンが効かない・ヤバい、とか、鉄がヤバい、とかの「結論ありき論文」にはご注意ください。

 

今後も「結論から作られた」論文が、必ず出てきますので。

「けしからん!」→「論文作成」の流れで、論文は作られます。

 

以上、糖質オフで溶血?、についてでした。

ABOUT ME
医師水野
医師水野
医師、アキバ水野クリニック院長。 2003年に医師免許取得(医籍登録)、2019年2月13日にアキバ水野クリニックを開設、院長となる。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 97単位に及ぶインスリンの自己注射を不要とするなど、2型糖尿病患者の脱インスリン率100%という実績を打ち出す。 糖質制限やインスリンを使わない治療法などの情報をブログ、Facebook、Twitterや、講演会などで精力的に発信。 現在は、がんに対するビタミン・ケトン療法も実践中。 著書は「薬に頼らず血糖値を下げる方法」「みるみるやせる・血糖値が下がる 最強の糖質制限ガイドブック」など。