今回は、SH基を有するサプリや薬がアレコレしちゃう、というお話。
そのアレコレの中身は下記のようなものです。
・尿中ケトン体が偽陽性
・味覚異常
・ミネラル不足
・軽い血糖値上昇と急な低血糖
α-リポ酸、ハイチオール、シリマリンなどのサプリはSH基というのを持っています。
そのSH基を持っている薬やサプリが上記のようなアレコレしちゃうんです。
SH基って何?や、SH基を持ってる薬やサプリってドレ?は前記事をご参照ください。
一応、おさらい。SH基を持つもの達
上記記事内にあるように、下記のものがSH基を持っています。
SH基を有するものは、サプリだと
・α-リポ酸
・L-システイン(ハイチオール)
・シリマリン(生薬 マリアアザミ)
などがあります。
SH基を有する薬は、
・カプトプリル(カプトリル)
・チアマゾール(メルカゾール)
・カルビマゾール(ネオ・メルカゾール)
・チオプロニン(チオラ)
・グルタチオン(タチオン)
・メタルカプターゼ(ペニシラミン)
・イミペネム(チエナム)
などがあります。
では、これらのSH基を持つ薬やサプリが色々な事をする可能性を1つずつ見ていきましょう。
尿中ケトン体を偽陽性にする
これは前記事の通りです。
これらのサプリや薬で、尿中ケトン体が偽陽性になります。
この場合は血中ケトン体を測れば、偽陽性かどうか分かります。
血中ケトン体が上がっていなければ、偽陽性です。
味覚異常
SH基を持つ薬やサプリが引き起こす可能性がある味覚異常は、亜鉛不足から起きます。
SH基をもつ薬やサプリは、血液中の亜鉛とくっついて尿に出してしまう作用を持ちます。
この「亜鉛とくっつく」というのを「キレート」と言います。
亜鉛欠乏となった結果、味覚異常が起こる可能性がある、という事です。
他にもCOOH基や、NH2基を持つものも、同様に亜鉛をキレートしてしまいます。
亜鉛欠乏の典型的な症状は「味覚異常」です。
このためSH基を有する薬やサプリで味覚異常が起きる可能性があります。
亜鉛が足りなくなって起きる味覚異常なので、原因となる薬やサプリを中止して亜鉛を多く摂るのが対策です。
<亜鉛不足による味覚異常の対策>
原因となる薬やサプリを中止して亜鉛を多く摂る
亜鉛を多く含むのは牡蠣(かき)、イワシ、煮干し、レバー、豆腐、パルメザンチーズなどがあります。
亜鉛のサプリもあります。1日50mg程度摂取するのが良いでしょう。
ミネラル不足:他のミネラルもキレートしちゃう
当然ながら、SH基を有する薬やサプリは亜鉛以外のミネラルにもくっついて、体外へと排出してしまいます。
体内に必要な微量元素などもその対象となります。
例えば、「セレン」という微量元素と反応するよ、という論文があります。
チオール基を有する医薬品と生体内微量元素としてのセレンとの相互作用
注)チオール基=SH基です。
軽い血糖値上昇と、急な低血糖
SH基によって、インスリンの一部が壊れます。
下記のS-S結合の部分です。
ここが壊れるとインスリンはA鎖とB鎖に分離してしまいます。
そうすると体はその壊れたインスリンをゴミ、もしくは異物としてみなして排除するために「抗体」を作ってしまいます。
インスリンの自己抗体です。
このインスリン自己抗体はインスリンにくっつくとインスリンの作用を止めてしまいます。
そうすると、高血糖になりそうですが自己抗体はインスリンとの結合が弱いとされています。
くっつくけど、離れやすい、という事です。
そのためこんな事が起こります。
インスリン分泌
↓
インスリンと自己抗体が弱く結合
↓
血糖値が下がらないため、インスリンがさらに分泌される
↓
自己抗体がインスリンから離れる
↓
インスリンがドカッと効いて低血糖
上記のような事が起こると言われています。
実際に、SH基をもつ薬の「チアマゾール」の副作用には「インスリン自己免疫症候群」の副作用が明記されています。
チアマゾールではSH基によってインスリンのA鎖の部分を剥き出しにすることで、Tリンパ球が異物と認識して自己抗体が作られると言われています。
そして意外にも、日本人はこのインスリン自己免疫症候群の報告が欧米よりも圧倒的に多くなされています。
これは、白血球型抗原(HLA)の遺伝子型が関係すると言われています。
という事で、SH基を持つもので色々起こるよ、という話でした。