2016年9月30日、世界に向けて凄い論文が発表されました。
著者は宗田先生
今までの常識を打ち破る論文を発表している宗田マタニティクリニックの宗田 哲男(むねた てつお)先生。
宗田マタニティクリニック
ケトン体についての本が多数あります。
今までの論文
宗田先生の今までの論文については、江部先生がブログで取り上げていらっしゃいます。
2014年12月4日の記事
「宗田哲男先生のご報告。長崎での糖尿病妊娠学会」
妊婦でもケトン体高値、臍帯血もケトン体高値、という事などが載っています。
2015年1月13日の記事
「宗田先生ポスター発表。ケトン体は安全。日本病態栄養学会。」
胎盤と臍帯血もケトン体高値、という事などが載っています。
今回の英語論文
さて、これらを踏まえて、今回の英語論文です。
英語論文かつWebから見られますので世界の方々にこの画期的な結果をアピールできます。
PDFファイルで論文全体をダウンロードもできます。
こんな感じです。英語ですね。
抄録の日本語訳
といっても、「英語は・・・」という方も多いかと思いますので抄録だけ日本語訳です(私が訳したのではなく頂きモノの日本語訳です)。
日本語部分は「抄録(しょうろく)」と呼ばれるまとめの部分です。
大体、論文の本文の前に載っていて、忙しい人はこの部分だけまず読みます。
ですので、とりあえず論文の「結果」や「結論」を見ると内容がざっと分かります。
で、その抄録の内容を、さらにざっと内容を書くと、
胎盤のケトン体、2200くらい。
臍帯血のケトン体、780くらい。
新生児のケトン体、300くらい。
成人のケトン体の基準値は85未満。
血糖値は胎盤も臍帯血も75くらいで同じ。
という内容です。
(※この論文について「ケトン体」と私が書いているのは、β-ヒドロキシ酪酸についてです)
胎盤と臍帯の区別がよく分かんない、という方もいるかと思います。
母親の子宮の中で、
母体ーー胎盤ーー臍帯(へその緒)ーー胎児
というようにつながっています。
この論文では、胎盤が一番ケトン体が高いよ、という事が明らかになった、という事です。
そして、臍帯血、新生児もケトン体は多め、血糖値は75くらいと低め、という事です。
今までは胎児のエネルギーはブドウ糖とされてきました。
しかし、実際は胎盤や臍帯血の血糖値は高くない。
一方でケトン体は高いよ、という事です。
この論文の凄さは「いままでの常識を覆す内容」という事です。
胎児のエネルギーについての常識を覆す論文!
とにかく胎児に必要なのはブドウ糖、ブドウ糖と思われていたのにそうではなかった。
実際は胎盤、臍帯血、新生児にも「ケトン体が多い」という事が明らかになりました。(ついでに血糖値は高くない)
ここから考えると可能性として、
・胎盤でケトン体を作り出して胎児の栄養にしているのでは?
・胎児のメインエネルギーはケトン体なのでは?
などなど、色々と今後に広がりが期待できる論文です。
この論文により、またひとつ人体の神秘が解き明かされました。
以上、宗田先生の英語論文について、でした。