前回、
フェリチンが高いと危ないのは
炎症や細胞破壊がある場合
という事を書きました。
今回は、
鉄の重要性
について。
ほんとにまだまだ、まだまだ
鉄は軽視されています。
また定期的に
「鉄過剰危ない」
的な話をきくので
一般の方は混乱してしまいます。
しかし、
鉄は超重要
です。
次回の「統計論文はスルーで良い」
と合わせて読むと
もう迷わずに済むようになります。
何が重要で
何がきちんと確定した事なのか
分かるようになるためです。
今回は、
ブログなのでサラっと書きますので、
鉄に関して本格的に学びたい方は
超良書である
偉大な「藤川先生」のこの本をお読みください。
うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった (光文社新書)
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これはもう、
日本の医療関係の教科書
にして欲しいレベルで重要かつ必須な内容の良書です。
全医療関係者、必読です。
鉄に関わらない人なんていません。
読んでいないと恥ずかしい
と思うレベルで必須です。
で、藤川先生も大変強調されているように
鉄は貧血に
関連するだけではありません。
しかし、実際には
「鉄不足=貧血」
くらいにしか、思われていません。
例えば、
この論文にも、
「フェリチン 80ng/mLまではヘモグロビン上昇と比例したが〜」
とかありますが、
これはまさに
「鉄不足=貧血」
という認識しかない事の象徴です。
一般の臨床医も、
「鉄不足=貧血」
しか、頭にありません。
でも、思い出せば良いんです。
医師になる前に生理学で習った事を。
細胞でエネルギーを作る時、
普段はミトコンドリアで作ります。
最近の土曜教室でも言っていますね。
ミトコンドリアで作ったエネルギーを
最後に取り出す(ATPにする)段階、
「電子伝達系」
という代謝経路には
鉄は必須です。
つまり、鉄不足では
(ミトコンドリアのない赤血球を除いて)
全細胞で
エネルギー不足
となる可能性があります。
ですので、
鉄不足では多彩な症状が出ます。
集中力低下、
神経過敏、
些細なことが気になる、
いらいらしやすい、
立ちくらみ、
めまい、
耳鳴り、
偏頭痛
疲れ、
節々の痛み(関節、、筋肉)、
腰痛、
喉の違和感(喉が詰まる)、
冷え性、
朝なかなか起きられない、
出血(アザ)、
コラーゲン劣化(肌、髪、爪、シミ)、
ニキビ、
肌荒れ
不妊、
レストレスレッグス症候群(むずむず足症候群、RLS)、
氷を食べる、
土を食べる、
糖質への依存(多くの女性が糖質依存になるのは鉄不足が関係します)
うつ・パニックで
向精神薬を何種類も飲んでいる方も
鉄の補給で改善します。
(他のビタミン、例えばナイアシンなども不足している場合が多いです)
鉄は、非常に重要です。
鉄不足では
ミトコンドリアで作った
エネルギーが取り出せません。
この話もしています。
鉄不足があって
ミトコンドリアが働かないとどうなるか?
細胞質で行われる
「解糖系」
という非常に原始的かつ非効率な
代謝経路に頼ってしまいます。
しかも、この経路では
乳酸が溜まって体が酸性化したり、
体温も下がってしまいます。
こういう前提、
「生理学的事実」
をきちんと踏まえていれば
「フェリチン高い=危ない」
などの短絡的な考えは出てきません。
鉄は人体に必須です。
ものすごく重要です。
そして、
「1万」の医学論文より
たった「1つ」の
生理学的・生化学的事実
の方が圧倒的に優ります。
はるかに重要です。
これを良く覚えておいてください。
なお、
炎症・細胞破壊がない状況では、
女性ではフェリチン100以上、
男性ではフェリチン150以上
が健康的な数値です。
え?
基準値と全然違うって?
当然です。
基準値と呼ばれるものは
95%の人が収まる範囲を
示したものでしかありません。
健康のための数値ではないのです。
日本人女性のほぼ全員が
鉄不足な状況では
基準値は健康的な数値ではなく
不健康な数値となってしまいます。
ですので、海外とくらべても
日本の基準値は圧倒的に低い数値の範囲と
なっています。
基準値さえ「異常値」
になっているのが
日本の現状です。
ビタミンの摂取量ともども
見直す必要があります。
なお、ビタミンの摂取量については
土曜教室の第1回をご参照ください。
以上、鉄の重要性について、でした。
次回は、統計論文はスルーで良い、について。