統計学・統計手法は大変有用かつ重要なものです。
医学においてはどうでしょうか?
色々なものが独り歩きしているのが現状です。
今回は、「有意差」について。
最近のほとんどの論文は
統計処理を使っています。
その場合の結論は
「有意差がみられた」。
有意差とは何でしょうか?
「確率的に偶然とは考えにくく
意味があると考えられる違い」
という事です。
全く知らない、という方は
wikipediaなどをどうぞ。
医学・医療の論文で
有意差があるかどうか?
これを検討する時とはどのような時でしょうか?
薬が効くかどうか。
検査が有効かどうか。
食事療法で病気のリスクが減るかどうか。
色々あります。
ですが考えてもみてください。
物凄くよく薬
90%以上の人が治る薬
があったとして、
「有意差」がどうこう、というのは必要でしょうか?
ぱっと見で分かるので
有意差がどう、というのは
要りませんよね。
片方の食事療法は
みるみるうちに
病気が良くなる。
従来の食事療法は
延々と薬が必要で
病気も良くならない。
これも分かりやすいので
「有意差」がどうとか
検討の必要はありません。
計算する前から有意差アリです。
つまり
「有意差」
がどうこう、
というのは
医療・医学においては
「ぱっと見は分からないけど
統計処理をすると
違いがありました」
という事です。
これは
ぱっと見で分かる程の差が
「ない」、
小さい差しかありません、
という事でもあります。
(明らかに差があっても一応は
統計処理をして論文化しますが
そういう場合は除外します)
ですので
「有意差がみられた!」
というと
「何か凄そう」
とか思いがちですが、
実は
「ちっちゃい差がありました」
と言っているに過ぎません。
「偶然とは考えにくい」
程度の事なんです。
で、どのくらいの差なのでしょうか?
これは実は
「伝統的にほぼ決まって」
います。
3パターンです。
5%の差(p<0.05)
1%の差(p<0.01)
0.1%の差(p<0.01)
この場合、それぞれ、
20回に1回、実は差がない可能性がある
100回に1回、実は差がない可能性がある
1000回に1回、実は差がない可能性がある
という事です。
で、医学論文では概ね
5%の差(p<0.05)
が採用されています。
最も緩(ゆる)い条件ですね。
これは、確率的に言っても
20回に1回は、
結論が間違っている
可能性がある
事を意味します。
で、しかも、この
「5%の差」
はどこから来ているのでしょうか?
ロナルド・フィッシャー(Ronald Fisher)という
イギリスの統計学者から始まった
単なる習慣
でしかありません。
「炭水化物で6割のカロリーを」
と同じように
何の科学的根拠もないのに
単なる習慣が独り歩き
している、という事です。
医学でも
統計学でも
こういう事が非常にしばしば、あります。
何でもかんでも5%で
有意かどうか決めるのは
デメリットも多いため、
最近は
p値を直接記載する
という方法を推奨する方も増えています。
(この詳細はご自分でお調べください)
4%と5%ではほとんど差がないですが、
「何がなんでも5%」と杓子定規に考えると
4%では「有意差なし」になってしまいます。
という事で今回のまとめ。
医学・医療においての有意差は
「ぱっと見分からない違いでしかない」
事がほとんど。
医学・医療においては、もっともゆるい基準の
5%の差
が用いられている事がほどんど。
1%や、0.1%の基準にすると
「差はない」
となる論文がほとんどです。
その位の差でしかない、
という事です。
そして、この5%という意味は、
20回に1回は
結論が間違っている
可能性がある
という状態。
この5%という数値も
単に習慣が独り歩き
しているだけ。
で、有意差があった、というのは
「偶然とは考えにくい」
という事でした。
これは、
「考えにくい」だけで
実際は
偶然だった、
何の関係もなかった
という事はゴマンとあります。
次回は、「実は無関係?」について。