糖尿病

糖尿病で測るべき2つのホルモン、「インスリン」と「グルカゴン」

前回は

糖尿病で測るべき2つの抗体(GAD抗体と、抗インスリン抗体)

について書きました。

 

 

 

 

今回は、

糖尿病で測るべき2つのホルモン

・インスリン

・グルカゴン

についてです。

 

 

 

1.インスリン

 

「インスリン」という名前は

聞いた事があるかと思います。

 

このホルモンは

「血糖値を下げる働き」

があります。

 

 

ただし、そして本来的な働きは

血糖値を下げる事ではなく

「エネルギーを身体に蓄えておく事」

です。

 

このため、糖質を食べて血糖値が上がった説きだけでなく

蛋白質などを食べた時にも

インスリンは分泌されます。

 

 

脂質の場合は直接的にはインスリンの分泌は

増えませんが、

奇数鎖の脂肪酸は「糖新生」の原料となるため

糖新生で作られた血糖によってインスリン分泌が

多少は刺激されます。

 

 

で、

なぜ糖尿病で

(血液中の)インスリンを

測るべき

なのか?

 

 

 

糖尿病とは

インスリンの作用が不足している

という状態とよく言われます。

 

 

このため、

血液中のインスリンを測ってみて

血糖値や直前の食事内容に対して

分泌がどれくらい不十分なのか

をチェックすると病態が把握できます。

 

 

 

単純に血液中のインスリン量を測るのではなく、

・その時の血糖値

・直前の食事内容

についても考える必要があります。

 

 

 

よく話題になるのが

「HOMA(ホーマ)指数」

というものがあり、

HOMA-βが、インスリンの分泌量を、

HOMA-Rが、インスリンの抵抗性(効きづらさ)

を表します。

 

このHOMA指数のために測るのは

空腹時血糖

空腹時血中インスリン

です。

 

 

しかし、この空腹時のものより

・食後の血糖値

・食後の血中インスリン

を測る方が有用です。

 

 

インスリンは食後には

分泌量が増えます。

 

 

そして蛋白質と脂質の

糖質オフな食事でも

食後の血中インスリンは増えます

 

 

この

「本来なら増えるタイミング」

で血中インスリンを測定する事で

本来あるべき量

現在出ている量

を比較する事ができます。

 

 

 

食後でも血中インスリンは

IRIで10〜20程度

に収まるのが理想です。

 

 

 

 

<インスリンが多すぎな場合>

 

 

 

当然、

糖質の多い食事ではもっと

分泌されます。

 

この場合はインスリンの分泌能力がどうか、

というよりも摂取する糖質量を減らすべきです。

 

 

糖質オフな食事でも

食後IRI値が高くインスリンが出過ぎている場合があります。

 

多くは肥満があり、

内臓脂肪などによって

インスリンが効きづらくなっている状態です。

 

 

 

内臓脂肪が多い場合は

減らす事が根本的な対策です。

 

 

 

 

このため、肥満で

食後の血中インスリンが高すぎる場合には

「体重」や体脂肪などを

目安に食事のコントロールをすべき、

とよく説明しています。

 

 

このような場合には

血糖値やケトン体自体よりも

体重が目安になります。

 

 

逆に

 

 

 

やせていて

糖質オフな食事をキッチリしているのに

血中インスリン量が食後に多い場合もあります。

 

脂質を含めたエネルギー不足で

糖新生が起きている場合です。

 

 

対策は、脂質などを

しっかり摂る事です。

 

 

もちろん、

「インスリンを分泌する腫瘍」(インスリノーマ)

がある場合などにも

食後血中インスリンは多くなりますが

これらはやや特殊な場合です。

 

 

 

<インスリンが少な過ぎる場合>

 

 

多少、少ないくらいなら、

糖質オフの生活をしていれば

問題ありません。

 

 

むしろ、低インスリン状態なので

インスリンによる様々な悪影響を

受けない状態となります。

 

 

しかし、

インスリンは

「身体にエネルギーを蓄える」ホルモン

なので最低限は必要です。

 

 

 

 

 

最低限の量もインスリンが分泌されなくなると

・果てしなくやせてしまう

・アシドーシスになる

などといった生命の危機さえ起こってきます。

 

 

 

具体的には

食後のIRI値で

5を切ってくると危険水域です。

 

 

なお、空腹時のIRIであれば、

5未満でも糖質オフ状態なら正常です。

 

 

こうなってくると

まず、

グルカゴンの暴走

が起きてくるので、

それを抑える薬、DPP4阻害薬、GLP-1製剤などが必要になってきます。

 

それでも作用が不足する場合には

インスリンの注射

が必要になります。

 

 

この場合に根本的に

インスリンが分泌できるようにする

方法はあるのでしょうか?

 

 

このようあ方法は、あまりありません。

 

蛋白質などを必要十分にとって

肥満がある場合には解消して

あとはナイアシンを大量に摂るくらいです。

 

 

インスリンの分泌が減ってくる前が

勝負です。

 

 

ある程度、長期間に渡って

ジリジリと減ってきた場合は

あまりインスリンの分泌量は回復しません。

 

 

 

 

 

2.グルカゴン

 

インスリンと並んで測るべきホルモンが

グルカゴンです。

 

グルカゴンの暴走

 

上記の投稿で詳しく書いたホルモンです。

 

 

インスリンが出ていても高血糖である場合には

グルカゴンが多く出すぎている場合があります。

 

糖尿病では

食後もグルカゴンが高いままだったり

・空腹時よりもさらにグルカゴンが分泌され食後の高血糖をさらに高血糖にしたり、

などという事が起こります。

 

 

正常であればグルカゴンは1日中、ほぼ一定です。

 

そして食後に少し、血中濃度が下がります。

 

正常では血中濃度が170以下くらいです。

 

糖尿病の方では200を越える事も

まれではありません。

 

 

 

インスリンが多量に出ている場合には

インスリンを出す作用のある

DPP4阻害薬やGLP-1製剤を使用すると

さらなる高インスリン状態になる可能性があります。

 

この状態で、さらに高糖質食を摂ると

どんどんインスリンによって

身体が蝕(むしば)まれます。

 

 

インスリンの分泌量と併せて

グルカゴンを測定し、

これが高血糖やさらなるインスリン分泌や

膵臓の負荷になっている場合には

DPP4阻害薬やGLP-1製剤の使用を検討すべきです。

 

 

 

このように糖尿病の治療や

病態把握には

インスリン

グルカゴン

がかなり重要な位置を占めます。

 

 

ただし、普通の医師は測りませんので

全く測定した事がない、

という場合には測定してもらうと良いでしょう。

 

 

 

なお、グルカゴンの測定には

特殊な試験管

が必要です。

 

事前に検査会社から取り寄せていないと

測定できませんので、グルカゴンを測定希望の場合には

測定できるかどうか、試験管を取り寄せてもらえるかどうか、

予め聞いておくと良いでしょう。

 

診察時に言っても、ほぼ「測れない」という事になります。

 

 

以上、糖尿病で測るべき2つのホルモン、でした。

 

 

ABOUT ME
医師水野
内科医。2003年に医師免許取得(医籍登録)。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 その後、糖質オフやビタミン・ミネラルなどの情報をブログ、Facebook、YouTubeなどで発信。 監修本「糖質オフ大全科 (主婦の友社)」が中国でミリオンセラーに。 著書は「糖尿病の真実~なぜ患者は増え続けるのか~ (光文社新書)」「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法(エクスナレッジ)」「薬に頼らず血糖値を下げる方法(アチーブメント出版)」、など。