公開サロン記事

白髪は減らせるのか?

この記事は、有料オンラインサロン過去記事(シーズン1~3)の公開版です。

 

白髪は減らせるのか?

 

 

 

白髪はなぜ生える?

 

まず、「白髪」とは何か?

白っぽい髪の毛です。

そりゃ、そうです。

これは、本来はある髪の毛の色素が抜け落ちている、という事です。

 

 

 

あれ?髪の毛の色って?

 

髪の毛の色。

どんなものによって、色がついているか?というのは、殆どの人がおぼろげです。

何とか答えをひねりだしても「メラニン色素?」といった感じでしょう。

そう、その「メラニン色素」が、実はそのまま正解です。

私達の髪の毛の色は、メラニン色素によってついています。

メラニン色素には、大まかに2種類あります。

この違いが、「加齢によって白髪になる」事に関係します。

 

その2種類とは

ユーメラニン(エウメラニン、真性メラニン、eumelanin):黒色〜褐色

・フェオメラニン(亜メラニン、pheomelanin):赤褐色〜黄色

この2種類です。

 

髪の毛が黒い場合には、ユーメラニンが多い髪の毛、という事です。

逆に、ユーメラニンが少なければ、赤毛や金髪になります。

 

そして、この2つのメラニン色素には、色以外にも特徴があります。

それは、「ユーメラニン(黒い方)の方が化学的に不安定」という事です。

このため、黒い髪の毛だけを長期間おいておいた場合には、ユーメラニンが先になくなっていきます

 

これは、有名なエジプトのミイラでも観察されており、ミイラの頭髪はユーメラニンがない赤毛になっています。

フェオメラニンが残っているので白髪ではなく、赤毛です。

フェオメラニンの方は、ユーメラニンよりも化学的に安定しています。

 

 

 

実は担当が別?!

 

さて、そんなメラニン色素ですが、メラニン色素を作る細胞が「毛穴(毛包)」の底の部分に存在しています。

このメラニン色素を作る細胞は、「メラノサイト(色素細胞、メラニン細胞、melanocyte)」と呼びます。

メラノサイトという言葉は、CMなどでも、結構、耳にしますよね。

メラニン色素を作る細胞だから、メラノサイト

分かりやすいですね。

 

メラノサイトは、血液中の「チロシン」という「アミノ酸」から、メラニン色素を作っています。

そう、「メラノサイト」は、その名の通り、「メラニン色素」を作っています

 

そして「メラノサイト」は、髪の毛自体は作っていません

メラノサイトは色素を作っています。

髪の毛自体を作る細胞は別にあります。

 

その髪の毛を作る細胞とは、「毛母細胞(もうぼさいぼう)」です。

毛母細胞で作られた髪の毛は、当初、白髪です。

そこに「メラノサイト」で作られた「メラニン色素」が運ばれて、髪の毛に色がつきます。

色と毛髪は、作る細胞が別々なのです。

薄毛の場合は、毛母細胞が減ったり、働かなくなった状態です。

 

髪の毛の色素:メラノサイト
髪の毛自体:毛母細胞

 

 

ここから分かる事は、以下の通りです。

白髪は、
髪の毛自体を作る毛母細胞の働きはあるが、
メラニン色素を作るメラノサイトが減ったり、働きが無くなった状態

逆に、メラノサイトの数を増やしたり、働きを活性化させれば、白髪は解消する、という事になります。

 

白髪はメラノサイトが復活すれば治る

 

 

 

マニアック編:メラノサイトが出来るまで

 

まだこの辺りは完全には分かっていません。

医学・医療はちょっと調べるだけで、すぐに「時代の最先端」に到達してしまいます。

分からない事だらけです

 

さて、メラノサイトは毛穴の底の部分にある細胞です。

当然、いきなりどこかから完成品のメラノサイトが出現する訳ではありません。

色々な働きで、その元となる細胞から、メラノサイトが出来上がります。

現在、分かっている流れは下記のようなものです。

 

「毛包幹細胞」がTGF-βを分泌

「色素幹細胞」が「メラノサイト(色素細胞)」に成熟

 

「幹細胞(かんさいぼう)」という名前が付いていますが、これは「元になる細胞」といった感じの単語です。

植物の木の「枝(えだ)」と「幹(みき)」の、幹の事です。

「メラノサイト(色素細胞)」の元になる細胞が、「色素幹細胞」という事です。

 

毛包幹細胞が、TGF-βというものを分泌するためには、「定位置」に留まっている必要がある事が知られています。

この「毛包幹細胞」が「定位置」にとどまるための、錨(イカリ)のようなタンパク質が最近になり判明しました。

これを「17型コラーゲン」(じゅうなながた・こらーげん)と呼びます。

2011年に発表されたばかりの内容です。

ただし、逆に言えば、これだけの事しか分かっていません

 

他にも色々な仕組みがあると想像されますが、全く分かっていません。

人体は、分からない事だらけです。

そして、医療・医学がいかに「未発達」な状態のまま、徒手空拳で頑張っているか、分かるかと思います。

色々な病気が治らないのも、予防できないのも、当たり前なんです。

 

 

 

コラーゲンを飲食しても無駄・無駄っ!

 

なお、コラーゲンを含む食べ物などを摂っても、消化されてアミノ酸にバラバラになるため意味は殆どありません。

一部の分子が小さめのコラーゲンは吸収されますが、やはり大半はバラバラになってしまいます。

効率イマイチです。

このため、17型コラーゲンを含めたコラーゲンを増やすためには、その原料を摂る事が必要です。

コラーゲンは、口から摂っても意味がなく、体内で作る必要があります。

 

そして、コラーゲンの原料は、タンパク質とビタミンCです。

タンパク質とビタミンCを多く摂る事が、白髪対策の根幹となります。

白髪対策の第一歩は、タンパク質とビタミンCです。

 

 

 

マニアック編:TGF-βって?

 

サイトカインの1種類です。

サイトカインは、ホルモンの小規模版、といった感じです。

色々な細胞が分泌して、「ご近所さん」の細胞に、色々な情報を伝えるものです。

ホルモンは血流に乗って全身に運ばれますが、サイトカインは「ご近所さん限定」のものです。

とはいえ、ホルモンとサイトカインの厳密な区別は微妙だったりします。

なので、何となく「サイトカインはホルモンのご近所版」みたいに考えておきましょう。

 

さて、「TGF」は、「トランスフォーミング増殖因子、Transforming growth factor」の略です。

TGF-βは、β型のトランスフォーミング増殖因子です。

腎臓、骨髄、血小板が代表的で、他の殆どすべての細胞で作られます。

 

 

 

小ネタ:TGF-α

 

なお、β(ベータ)というからにはα(アルファ)もあります。

TGF-αは、脳細胞、マクロファージ、ケラチノサイトといった細胞で作られて分泌されます。

また、TGF-αは、がん細胞などからやたらめったら分泌されている事が知られています。

 

 

 

白髪を抜くと?

 

なお、ここまでで分かるように、白髪を抜いても抜かなくても、白髪の増減には影響しません

 

白髪を抜いても、白髪は減りも増えもしない

 

髪の毛自体を作るのは、毛母細胞です。

白髪は、メラノサイトの方のトラブルです。

抜こうが、抜かなかろうが、白髪には影響しません。

 

また、「白髪を抜くと薄毛になる」などという間違った主張もネットで散見されます。

細胞分裂の回数が決まっている(ヘイフリック限界)ので、
毛を抜くとその分の細胞分裂の回数を使ってしまい、
そのうち生えてこなくなる、とった論調です。

ですが、これは「大嘘」です。

 

毛母細胞は、ずっと毛を作っている訳ではありません。

「毛周期」というサイクルがあり、作ったり休んだり、を繰り返しています。

毛をピンセットなどで抜くとどうなるでしょうか?

その時に毛母細胞なども傷つく事になり、回復するまでしばらく「お休み」します。

その「お休み」の分だけは、少し、薄毛状態になるでしょう。

しかし、その後は普通にまた髪の毛は生えてきます。

 

このため、毛をピンセットなどで抜いたからといって、薄毛になる事はありません

ほとんど変わらず、また生えてきます。

 

 

 

髪の毛は生きていない!

 

さて、細かい話に気を取られると大勢を見失う、という事はよくあります。

また、大きな枠組みに、話を戻しましょう。

髪の毛は「生きていない」というのは皆さんもご存知の通りです。

 

「加齢による白髪」の場合、「髪の毛へのダメージ」によって、直接、白髪になるという事は起こり得ません。

「白髪」とは、「髪の毛を作る時点での異常」です。

白髪という色の問題は、メラニン色素を作るメラノサイトが関わるトラブルです。

では、その原因は何があるでしょうか?

 

 

 

加齢じゃない原因による白髪

 

今回のメインテーマは「加齢による白髪」への対策です。

一応、それ以外の白髪を羅列だけしておきます。

 

・先天性の白髪(遺伝による)

・若年性の白髪(優性遺伝による)

・白斑症に伴う白髪

・円形脱毛症の回復期にみられる白髪

・フォークト・小柳・原田病による白髪(新型コロナのワクチン接種後に発症するという報告が増えており、最近は有名になっています。免疫異常で目のぶどう膜という所に炎症が起き、見えづらくなったり、まぶしくなったりします)

・衰弱による白髪(ビタミンB12重度欠乏、呼吸不全症候群、内分泌疾患など)

・薬剤性の白髪(クロロキンなど)

・神経疾患による白髪

・強い精神的ショックによる白髪(歴史などで一夜にして総白髪になった、みたいなケースです)

 

これらが、「加齢」以外による白髪です。

結構、色々とある事が分かるかと思います。

 

 

 

加齢による白髪の原因

 

大きく分けて2つです。

・血流の低下

・材料不足

この2つです。

 

 

血流の低下

 

メラノサイトの栄養も、血液によって運ばれます

この血流に問題があれば、栄養不足でメラノサイトに影響します。

血流低下の原因は、「動脈硬化」です。

動脈硬化の代表的な原因は下の3つです。

 

・喫煙
・トランス脂肪酸
・糖質過多(糖化、インスリンによる酸化)

 

逆に、この3つの原因を無くせば、血流の低下を防げます。

 

つまり、
・禁煙
・トランス脂肪酸を避ける
・糖質オフ
・抗酸化物質の摂取

が対策となります。

 

また、血流を増加させるものは、
・ビタミンE
・ナイアシン(ビタミンB3)
・ω3脂肪酸

などがあります。

 

 

材料不足

 

材料不足には、下記のものがあります。

・メラノサイトが育つための材料不足
→コラーゲンの不足

メラノサイト自体の材料不足
→アミノ酸の不足

・メラニン色素の材料不足
→チロシンの不足

 

コラーゲンは、体内で作る必要がある、とうのは上記の通りです。

そのままコラーゲンを口から摂ったとしても、消化されアミノ酸にバラされるので意味がありません。

ビタミンCとアミノ酸を材料として、体内で作る必要があります。

そして、「チロシン」もアミノ酸の一種です。

このため、タンパク質を摂りましょう、という事になります。

まとめると、ビタミンCとタンパク質をタップリ摂りましょう、という事です。

 

なお、「BMIが20ない人」は、その時点でほぼ確実に「タンパク質不足」です。

タンパク質をガンガン摂取してください。

理想の量は、体重の2〜3倍です。

とはいえ、タンパク質不足では、胃腸や消化能力が落ちているので、気長に少しづつ食べるタンパク質の量を増やしていきましょう

特に、BMIが18台以下の場合、タンパク質不足の解消には、数年はかかります

なお、そのタンパク質が減らないために脂質の摂取も必要です。

 

 

 

小ネタ:特殊な白髪の例

 

メラノサイトに直接ダメージが与えられて、白髪になる場合があります。

レーザーによる永久脱毛の場合などです。

 

レーザーによる永久脱毛は、レーザーはメラニン色素に光を当てる事で熱を発生させます。

その熱によって、毛乳頭細胞を破壊する事で発毛を防ぐものです。

「焼き切る」という事です。

 

当然ながら、髪の毛の「メラニン色素」が存在する部分が発熱するので、周りにある「メラノサイト」をダメージを受ける事になります

毛乳頭細胞や毛母細胞が生き残り、メラノサイトだけが死滅した場合には、白髪が生えてくる事になります。

 

 

 

 

白髪対策、まとめ

 

・禁煙

・トランス脂肪酸を避ける

・タンパク質をタップリ
→細胞の材料

・ビタミンCもタップリ
→コラーゲンの材料

・糖質オフ

・ナイアシンの摂取
→頭皮の微小血流の増加

・抗酸化物質の摂取

 

 

 

抗酸化物質って?

 

ビタミンC、E

セレン

Fish Oil(ω3脂肪酸)

などなどです。

 

 

 

別枠、ココナッツオイル

 

実際の症例で、完全に全部、白髪だった方が、ココナッツオイルで黒い毛になってきた例がありました

「そんな訳あるかっ!」と思いましたが、私の診察している患者さんだったために、実際に白髪が黒くなっていくのを我が目で確かめました

総白髪だったのが、根本から黒くなっていきました。

 

その方は、認知症対策で摂取したココナッツオイルで、髪の毛が黒くなりました

ココナッツオイルの中の中鎖脂肪酸(MCT)を抽出した、MCTオイルではここまでの効果はありません。

このため、ココナッツオイルに多い「何らかの成分」が、この黒化作用に関係すると推測されます。

最も有名な「ココナッツオイルに多い成分」は、「ラウリン酸」です。

白髪の黒化に関係あるかもしれません。

 

なお、ココナッツオイルの飲み方は下記の通りです。

まずは、1回につき小さじ1杯を摂取。

何かに混ぜて摂る方法もありますが、続けて摂る人は大体が直接スプーンから摂っています。

それで馴れたら、1日3回に、回数を増加。

それに馴れたら、1回量を小さじ2杯などにアップ。

最終的には、1日3回、1回につき大さじ2杯までアップ。

ここまですると、白髪が黒くなるかもしれません。

なにせ総白髪でさえ、黒くなりました。

 

 

 

ごぼう茶は?

 

ごぼう茶には、「サポニン」という物質が含まれます。

これが白髪の「予防」の効果があるかもしれない、と言われています。

しかし、白髪になってしまった後に、ごぼう茶を摂取して黒くなったという例はありません。

効果は弱いようです。

お茶には、有効成分は少ししか含まれません。

このため、そのお茶に「白髪を黒くして」というのは、過大な期待と言えるでしょう。

 

 

 

クリルオイルは?

 

ω3脂肪酸と、アスタキサンチンを含む「クリルオイル」。

「オキアミ」に含まれるオイルです。

この「クリルオイル」で、ω3とアスタキサンチンを充分に摂れるでしょうか?

これを確かめるには、含有量をチェックするとよいでしょう。

1日に
「EPA+DHA」で1000mg、
アスタキサンチンで4〜10mg
が必要な目安です。

 

お持ちのクリルオイルで摂れていますでしょうか?

恐らく、全く不足しているかと思います。

基本的に「複数混じってる」タイプは、量が足りない傾向が高いので無駄になります。

栄養は一定量以下だと、「効果が少ない」ではなく、「効果ほぼゼロ」です。

つまり、上記の量以下を毎日せっせと摂っていても、効果はほぼゼロです。

ご注意下さい。

 

 

 

 

ビオチン療法

 

ビオチン不足でも白髪になります。

ビオチンは、ビタミンB7というビタミンB群(全8種類)の1つです。

逆に、ビオチン不足がある場合、ビオチンを摂取すれば白髪が改善する可能性があります。

 

これを補うための「ビオチン療法」というものがあります。

なお、ビオチンだけ摂っても無効です。

 

ビオチン(ビタミンB7)と、酪酸菌(市販薬はミヤリサン、強力ミヤリサン。ビオスリーにも含まれます)と、ビタミンCを摂る、というものです。

それぞれ、自分でも取り寄せたりできるので、自宅で出来る治療法です。

ただし、これも量が不足すると、効果ほぼゼロです。

ビオチン療法は効かなかった、という記事をネットで見かけますが、殆どは単に量が足りていなかっただけです

 

詳しくは、「ビオチン療法」でお調べください。(サロンメンバーの方はシーズン5記事をご参照ください)

 

以上、白髪対策でした。

 

ABOUT ME
医師水野
内科の医師。2003年に医師免許取得(医籍登録)。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 その後、糖質オフやビタミン・ミネラルなどの情報をブログ、Facebook、Twitterや、講演会などで発信。 監修本「糖質オフ大全科 (主婦の友社)」が中国でミリオンセラーに。 著書は「糖尿病の真実~なぜ患者は増え続けるのか~ (光文社新書)」「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法(エクスナレッジ)」「薬に頼らず血糖値を下げる方法(アチーブメント出版)」、など。