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ガイド34:末端の冷え(順次、公開)
末端の冷え1-なぜ冷えるのか?漢方は? (S3)
末端の冷え2-ツッコミ第一弾 (S3)
末端の冷え3-ツッコミ第二弾 (S3)
末端の冷え4-筋トレの部位は?(S3)
末端の冷え5-実は病気だった?!(S3)
末端の冷え6-レイノー って?(S3)(シリーズ完結)
末端の冷え4-筋トレの部位は?
ご質問があった「冷え対策」としての「筋トレの部位は?」について。
身も蓋も無い話で言えば、「どこでも鍛えれば、その分は温まる」とは言えます。
とはいえ、効果的な部位の候補はあります。
それは以下の2つです。
・体幹の筋肉
・冷える末端(手足)の根本にある大きな筋肉
体幹の筋肉
体幹の筋肉を鍛えれば、体幹部の体温が保ちやすくなります。
すると、手足の血管を締めて血流を落とす必要性が下がります。
つまり、手足が冷えにくくなります。
体幹を服やカイロなどで温めるのと同じ効果です。
体幹を温める事で、末端(手足)が冷えづらくなります。
冷える末端(手足)の根本にある大きな筋肉
足なら大臀筋や大腿四頭筋などが「大きな筋肉」に当たります。
血液が流れていく「根本」で熱を作る事で、その先が冷えづらくなります。
大きな筋肉は鍛える事で、さらにその筋肉量を増やせます。
また筋肉量が増えたかどうかも確認しやすい、というメリットがあります。
直接的に我が目で確認できるのは、いいモチベーションにつながります。
筋トレと共に必要な事
もちろん、いつもお伝えしているように、筋トレには高タンパクが欠かせません。
材料がなければ筋トレをしても、筋肉にダメージが入るだけで、筋肉量は増えません。
そして、「熱を作る」という事自体に、高タンパクと共に、鉄、ビタミン・ミネラルは必須です。
また食後だけでなく、食前や食間も安定して熱を作り出すには「体脂肪を燃やせる状態」を維持するのが必須です。
その「体脂肪を燃やせる状態」のためにも、同じく高タンパクと共に、鉄、ビタミン・ミネラルは必須が必須です。
カルニチンなどは年齢と共に作りづらくなるので、高タンパクの食事をしていても不足する場合もあるかもしれません。
その場合には、カルニチンも別途、サプリで摂る必要があります。
以上をまとめて言えば、「ミトコンドリアの機能を高く保つ」という事です。
高タンパクと共に、鉄、ビタミン・ミネラルは必須が必須です。
おっと、「機能を高く保つ」だけでなく、ミトコンドリアの「数を増やす」のは、運動する事で可能です。
ミトコンドリアは、特に筋肉に多く含まれるため、やはり「数を増やす」という点でも筋トレは有効です。
そういう点で、冷え対策に「筋トレ」はオススメです。
筋トレの種類は?
筋トレをすれば、ミトコンドリアの数が増える。
ここまでは上記の通りです。
では、どんな筋トレをすればミトコンドリアの数が増えやすいのでしょうか?
これ、ちゃんと「答え」が分かっています。
ミトコンドリアの数を増やし安いのは「高強度トレーニング」というものです。
ミトコンドリアは、高強度トレーニングで数が増える!
運動に詳しい方なら誰もが知っている「高強度トレーニング」。
しかし、一般の人には馴染みが無い用語でもあります。
その名の通り、「キッツいトレーニング」です。
目安としては、「10回やるのが限界」という位のキツい運動です。
その最中には、筋肉がプルプル震える感じの運動です。
勘違いしてはいけないのは「息がハァハァ」ではなく、「筋肉がプルプル」です。
現在の所、この「高強度トレーニング」が最もミトコンドリアの数を増やす、と言われています。
とはいえ、他の運動でもミトコンドリアは増えます。
また、筋肉量自体を増やす事でも、ミトコンドリアが増えます。
「高強度トレーニング」はその名の通り「キツイ」ので、なかなか始められないとか、続かないという事がありがちです。
その場合には、このタイプの運動にこだわり続けて「やらない」より、他の運動を続けた方がいいでしょう。
とにかく筋トレを始めてみよう!
なぜ高強度トレーニングでミトコンドリアが増えやすいの?
通常は上記のような「増えるから増える」みたいな雑な説明しかされません。
ウェブなどを見ても「なぜ高強度か?」という事に関しては、説明になっていない、という文章が殆どです。
筋肉は大雑把に分けて、細かい事(白筋のうち速筋タイプIIaは赤筋と同質の作用をもつ、とか)をスルーすれば、下記の通りです。
遅筋=赤筋=持久力=ミトコンドリアが多い
速筋=白筋=瞬発力=ミトコンドリアが少なめ
赤筋は、ミトコンドリアで持続的にエネルギーを作り出す筋肉です。
白筋は、解糖系で「瞬間的に」エネルギーを作り出す筋肉です。ミトコンドリアは、あまり必要ありません。
なお、 「赤筋はなぜ赤いか?」は微妙に長くなるので、この記事の最後に記しています。
ミトコンドリアは酸素を使って代謝するので、血管から酸素を多く取り入れる必要があります。
このため赤筋では毛細血管が多く、それによって酸素を多く確保しています。
そしてその豊富な酸素を使って、ミトコンドリアで各種の代謝をします。
ウェブで「高強度がなぜ効くか?」の説明をしているサイトもありましたが、間違いや説明不足のもの「だけ」でした。
説明不足な理由:速筋(白筋)を使うから
あるサイトには以下のような説明がありました。
が、これでは「説明不足」になってしまいます。
その説明は、こうです。
高強度トレーニングは速筋(白筋)を使う
↓
速筋(白筋)は乳酸を作る
↓
乳酸でミトコンドリアが増える
間違いではありませんが、これは惜しい感じです。
というのも、説明が「途中で」終わっているからです。
これだけの説明だと、速筋(白筋)を使って、その速筋(白筋)の筋細胞中のミトコンドリアが増えるような気がしてしまいます。
が、増えるのは遅筋(赤筋)の筋細胞中のミトコンドリアです。
ん?
なぜ?
「速筋(白筋)」を使うなら、その「速筋(白筋)」の中のミトコンドリアが増えそうな感じがしますよね?
でも、そうではありません。
「遅筋(赤筋)」の中のミトコンドリアが増えます。
えー!?なんで・・・?!
そう思うかもしれません。
その答えとなるキーワードは「細胞間乳酸シャトル」です。
とっても聞き慣れない言葉ですよね?
「シャトル」なんて、スペースシャトルくらいしか、聞いたことありませんよね。
細胞間乳酸シャトル
「細胞間」は、細胞と細胞の間。
乳酸は、そのまま皆さんご存知の乳酸。
「シャトル」は、シャトルバスやスペースシャトルでお馴染みの「行き来するもの」という意味です。
つまり、「細胞間乳酸シャトル」は、その名の通り、「乳酸が細胞と細胞の間を行き来するよ」というものです。
その乳酸が移動するのは、「速筋(白筋)」から「遅筋(赤筋)」へ、です。
そう、「シャトル=行き来するもの」とか言いつつ、実際には「速筋から遅筋へ」の一方通行のみです。
なぜ、シャトルなどと名付けたのか・・・。
全然往復しておらず、速筋から遅筋へ一方通行で乳酸が移動して、エネルギーになります。
速筋をガンガン使うと、その結果、乳酸もガンガン出来ます。
その乳酸を、ミトコンドリアいっぱいの遅筋で使ってエネルギーを使う、という事です。
高強度トレーニングをすると、白筋が乳酸をたくさん作り、それを赤筋のミトコンドリアで処理するため、赤筋のミトコンドリアが増えます。
スッキリしましたね!
まとめると、以下のようになります。
高強度トレーニング
↓
白筋が乳酸を作りまくり
↓
乳酸は赤筋に運ばれる
↓
赤筋の筋細胞内のミトコンドリアで乳酸をエネルギー化
↓
赤筋のミトコンドリアが増える
「細胞間乳酸シャトル」についての元の論文や、専門誌での解説を見たい方は下記をどうぞ。
Intra– and extra–cellular lactate shuttles. Brooks GA. Med Sci Sports Exerc. 2000 Apr;32(4):790-9.
乳酸をどう考えたらよいのか、八田秀雄
体力科学(2010)59, 8〜10
回復を早めるには?
「高強度トレーニング」の後、回復を早めたい。
そんな事を思う場合もある事でしょう。
これについての研究も世の中にはあります。
そうトレーニング後に、「少し動いておいた方が回復が早まる」というものです。
これを「動的回復 (Active recovery)」と呼びます。
強度の高い運動をすると、皆さんもご存知のように血中の「乳酸」濃度はかなり上がります。
その運動後に軽度の運動をすると血中乳酸濃度の低下が早くなる、というものです。
このため高強度トレニーングを数分間の休憩をはさんで再び行う場合には、完全に動かないでいるよりも少し身体を動かしていた方が、血中乳酸濃度の低下は早くなります。
元の論文は以下に(英語です)。
Lactic acid removal rates during controlled and uncontrolled recovery exercise. Belcastro AN, Bonen A. J Appl Physiol. 1975 Dec;39(6):932-6
キッツいのはちょっと、という方は?
しかし、少しきつめの有酸素運動を、運動に慣れていない人には大変なもの。
そこでおすすめの運動が以下の2つです。
(1)インターバル速歩
早歩きを3分+ゆっくり歩きを3分。
以上を1セットとして、5セット行うものです。(計30分)
これを週4回など行う感じです。
(2)普段の生活で早歩き
普段忙しくて運動する時間が作れない。
そんな方も多い事でしょう。
まぁ、まずそれが「思い込み」にしかすぎません。
「時間が無い」というのは、単に優先順位が低い、というだけの事です。
こちらのTEDを参照してください。
ローラ・ヴァンダーカム·TEDWomen 2016
自由時間を上手に使いこなす方法
という事ですが、話を「運動する時間が無い」などという戯言(たわごと)に戻しましょう。
そのような人は、日常生活に早歩きと取り入れるだけでも、マシだよ、というお話です。
というのも、「1分だけ」早歩きを加えるだけでもミトコンドリアを刺激する、などと言われているからです。
これなら流石に早歩きが出来る人なら、誰でも出来ますね。
赤筋が赤い訳
結論から言えば、赤い色になる要因は「ミオグロビン」です。
速筋線維は白っぽい色をしているため別名「白筋」、それに対して遅筋線維は赤みを帯びているため「赤筋」と呼ばれています。
このような色の違いが生まれる主要な要因は、筋肉の中に含まれている「ミオグロビン」というタンパク質にあります。
ミオグロビンは、血液で運ばれた酸素を中につかんでおき、代謝に必要な時までキープする役割を持っています。
ミオグロビンは球状になっており、その「タマ」の中で、酸素分子を1つキープします。
タンパク質で酸素を蓄えておく、なんていうと少し不思議な感じがしますね?
で、その酸素とくっついているミオグロビンは見た目が赤くなります。
これが筋肉が赤い原因です。
そして、遅筋(赤筋)は、酸素を多く使うためミオグロビンも豊富です。
そのために赤みが強くなります。
一方で、速筋(白筋)は、酸素をあまり使わないため、ミオグロビンも少なく、白っぽい色味になります。
これが、「遅筋(赤筋)」は、「速筋(白筋)」よりも見た目が赤くなる原因です。
以上、末端の冷え4-筋トレの部位は?、でした。
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