この記事は、有料オンラインサロン過去記事(シーズン1~3)の公開版です。
現サロン(シーズン4&5)に参加希望の方はコチラをご覧ください。
フェリチンの基準値は医師によって違うの?
そんな疑問をもつ人もいるかもしれません。
結論からいえば「医師によって違う」のは、「基準値」ではなく「その医師の判断基準」です。
フェリチンの”判断基準”は医師によって違う。基準値自体はほぼ同じ。
ん?
何か違うの?
本記事は、そう思う方向けの内容です。
1.基準値の意味
「基準値」は、あくまで健康(と思われる)人を集めて、95%の人が収まる範囲の事です。100人集めたとしたら。95人が収まる数値が「基準値(=基準範囲)」となります。概ね、この基準値(基準範囲)に収まっている場合に、「数値は正常」と考えられます。
基準値は、健康(と思われる)人を集めて、95%の人が収まる範囲の事。
さて、この「検査」自体について。
実は、検査会社毎に、検査に使う機器や条件・方法などが微妙に異なります。このため、検査会社ごとに「基準値」は異なります。検査の前提条件が違うのに、全く同じ「基準値(基準範囲)」になる訳がありません。
血液検査の”基準値”は、検査会社によって微妙に違う
特にバラつきが大きいものの例としては、糖尿病に関する検査の「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」などがあります。HbA1cは、特に「測定誤差」が大きい事も有名です。HbA1cは、検査会社の機会や測定方法によっても違うし、同じ条件で測定しても誤差が大きめな検査項目です。なので、HbA1cの0.1%などの微妙な違いに一喜一憂し過ぎるのは意味がありません。
「検査会社によってバラつきが多きい」というのは、他の医療機関で測定した数値があまりアテにならない、という事に他なりません。
つまり、HbA1cについては他の医療機関で測定した数値があまりアテになりません。
わずかHbA1cの0.1%の違いが治療方法の選択に影響を及ぼすだけに、この「違いの大きさ」については、常に考慮が必要になります。
逆にいえば、「基準値が違う」というのは、あくまで「検査会社」単位での話です。
上記の「基準値」の定義から、そうなります。
「医師によって違う」といのは、基準値ではありません。
2.基準値は概ね同じ
また、微妙に会社によってフェリチンの基準値は違いますが、概ね日本人女性のフェリチンの基準値「5〜100」程度です。日本人女性のフェリチン基準値が「最低でも100以上!」だったり、「100〜450」などという検査会社は存在しません。
もちろん、ある程度の幅はあり、フェリチンの基準値が「10〜150」という場合もあります。それでも、「100〜450」という基準値(基準範囲)はありませんし、基準値の定義から言ってもそうなりません。
なお、本来は女性であっても、最低でもフェリチン100以上が「健康的」なのですが、100以上あると「異常値」扱いされます。「基準値(基準範囲)」の定義が上記のようなので、現在の日本の状況からこうなるのは当然の結果です。
3.正しくは「その医師の判断基準」
医師によって違うは、その医師の「判断基準」です。
あくまで「判断基準」であって、「基準値」とは異なります。
細か過ぎじゃないの?
そう思うかもしれません。
しかし、ことフェリチンの基準値においては、話が違います。
というのも、「フェリチン低値が異常とされない理由」の根幹がこの「基準値の決め方」の問題に直結するからです。
日本人女性のフェリチンの基準値が「不健康」なのは、日本人女性の多くが鉄欠乏であるためです。
大半が不健康な状態だと、「基準値」もその決め方から「不健康」な範囲となります。
つまり、検査結果の数値が「基準値」内だから、「正常」とされる場合にも、実は「不健康」という事があり得ます。
フェリチンはこの典型的な例です。
基準値の「5〜100」の範囲に入っていれば、検査結果は「正常」とされますが、実際にはむしろ不健康です。
100をこえていなければ、むしろ「鉄欠乏」の状態で、不健康です。
検査結果が「基準値内」でも、異常だったり、病気だったり、不健康な事がある
「フェリチン35で基準値内だから正常!」いいえ、とんでもありません!
フェリチン40以下は、むしろ「重度の鉄欠乏」です。
しかし、基準値のみを判断基準にしていると、こういう事が分かりません。
基準値は「絶対的に正しい」という思い込みは捨てましょう。
「正常範囲だけど、本当に健康的か?」
こういう視点が必要です。
その他も色々とありますが、そちらについては、こちらをご参照ください。
以上、フェリチン関連の話題でした。
この記事は、有料オンラインサロン過去記事(シーズン1~3)の公開版でした。
現サロン(シーズン4&5)に参加希望の方はコチラをご覧ください。