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鉄サプリと生理出血シリーズ
お問合せ「藤川理論やってます。鉄サプリを摂ったら生理の出血が増えたけど、どうしたらいいの?」(S3)
鉄サプリと生理出血の栄養対策1-子宮筋腫に効かないもの
鉄サプリと生理出血の栄養対策2-子宮筋腫と子宮内膜症
鉄サプリと生理出血の栄養対策3-出血対策とEPA・DHA(シリーズ完結)
鉄サプリと生理出血の栄養対策-3(シリーズ完結)
お問合せ「藤川理論やってます。鉄サプリを摂ったら生理の出血が増えたけど、どうしたらいいの?」の回答、栄養編
その3記事目です。
出血が止まらない間にする事
生理を止める系の薬は、すぐに出血を止めてくれますが、やはりそれまで失い続けた分を補充する必要があります。
また、ビタミンDによる子宮筋腫の縮小効果はゆっくりですので、筋腫が消えるまでは出血は続きます。
(1)タンパク質
出血する、という事は鉄と一緒にタンパク質も流出しています。
また、出血部分の「修復」にもタンパク質を使います。
やはり、何をさておいても、タンパク質が最重要です。
(2)鉄増量
「現状で足りない分」と「(生理を止めない場合は)出ていく分の鉄」の両方を補う必要があります。
ベストは、フェリチン値を測定しながら、鉄サプリの量を調整する事です。
フェリチン値は、炎症や肝障害などの病的上昇がない状態で、「最低100」が目標です。
できれば、300台あると、手術や外傷の出血、妊娠・出産などの不足の鉄減少があっても耐えられます。
鉄サプリは、1日100mgが目安で、フェリチン値が増えない場合には最大1日300mgが必要になる場合もあります。
なお、今までの記事で何度かご紹介しましたように、フェリチン値の自宅測定キットが現在はあります。
リ・スタート株式会社、『自宅でフェリチン検査!「鉄欠乏推定検査マイクロセルフキット&アプリ」』
ただし、炎症や肝障害については、自宅測定キットだけでは測定できません。
(3)トラネキサム酸
「副作用が少なめ」な止血剤が「トラネキサム酸」。
市販薬の成分にもなっている位、安全性が高めです。
ただし、少ないとはいえ、副作用ゼロではありません。
最大の副作用は、「血栓」です。
止血の作用は、そのまま血管を詰まらせる作用に他なりません。
このため動脈硬化しまくってる人は、トラネキサム酸の服用はやめておきましょう。
脳や心臓の血管が詰まってから後悔しても遅いのです。
なお、トラネキサム酸は、お肌のシミを取る作用もあるため、市販薬にも含まれている成分です。
例えば、市販薬では肝斑対策の「トランシーノII」など。
「トランシーノII」は、ビタミンCなどの他の成分も含まれています。
なお、「トランシーノ」という名前でも、種類によってはトラネキサム酸が入ってないタイプもあります。ご注意ください。
トランシーノなら、全部が「トラネキサム酸」入りな訳ではない。
他にも「トラネミック」というものがあり、こちらは成分がトラネキサム酸のみです。
そして、トランシーノよりお安いです。
個人輸入代行の「オオサカ堂」などで入手可能です。が、素人(医師以外)の方にはオススメしません。
とはいえ、大切な事なので再度記載しておきますが、医師の処方薬でもあり、副作用もある成分です。
何かあっても完全に自己責任の世界です。
病院に通院しており医師に処方してもらう場合はともかく、そうでないならトラネキサム酸を自分で摂るのはやめておいた方がいいでしょう。
むしろ、婦人科でミレーナなどを入れてもらう方がオススメです。
トラネキサム酸は医薬品の成分。副作用あり、注意。
(4)ビタミンE
ビタミンEは、別名「女性のビタミン」と呼ばれる事は以前、別の記事でもお伝えした通りです。
ビタミンEは、ビタミンDが持っているような筋腫縮小効果はありません。
が、生理痛や月経前症候群などの症状を和らげる効果があります。
ビタミンEは、女性ホルモンの生成を助け、生殖機能を保護する働きがあります。
また、血管を保護し全身の血行を良くするので、生理痛、生理不順の原因の1つである、「体の冷え」を防ぐ効果があります。
ただし、このようにビタミンEには「血液サラサラ効果」があるため、出血量が増える可能性がある点には注意が必要です。
(5)ビタミンB群(特にB1とB6)
あまり一般の人は知らないのが症状緩和にビタミンB群が効く、という事。
病気が原因でない生理痛、生理不順の場合は、ビタミンB6を摂ることで症状が改善されます。
ビタミンB6も、イギリス月経前症候群協会の治療ガイドラインで重要視されている栄養素です。
月経前はエストロゲンが減少するに伴ってセロトニンの分泌も変化しますが、PMSに悩まされる女性は特に血中のセロトニン濃度が低下している傾向にあります。
脳のセロトニンが不足すると抑うつやイライラなどの精神症状が出たり、甘い物や主食類の高糖質な食べ物を過食しやすくなります。
ビタミンB6はセロトニン合成の補酵素として必要になるため、精神不安定や食欲増加が気になるPMSの方には積極的に摂取するといいでしょう。
また、ビタミンB6は、女性ホルモンの分泌バランスを整える働きがあり、生理痛・生理不順の両方に効果がある栄養素です。
(とはいえ、うつ病などに対するセロトニン仮説自体は、最近になって否定されてきています)
ビタミンB6は以下の効果を持ちます。
・体タンパクの合成や造血に関与
・脳の働きに関与
・神経伝達物質の生成や抗アレルギー作用に関与
・脂質の抗酸化に働く
・免疫を刺激し、がん細胞の増殖を抑制
そして、ビタミンB6は、女性ホルモンの「エストロゲン」の代謝にも必要です。
このため、ビタミンB6が不足すると、月経前症候群の「うつ症状」などが起きやすくなります。
「こてつ名誉院長のブログ」も引用しておきましょう。
「生理痛、PMSには、1)C+E高用量、2)B6+Mgが効果があります。
C1000*6+E400*5を推奨しています。
これでほとんどの人が楽になるようです。
効果が不十分なら、B6(B50*6)+Mgを推奨しています。」
(5)マグネシウム
マグネシウムは月経前症候群や生理中の諸症状を緩和する効果が期待できます。
イギリス月経前症候群協会(NAPS)の治療ガイドラインでは、マグネシウムの十分な摂取を推奨しています。
マグネシウムを摂取することで、頭痛、甘い物への渇望、乳房の張りや痛み、神経の緊張といった症状の緩和が期待できます。
マグネシウムは不足しがちなミネラルです。
近年の国民健康・栄養調査の結果から、月経のある女性の平均摂取量は推奨量の7割程度でしかないことがわかっています。
では、この「マグネシウム不足の原因」はなんでしょうか?
代表的な原因を以下に挙げておきます。
・アルコール多飲:アルコールの多飲により 尿中にマグネシウムを排泄する量が増加します
・牛乳摂取:体内のカルシウムとマグネシウムの割合は、一定に保つ必要があります。しかし毎日のように牛乳を飲み続けると、牛乳中のカルシウムによって、相対的にマグネシウムが不足します。
・発汗過多:マグネシウムは汗とともに大量に排泄され不足します
・糖質:糖質の代謝にマグネシウムが大量に消費され不足します。
・加工品や清涼飲料水の摂取:これらにはリンが多量に含まれます。このリンによって、マグネシウムの吸収が邪魔され、マグネシウムが不足します。
・添加物や農薬等の摂取:解毒するために肝臓でマグネシウムを消費し、不足します。
(6)オメガ3脂肪酸(DHAやEPAなど)
オメガ3脂肪酸は、DAHやEPAの事です。
抗酸化作用や血流改善効果のために、PMSや生理の諸症状、子宮筋腫などにいい影響がある、と言われています。
ただし、血液サラサラ効果があるため、出血量が増える可能性がある点には注意が必要です。
他にもプロスタグランジンの影響も考えられています。
生理痛が起こる原因の一つに、プロスタグランジンの産生過剰が考えられています。
プロスタグランジンは全身の平滑筋を収縮させて頭痛、吐き気を引き起こします。
プロスタグランジンは子宮収縮を促し子宮内膜を経血として排出させる働きをもっており、これが『過剰に』分泌されてしまうことが問題になります。
そのプロスタグランジンを抑えるのがEPAやDHAです。
EPA・DHAとプロスタグランジン
私達人間は、多くの種類がある「不飽和脂肪酸」のうち、「リノール酸」と「α-リノレン酸」を合成できません。
リノール酸はオメガ6系脂肪酸の一種で、α-リノレン酸はオメガ3系脂肪酸の一種です。
リノール酸 = オメガ6系脂肪酸の一種
α-リノレン酸 = オメガ3系脂肪酸の一種
これら 2 種の不飽和脂肪酸は動物にとって不可欠であり、動物はこれらを食物として摂取する必要がありますのでこれらを「必須脂肪酸」と云います。
ω6系不飽和脂肪酸(リノール酸など)は以下のように代謝されていきます。
リノール酸
↓
γ-リノレン酸
↓
アラキドン酸
.
そして、この「アラキドン酸」からプロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどの重要な生理活性物質が合成されます。
プロスタグランジンなどの「アラキドン酸代謝産物」は、炎症や細胞のがん化を促進したり、がん細胞の増殖を速めるという健康面でネガティブな作用があります。
が、その一方で、プロスタグランジンなどの「アラキドン酸代謝産物」は悪さばかりをしている訳ではありません。
実は、体のいろんな生理作用に必要な脂質でもあります。
このため、私達人間は、食物(植物および肉類)としてリノール酸を摂取しなければ生存できません。
一方で、ω3系不飽和脂肪酸(α-リノレン酸など)は、以下のように代謝されていきます。
α-リノレン酸
↓
エイコサペンタエン酸 (EPA)
↓
ドコサヘキサエン酸 (DHA
この「ω3系不飽和脂肪酸」は炎症やアレルギーを抑え、血栓の形成や動脈硬化やがん細胞の発育を抑える、などの健康にポジティブな作用があります。
このようにオメガ6は健康面にネガティブな作用を持つものの、ゼロだと私達は生きていきません。
一方で、オメガ3は健康面にポジティブな作用があり、体内に多くあれば健康を維持できます。
ω6系は、ヤバい作用あり
ω3系は、健康になる
このために、オメガ3とオメガ6の割合が、健康面で重要になってきます。もちろん、オメガ3系脂肪酸が多い方が健康的です。
そして、オメガ3系脂肪酸が多ければ、オメガ6系脂肪酸から作られる「プロスタグランジン」を抑えると言われています。
実際に、食物中のα-リノレン酸(ω3系)/リノール酸(ω6系)の比を上げる(=ω3を多くする)と、血栓性疾患、脳梗塞および心筋梗塞、炎症、アレルギー、発がん、がんの転移、高血圧などの発症率が低下するという報告があります。
EPA・DHAの摂り方
オメガ3系の脂肪酸の代表的なものは、EPAやDHAです。
EPAやDHAは青魚や魚介類に含まれるオメガ3系の脂肪酸で、プロスタグランジンの過剰な産生を抑制し生理痛を和らげます。
また、EPAを摂取することで赤血球の膜の柔軟性が保たれて末梢まで血流が行き届くようになり、冷えから来る腰の痛みが改善する可能性があります。
ただし、EPAやDHAは熱で酸化しやすくまた調理中に流出しやすく、焼くと2割、揚げると5割も減ってしまいます。
また、焼いたり揚げたりといった高温調理ですと、酸化して体にむしろ有害になってしまいます。
EPAやDHAを摂る場合は、刺身などの生で魚を食べるか、サプリで摂るようにしましょう。
EPAやDHAを摂るなら、生かサプリ
また、オメガ3系脂肪酸のサプリは、EPAやDHAの純度が低いものが殆どです。
この場合は、他の脂肪酸がEPAやDHAの吸収の邪魔になります。
さらには「多く飲めば吸収されるだろう」と思いがちですが、純度が低いと「他の脂肪酸が吸収の邪魔をする」ため、サプリの量を増やしてもEPAやDHAの血中濃度が上がらない事が分かっています。
つまり、国内で店頭販売されているオメガ3系脂肪酸のサプリは、全て純度が低過ぎて「無意味」です。
iHerbなどでEPAやDHAの純度が高いものを選びましょう。
純度が低いEPA・DHAのサプリは、意味なし
例えば、iHerbのプライベートブランドのもで純度が高めだと、下記のものになります。
ただし、DHAが混じっているものは「健康維持」レベルの効果です。
「動脈硬化を治したい」レベルの効果を求める場合は、「EPAのみ」のものを摂りましょう。
健康維持と治癒には、大きな「差」があります。
維持するだけなら大した事は必要ありませんが、「治す」となると、グッと大変になります。
「治す」のは、「健康維持」よりも、はるかにハードルが高い
以上、鉄サプリと生理出血の栄養対策-3、でした。これで、シリーズ完結です。
鉄サプリと生理出血シリーズ
お問合せ「藤川理論やってます。鉄サプリを摂ったら生理の出血が増えたけど、どうしたらいいの?」(S3)
鉄サプリと生理出血の栄養対策1-子宮筋腫に効かないもの
鉄サプリと生理出血の栄養対策2-子宮筋腫と子宮内膜症
鉄サプリと生理出血の栄養対策3-出血対策とEPA・DHA(シリーズ完結)
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