糖質オフライフ

糖質オフの禁忌と注意

今回は糖質オフの禁忌と注意について。

「糖質オフの禁忌(きんき)」というのは
「糖質オフったらダメ、ぜったい」という事です。

すべての人によい単一の食事療法はありません

万能に近い糖質オフでも、例外ではありません。

糖質オフの禁忌となる疾患があります。

もちろん一律にダメという訳ではないですが、糖質オフの理解のある主治医とよく相談する必要があります。

糖質オフに理解のない主治医と相談すると、鼻で笑われるだけですので、主治医を変えましょう。

最初に病名・状態を挙げます。

禁忌は4つ、注意は2つ、あります。

禁忌4つ

・非代償性肝硬変
・活動性膵炎
・長鎖脂肪酸代謝異常症
・尿素サイクル異常症

注意2つ

・糖尿病薬を使用中
・腎機能低下(腎不全を含む)

 

以下、順に説明していきます。

 

禁忌その1:非代償性肝硬変

 

非代償性肝硬変とは、肝硬変の末期的状態です。

いよいよ肝臓がダメになり各種栄養が使えない状態です。

 

この時に糖質オフをするとどうなるか?

血糖値を最低限保つのには「糖新生」といって蛋白質から血糖を作る事が「肝臓で」行われます。

しかし、非代償性肝硬変では肝機能が落ちているため、この糖新生がうまくいきません。

その状態で糖質をひかえれば、そのまま低血糖になっていきます。

 

また、健康な方は糖質をオフしている場合、「脂質」をメインエネルギーとして使います。

しかし、非代償性肝硬変では糖新生がうまく出来ないのと同時に、
「脂質」も上手く使えないので、
糖質と脂質の両方からエネルギーが作りづらくなります。

このため、非代償性肝硬変で糖質をオフると、
「低血糖」かつ「脂質も使えない」というダブルノックアウト状態となり、
重いエネルギー不足の状態となってしまいます。

生命に危険が及ぶ可能性も充分あります。

このため非代償性肝硬変での糖質オフは「禁忌」=「やってはダメ」です。

 

もちろん、逆に肝硬変になっていても、肝臓の機能がある程度残っていれば糖質オフが可能な可能性があります。

糖質オフの理解のある主治医とよく相談しましょう。

 

 

禁忌その2:活動性膵炎

 

「活動性膵炎」とは、膵炎で炎症がまっさかりな状態です。

治療は食事を全面的に禁止し、膵臓の炎症をとめる点滴をします。

治ったかな、と思って食事を始めるだけで、すぐに炎症がまた再燃して、食事なし点滴状態にもどったりもします。

膵炎は、思った以上に長引いたり、落ち着いたかなと思うとまたぶり返す、という厄介な病気です。

食事を止めるくらいですので、糖質オフというか経口摂取自体がアウトです。

少し治ってきたかな、くらいの時でも「脂質」を摂取すると、膵液が分泌され、その膵液で自分の膵臓が溶けるのでやはりアウトです。

一旦、しっかり治しましょう。

食事も「膵臓食」として出されるものを食べましょう。

しばらくは脂肪分は禁止です。

この考え方もそのうち変わるかもしれませんが、現状ではこの治療法が世界のスタンダードです。

膵炎も慢性期になり炎症もはっきりしない、そんな時には糖質オフが可能な事がほとんどです。

ですが、やはりデリケートな病気ですので、糖質オフに理解のあり膵炎をよく見ている主治医とよく相談しましょう。

糖質オフに理解があっても膵炎への理解や経験がない医師だとコントロールができない可能性があります。

膵炎の場合は、しっかりした内科医、消化器医に相談しましょう。

 

 

禁忌その3、長鎖脂肪酸代謝異常

 

まれな病気です。

小児期から症状を発症することが多いです。

難病に指定されており、毎年10〜50人の新規患者があります。

L-カルニチンの補充などで治療されます。

これは「長鎖脂肪酸」というタイプの脂質が使えない、という疾患です。

このため糖質をおさえて脂質を使うという事ができず
糖質オフの禁忌となるわけです。

詳細は難病情報センターに載っています。

 

 

禁忌その4、尿素サイクル異常症

 

この病気も聞き慣れないかと思います。

「尿素サイクル」というのは
体内で発生してしまう「毒素」の「アンモニア」を
肝臓で「尿素」に変えて毒性を低くする代謝経路です。

この代謝経路のうちのどこかに異常があるため、
毒素である「アンモニア」が体内にたまったり、
その他のトラブルが起きるのが
「尿素サイクル異常症」
です。

患者さんは、8,000人〜44,000人に一人の割合で発症すると言われています。

「尿素サイクル」のうちのどこに異常があるのか、で病気の症状などが変わってきます。

また、遺伝する病気である事が知られています。

 

で、この「尿素サイクル」はタンパク質の代謝経路でもあるため、
従来の高糖質食よりタンパク質の摂取量が増える糖質オフをすると
アンモニアが体内に溜まるなどの問題が起きます。

このため、「尿素サイクル異常症」では糖質オフが禁忌となります。

 

尿素サイクル異常症も難病情報センターに詳しく載っています。

 

 

以上が禁忌の4つでした。

 

 

次に注意すべき状態について。

注意その1、糖尿病薬を使っている場合

 

糖尿病で低血糖を起こすような薬剤を飲んでいる、
またはインスリンを注射している方は
絶対に自己判断で糖質オフを開始しないでください。

低血糖で倒れ、最悪の場合は死に至ります。

(糖質オフではなくインスリンでですが)
低血糖性昏睡で植物状態になった方を何例も診ています。

脳梗塞になった方のような症状になります。

 

インスリンは血糖値を無理矢理下げる作用があるので、低血糖になってもどんどん血糖値が下がります。

糖質オフをしていると、本当に以前よりも血糖値が上がらなくなるので、そこで以前のようにインスリンを打つと必ず低血糖になります。

糖質オフの理解があり、インスリン増減の経験豊富な医師にかかってください

糖質オフをしていてインスリンを増減するのは大変難しいです。

 

また内服薬はSU剤が最も低血糖になります。

具体的な薬剤としては、
・アマリール(グリメピリド)
・ダオニール(オイグルコン、グリベンクラミド)
・グリミクロン(グリクラジド)
などがあります。

インスリン並みに血糖値をどんどん無理矢理下げますので、血糖値が上がらない糖質オフをそのまますると低血糖で倒れます。

何なら糖質オフをしていなくても、低血糖で倒れる薬です。

私の祖母は糖質オフはしていませんでしたが、意識不明となり救急搬送された事がありました。

たまたまその時に実家に帰って居合わせたので救急車に同乗しました。

そしたら、このSU剤を発見。

すぐに低血糖発作と分かりました。

SU剤自体がすでに時代遅れの薬となってきています。

ほぼ私は処方しません。

低血糖のリスクが高いですし、膵臓に負荷をかけますし、高インスリン血症にもなります。

SU剤が処方されている皆さんも、すぐに主治医を変えましょう。

糖質オフに理解のある医師にかかりましょう。

間違いなく今後の治療効果が変わります。

場合によっては人生が変わります。

今は患者さんが大学病院・専門医から逃げてくる時代です。

インスリンを打てと言われた、ネットで探して先生の所に来ました、そういう時代です。

そうして自分の未来を切り開くのです。

 

注意その2、腎機能低下(腎不全を含む)

 

腎臓の機能も低下すると、食事の制限が出てきます。

特に「リン」や「カリウム」といったものが身体から出せなくなってきます。

このため、腎機能がどれくらい残っているか?で、糖質オフのやり方も変える必要があります。

また、人工透析を既にしている場合には、糖質オフが出来ない場合もあります。

無理に糖質オフをしても、透析の時間が長くなり、変えって生活しづらくなったりする事もあります。

腎機能は計算して算出する「eGFR」という数値が、60mL/分以上の場合は、糖質オフをしても通常は問題ありません

それ以下の場合には、注意が必要で、腎臓と糖質オフに理解が深く経験豊富な主治医の元での糖質オフの検討が必要になります。

 

以上、禁忌と注意でした。

ABOUT ME
医師水野
医師水野
医師、アキバ水野クリニック院長。 2003年に医師免許取得(医籍登録)、2019年2月13日にアキバ水野クリニックを開設、院長となる。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 97単位に及ぶインスリンの自己注射を不要とするなど、2型糖尿病患者の脱インスリン率100%という実績を打ち出す。 糖質制限やインスリンを使わない治療法などの情報をブログ、Facebook、Twitterや、講演会などで精力的に発信。 現在は、がんに対するビタミン・ケトン療法も実践中。 著書は「薬に頼らず血糖値を下げる方法」「みるみるやせる・血糖値が下がる 最強の糖質制限ガイドブック」など。