今回は、鉄欠乏に関する知見について。
糖質オフあるある、の「食後に満たされない!」のページでも取り上げた鉄欠乏について、です。
この記事の続編はコチラ。
鉄欠乏って?!
鉄欠乏による貧血は、一般の方が思っている以上に存在します。
閉経前の日本人女性のほとんどが「鉄欠乏」です。
肥満、糖尿病、癌などの方もかなりの確率で鉄欠乏の状態です。
鉄欠乏の症状
鉄欠乏の症状としては、下記のようなものがあります。
貧血症状、異味症、さじ状爪(spoon nail)、舌乳頭萎縮、口角炎、嚥下障害、
頭痛、易疲労性、全身倦怠感、体動時の動悸、息切れ、失神。
特殊な症状として、氷や土などを食べる異食症(pica)。
こういう症状、見た事ないですか?
頭痛、息切れ、疲れやすい、ダルいといった症状です。
これで外来を受診された方は鉄欠乏を疑います。
さらに異食症は特徴的です。
エネルギーのない、しかもちょっと変わったものを食べたくなるという症状です。
鉄パイプに噛み付きたくなる、という方をみたこともあります。
氷が一番メジャーです。
氷をガリガリ一年中食べたくなる、という人は鉄欠乏の可能性があります。
鉄欠乏で精神症状が!?
そして鉄欠乏から「うつ病」様症状、パニックなどの精神症状を起こす方がいます。
さらに鉄欠乏はあるのに「貧血」がない方もいます。
これが分かりにくい。
基本的に鉄欠乏を疑うのは「貧血」があるか、「異食症」のような特徴的な症状がある時です。
ただダルい、頭痛がする、疲れやすいなどではあまり測定されません。
ですが、このような鉄欠乏からの精神症状や異食症、異味性などに鉄分を補給すると驚くほど症状がおさまるか、消えてしまいます。
私も何例も経験しました。
患者さんの表情も会うたびに明るくなります。
治っていくのがものすごく実感できます。
そう、たった1つの事、「鉄を補充」するだけで。
貧血がないのに、とすごく意外でした。
貧血がなくて鉄欠乏が?
貧血がなくても鉄欠乏はあるのです。
言われてみればそりゃそうだ、ですが、通常「鉄欠乏かどうか」を検査するのは貧血時です。
貧血はないのに、「うつ」や「パニック」様の症状がある方で鉄欠乏があるという場合はあります。
血清鉄もあまり低くなく、フェリチン値(貯蔵鉄)のみが20〜30と低めという場合でも、鉄剤によってフェリチン値を高くすると精神症状が改善する場合もあります。
鉄分は非常に大切なので、手持ちの現金(血清鉄)に加えて貯金分もあります。
これがフェリチン(貯蔵鉄)です。
この銀行預金に相当するフェリチン値が低値なだけでも精神症状が現れる方がいるのです。
フェリチンは貯蔵鉄という別名がありますが、細胞の中の鉄を表します。
フェリチンが少ないという事は、細胞内の鉄が不足している、という事につながります。
すると細胞内での代謝がうまくいかず、細胞内のエネルギー不足が起こります。
脳細胞でエネルギー不足が起きれば、メンタルの症状が出る、という事です。
鉄に関する動画
前ページでも貼り付けした動画、こちらにも再掲しておきます。
鉄と精神面に関する素晴らしい本3冊
現在は精神科医師、藤川先生の本が3冊も出ています。
どの本も素晴らしい本で、理解がすすみます。
以下の3つです。
以上、鉄不足について、でした。
なお、この記事の続編はコチラ。