糖質オフライフ

食後も満たされない?

糖質オフをしていると
「食べても満たされない」
「食べた気がしない」
というのはよくある事です。

「砂糖と同じ甘さ」とうたっている「ラカントS」でさえも
甘さが足りないと言われる事もあります。

 

なぜ糖質オフ食は食後に満たされないか?

 

糖質オフでは蛋白質と脂質を摂ります

すると糖質を摂取した時のような
食後の高血糖が起こりません

つまり「あの満ち足りた感じ」が来ないのは、
食後にも血糖値が上がらないからです。

 

糖質オフでは食後に血糖値が上がらないため
糖質摂取時のような「幸福感」が来ない

 

今までは、糖質いっぱいの食べ物を摂取して、血糖値が上がって「満たされた」となっていた事でしょう。

しかし、糖質オフ食ではいつまでも血糖値は上がりません。

なので食後に、「食べ足りない」「物足りない」という感じがします。

食後の高血糖はそれ自体がリスクですし、その後に高インスリン血症も起きますので臓器障害なども起きます。

食後高血糖は良いことはないのです。

つまり、「あの満たされた感じ」は来ないのが正常なのです。

 

食後の「満ち足りた感じ」こそが
食後高血糖・高インスリンとイコールで、実は不健康だった。

 

糖質オフでの「満腹感」は、
糖質摂取時の「満腹感」とは違います

私も初めの頃は経験しました。
「あれ?おかしいな?」とさらに食べていました。

これはしばらくすれば慣れます。

糖質オフ時の「胃にモノが入った」という満腹感を
「ああ、これが血糖値が上がらない時の満腹感なんだ」
と、自然に気づくようになります。

最初は無理に我慢せずに蛋白質と脂質の量は制限しなくて良いと思います。

蛋白質・脂質についてはガッツリ食べて良いです。

 

糖質オフの初期の「物足りない」時には
満足するまで蛋白質と脂質をガッツリ摂ればよい。

 

我慢せずに蛋白質と脂質を摂った方が健康的

 

また、我慢して摂取量も制限するとエネルギー不足となります。

なぜなら代謝がしっかりと切り替わっていないからです。

糖質漬け生活の後遺症で、脂質が上手にまだ使えない時期だからです。

糖質いっぱいの食べ物で、インスリンが1日3回もドバドバでている状態だと、
インスリンによって
脂肪酸・ケトン体代謝(アブラを使う回路)
も、
糖新生(蛋白質から血糖を作る回路)
も錆びついた状態になっています。

 

糖質オフをすることで、数週間から数ヶ月で、
「糖質代謝メインで他の回路は錆び付いている状態」
から
「脂肪酸・ケトン体代謝、糖新生のシステムがバッチリ」
の状態に切り替わります。

 

代謝の切り替わりの時期はぐっとやせる

 

この切り替わりの状態では脂質の不完全燃焼が起き、ケトン体が呼気中などに発散され、体重がぐっと減る時期です。

「ケトン体という本来は使えるエネルギー」を外に出しているため、その分、やせるのです。

切り替わりがある程度終わると、脂肪酸・ケトン体システムが効率よく脂質を使えるようになるので空腹感がぐっと減ります

そして、無理して食べなくて良い、という事に自然に気付けます。

その時まで量自体を減らすのは待ちましょう。

自分の体の代謝の切り替わりを待ってあげましょう。

 

もう1つの糖質オフ初期にやせる理由

 

なお、糖質オフ初期にやせる理由はもう1つあります。

それは「インスリン過剰」の解除によります。

インスリンの基本的な作用の1つに
「尿を作る途中で水分と塩分を、再度体内に引き込んで出さないようにする」
というものがあります。

1日3回の糖質まみれ生活では、
1日3回も大量のインスリンが分泌されます。

この大量のインスリンの作用で、
体内に常に「余計な」水分と塩分が溜まる事になります。

 

よく「糖質オフで最初にやせるのは水分が出て行くだけ」という話を聞くかと思います。

とんでもない!!

 

糖質オフで最初にやせるのは水分が出て行く
「だけ」
というのは大間違い。

 

その裏で起きているのは「過剰なインスリンの毒性からの開放」です。

水分が出て体重が減るのはその「毒性からの開放」による良い点の1つに過ぎません。

 

身体には「過剰なインスリンの毒性からの開放」
という素晴らしい事が起きている。

 

逆に、今も1日3回糖質まみれ生活をしている人達は、今も「過剰なインスリン」による害を、日々、毎食毎食受け続けています。

 

ずっとお腹が満たされないのが続きます・・・

 

でも、いつまで経ってもお腹の減りが変わりません、という方もいるかもしれません。

それでもお腹が減るのはナゼでしょうか?

 

実はまだまだ糖質を摂っている場合

 

1つ目は、まだまだ糖質を摂っている場合です。

糖質をとれば、インスリンによって脂肪酸・ケトン体システムや糖新生が
「強烈にブロック」
され、いつまでも代謝が切り替わりません。

脂質を使えず、血糖値もキープしづらい状態では
当然、空腹感も強くなります。

摂取している糖質の量を再度、チェックしましょう。

 

慣れないうちは意外と糖質を摂ってしまっています。

糖質オフってない「あるある」

・コメは食べていないけどジュースは飲んでいた
・透明なジュースは大丈夫だと思っていた
・果物は良いと思っていた、
・雑穀米だから良いと思っていた

 

ほんとうに色々です。

「蛋白脂質食のA4説明書」で懇切丁寧に説明した
次の外来でさえこういう事があります。

蛋白脂質食の説明書!蛋白脂質食(タンパク脂質食、PF食、PFD)というものがあります。 その説明書が今回の記事。 今回の改訂(2...

 

大雑把には上記の蛋白脂質食A4説明書でチェック。

細かくは江部先生の本「食品別糖質量ハンドブック」などや、ネットで調べましょう。

 

 

鉄が不足している場合

2つ目は鉄分の不足です。

女性に多い状況です。

貧血がなくても鉄欠乏の場合があります。

かかりつけの医療機関で血清鉄、TIBC、フェリチン(貯蔵鉄)を測ってもらうと良いです。

鉄欠乏自体でも異食症になります。

氷やへんな食べ物を食べたくなる、という人は鉄を測定してもらうと良いでしょう。

 

ほとんどの日本人女性が鉄不足なのはナゼか?

 

この動画で説明しています。

 

 

以上、糖質オフしていると食後も満たられない理由、でした。

ABOUT ME
医師水野
内科医。2003年に医師免許取得(医籍登録)。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 その後、糖質オフやビタミン・ミネラルなどの情報をブログ、Facebook、YouTubeなどで発信。 監修本「糖質オフ大全科 (主婦の友社)」が中国でミリオンセラーに。 著書は「糖尿病の真実~なぜ患者は増え続けるのか~ (光文社新書)」「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法(エクスナレッジ)」「薬に頼らず血糖値を下げる方法(アチーブメント出版)」、など。