ケトン体

ケトン体は3種類

今回は、ケトン体自体について。

 

助手くん
助手くん
ハカセ!ケトン体ってよく聞きますが、何かハッキリ分かりません・・・
ハカセ  
ハカセ  
そうじゃな、ここでしっかり知っておけばバッチリじゃ!

 

 

 

宗田先生の本

 

このブログの「ケトン体」関連の記事に関してはコチラ。

https://mizunodoc.jp/archives/category/ケトン体/

 

色々とケトン体について書いていますが、ケトン体自体についてはサラっとしか書いてきませんでした。

ついに基本中の基本を書き始めます。

しかし、医学生の頃に「ケトン体なんてあんまり大したものじゃないんでしょ。3つって何だっけなぁ・・・」とか思いつつ勉強していたのが懐かしいです。

 

無茶苦茶、重要でした。
御見逸れしました。

そしてこんなに「ケトン体」「ケトン体」と言う日が来るとは夢にも思っていませんでした。

人生は驚きで満ちていますね。

なお、今すぐガッツリ「ケトン体」について知りたい方は宗田先生の本を読むと良いです。凄い本です。

 

 

 

 

ケトン体には3種類ある

 

「ケトン体」には3種類あります。

その3つとは、
・β-ヒドロキシ酪酸(3-ヒドロキシ酪酸)
・アセト酢酸
・アセトン

の3つです。

 

<ケトン体には3種類ある>

・β-ヒドロキシ酪酸(3-ヒドロキシ酪酸)
・アセト酢酸
・アセトン

 

 

 

 

β-ヒドロキシ酪酸

 

この最初の「β-ヒドロキシ酪酸」はケトン基(R1-(C=O)-R2)という構造を持っていませんので、厳密にはケトン体ではありませんが、「慣習的に」ケトン体に含められています。

また、尿や血液で簡易的に測る場合は「β-ヒドロキシ酪酸のみ」を測る事が多いです。

ケトン体の簡易測定器についてはコチラ。

ケトン体の簡易測定器って?今回は、ケトン体を血液で測る機器について。 上記の写真のような、自分で使える簡易測定器ですね。 「簡易測定器...

 

血液中のケトン体の大部分は、この「β-ヒドロキシ酪酸」で、血中ケトン体のうち7〜8割程度を占めます。

 

「β-ヒドロキシ酪酸」で、血中ケトン体のうち7〜8割程度を占める

 

 

 

アセト酢酸

 

ケトン体は肝臓で作られます

そして、血液にのって全身に配達されます。

 

ケトン体という「すぐに使えるエネルギー」「お弁当」を肝臓が作ってくれて、全国発送している感じです。

 

肝臓さんは、すぐに食べられるお弁当(ケトン体)を全国発送している感じ。

 

肝臓さん、ほんと働き者です・・・。

 

 

そして、肝臓で最初に作られるのがこの「アセト酢酸」です。

しかし、アセト酢酸はほっておくと、めっちゃ揮発しやすい「アセトン」に勝手に変わり、揮発して飛んでいってしまいます(呼気、汗、尿などから)

 

という事で、肝臓では最初に「アセト酢酸」を作った後に、大部分を上記の「β-ヒドロキシ酪酸」に変換し、安定化させます。

「β-ヒドロキシ酪酸」は揮発性が低いため、勝手に飛んでいって無くなる、という事がありません

 

肝臓さんは、「アセト酢酸」を「β-ヒドロキシ酪酸」に変えて、安定化している。

 

なお、「アセト酢酸」は、血液中の全ケトン体の1〜2割程度を占めます。

 

医療機関で「血中ケトン体分画」というのを測ってもらうと量が分かります。

健康な人の場合は保険は効きません。

糖尿病の状態が悪く、ダルい、などの状況であれば保険適用がある場合「も」ある、といった感じです。

 

医療機関での「血中ケトン体分画」の測定は、ほぼ保険が効かない

 

 

 

アセトン

 

 

上で書いたように、肝臓で作られる「アセト酢酸」が勝手に変化してしまうのが、この「アセトン」です。

 

「アセト酢酸」は勝手にどんどん「アセトン」に変化する。

 

 

アセトンは尋常じゃなく揮発しやすいので、呼気、汗、尿から勝手に飛んでいって無くなってしまいます

 

アセトンは尋常じゃなく揮発しやすい

 

 

このアセトンがいわゆる「ケトン臭」というニオイの元になります。

糖質オフ生活を始めた当初には、アセトンが増えるで、匂いの原因となります。

常温で高い揮発性があるので揮発して匂いとして感じる訳です。

 

糖質オフ初期の「ケトン臭」今回は糖質オフ初期の「ケトン臭」について。 ケトン臭って何? 「糖質まみれ」な状態から「糖質...

 

ついでに、これはあまり知られていませんが、アセトンには強い引火性があって、燃えます

アセトンは、別名「ジメチルケトン」とも表記されます。

 

 

 

で、ケトン体って何なの?

 

で、このケトン体は何なのか、というと脂質とタンパク質の代謝産物です。

といっても、主に「脂質」が原料です。

 

食べた脂質や蛋白質が代謝されると一部がケトン体になる、という事です。

 

 

 

ケトン体のメリット

 

ケトン体は体内に多いと

・神経の働きを安定化させる

・癌細胞の増殖を防ぐ

・各種の炎症を起こしにくくなる

 

などのメリットがあります。

ですので、
・難治性てんかん
・各種の癌
・自己免疫疾患などの難病

の方は、ケトン体が多い状態をキープできれば改善する可能性が期待されています。

 

 

 

ケトン体のデメリットは?

 

健康な状態であれば増える事によるデメリットはありません

むしろ、増えれば増える程、より健康的になります。

 

 

糖尿病の状態が良くない時にもケトン体は増えますが、これは「インスリンの作用不足」が原因です。

ケトン体はその「結果」増えるだけです。

ケトン体が原因ではなく、結果です

 

小児の脱水で増えるケトン体も同じです。

「脱水」やエネルギー不足、代謝異常などが「原因」です。

ケトン体は原因ではありません。

 

 

以上、ケトン体って何?でした。

ABOUT ME
医師水野
内科医。2003年に医師免許取得(医籍登録)。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 その後、糖質オフやビタミン・ミネラルなどの情報をブログ、Facebook、YouTubeなどで発信。 監修本「糖質オフ大全科 (主婦の友社)」が中国でミリオンセラーに。 著書は「糖尿病の真実~なぜ患者は増え続けるのか~ (光文社新書)」「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法(エクスナレッジ)」「薬に頼らず血糖値を下げる方法(アチーブメント出版)」、など。