公開サロン記事

健診・検診は何をすれば?-2

 

この記事は、有料オンラインサロン過去記事(シーズン1~3)の公開版です。

健診について書いていますが、繰り返し書いているのは「素人判断しない事」という事です。

医師でもない方が素人判断すると、大間違いになるかもしれません。

部分的な知識だけで、しかも人間のごく一面だけから健康状態を「分かった」と考えるのは、的外れになりがちです。

くれぐれも、素人判断だけで行動しないようにしましょう

 

素人判断だけで行動しない

 

 

 

健診・検診シリーズ一覧

 

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健診・検診は何をすれば?-2

 

 

 

項目一覧の再掲

 

まずは、健診・検診で測定する項目の一覧を再掲します。

血算: WBC(白血球数)、RBC(赤血球数)、Hct(ヘマトクリット)、Hb(ヘモグロビン)、Plt(血小板)。炎症・アレルギーなどがあるなら「白血球分画(血液像)」も。

栄養: TP(総タンパク)。出来ればALB(アルブミン)も。

肝臓: GOT(AST)、GPT(ALT)、γ-GTP(γ-GT)、ALP。

腎臓: BUN(尿素窒素)、Cr(クレアチニン)。

脂質: TG(中性脂肪)、HDL、LDL。(TC:総コレステロールは不要)

代謝: UA(尿酸値)、HbA1c、BS(血糖値)。

TM(腫瘍マーカー): どうしても何か測りたいならCEA、男性は40代以降ならPSA。

便検査: 40歳以降なら、必ず便潜血2回を。

鉄: 女性なら絶対に鉄の検査。血清鉄、TIBC(またはUIBC)。できれば、フェリチンも。炎症があれば更にCRPも。

画像検査: 頭痛が酷いなら一度は頭部MRI。

前記事(1記事目)では、血算について説明しました。

この記事(2記事目)では、続きの「栄養」を見ていきましょう。

 

 

 

 

 

栄養

 

検査項目: TP(総タンパク)。出来ればALB(アルブミン)

 

TP(総タンパク)。出来ればALB(アルブミン)も、健康な人の場合には、ほとんど異常値にはなりません。

が、TPやALBの、どちらかでも低値なら、かなりの栄養不足(タンパク質不足)です。

TPやALBに出ないタンパク質不足については、GOT、GPT、ALP、BUN、Crなどでチェックします。

 

 

 

 

 

肝臓

 

検査項目: GOT(AST)、GPT(ALT)、γ-GTP(γ-GT)、ALP

 

このうち、GOT(AST)、GPT(ALT)、ALPの3つは、肝臓の障害の目安になるとともに、タンパク質不足かどうかの目安にもなります。

 

 

GOT(AST)、GPT(ALT)

 

GOT(AST)、GPT(ALT)は、肝障害の目安になるのと共に、タンパク質不足の目安にもなります。

タンパク質の目安としては、
「GOT(AST)、GPT(ALT)がともに20以上」
というのが目安になります。

数値が10台なら、タンパク質不足の可能性があります

 

γ-GTP(γ-GT)は、あまりタンパク質不足の目安としては使えません

というのも、γ-GTPが低過ぎる時には、とっくに他の数値が変化しているからです。

一応、γ-GTPが基準値よりも低ければ、タンパク質不足です。

 

また、γ-GTPは、やたらめったら上がり安いので、上がっていても「だから何?」状態な事も多い数値です

つまり、γ-GTPが、見かけ上「基準値内」でも、病的な要因などで上がっているのと、タンパク質不足で低下しているのが、「相殺(そうさい)」されているだけ、という可能性もあります。

このため、γ-GTP(γ-GT)単独ではなく、他の数値と併せて判断する必要があります。

 

 

ALP

 

ALPは、肝臓系の数値であると共に、タンパク質不足の目安にもなります。

肝臓で上がっているのか、それ以外で上がっているのかを調べるために「ALP分画」という検査項目もあります。

 

ALPは1〜6の種類があり、普段測定されているALPはこの6種類の「合計値」です

なお、それぞれの種類が増える原因は以下のようになります。

ALP1の出現 : 閉塞性黄疸、限局性肝疾患(肝膿瘍、転移性肝癌、胆道胆石症)
ALP2の増加 : 急性・慢性肝炎(ウイルス性、薬剤性)、胆道系疾患(肝内胆汁うっ滞、原発性胆汁性肝硬変)
ALP3の増加 : 骨疾患(骨転移癌、クル病、骨軟化症)、副甲状腺機能亢進症
ALP4の出現 : 妊娠後期、悪性腫瘍の一部(肺癌、すい癌、白血病など)
ALP5の出現 : 肝硬変、慢性肝炎、糖尿病、慢性腎不全
ALP6の出現 : 潰瘍性大腸炎の活動期

 

出現とか増加とか書き分けていますが、どっちも「数値が上がってる時」と思ってください。

 

タンパク質の目安としてのALPの数値は、最低180以上、できれば200以上、というのが目安になります(旧測定法の場合)

また、つい最近になり検査方法が変わった項目ですので、何年も前のALPの場合には数値が全く違っている可能性があります。

 

 

ALPの検査方法が変わった?

 

検査方法を決めている団体の声明を見て見ましょう。

「日本臨床化学会(JSCC)では、関連団体・学会からもご賛同をいただき、ALPとLDの常用基準法を国際臨床化学連合(IFCC)の基準測定操作法と同一の測 定法(IFCC 法)に変更することと致しました。2020 年 4 月 1 日より準備の整 った施設から変更を開始し、1 年間での達成を目指します。」

という事で、ALPの検査方法は変わり切ったばかり、という感じです。

 

変更になった理由は2つです。

・古い検査方法だと、血液型がB型とO型の約8割で病気などがなくても、高めの数値が出てしまうため

・世界標準に合わせるため

古い検査方法では、新しい検査方法(IFCC法)の3倍ほどの数値になっていました。

 

ALPの基準値が、成人男女で38〜113 U/L などになっていれば、新しい検査方法(IFCC法)です

新しい測定法の場合には、80以上が望ましい目安です

 

 

 

 

腎臓

 

検査項目: BUN(尿素窒素)、Cr(クレアチニン)

 

読み方は、BUNが「ビーユーエヌ」、Crが「クレアチニン」です。

医学会の業界用語としては「バンクレ」と2つセットで略される事もあります。

「先生、バンクレが上がってます。腎障害と脱水が両方キテます」などと、使われます。

 

BUNとCrは、どちらも腎臓の機能の目安となる数値です

ですが、最近の健康診断では、コスト削減のため殆どが「Cr」しか測らなくなってきています。

 

BUN(とCr)は、腎機能の数値であるとともに、どちらもタンパク質や筋肉の量の目安となります

BUNは20未満、Crは0.6未満なら、タンパク質不足の可能性があります

Crの基準値は「男性 : 0.5~1.1、女性 : 0.4~0.8」となっていますが、0.6未満では、ほぼタンパク質不足です。

当然、脱水や腎機能障害など病的な上昇分については、差し引いて判断する必要があります。

 

 

BUN/Cr比

 

腎臓に関心が高い、イケてる内科医なら誰しも気にしている指標の1つが「BUN/Cr比」

さらに慣れてくると、イチイチ計算しなくても、何となく比が分かってきます。

読みは、そのまま「ビーユーエヌ・クレアチニン・ヒ」です。

一般の方は、ほぼご存知ない数値です。

知ってたら「此奴、デキるッ!」となる数値です

 

とはいえ、BUN/Cr比自体は、とってもシンプルに計算できます。

BUNの数値を、Crの数値で割るだけです。

BUN/Cr比=BUN ÷ Cr

どシンプルです。

例えば、BUNが20、Crが1なら、20÷1で、BUN/Cr比は20となります。

ですが、この超単純な「割っただけの数値」が、バカにできません。

一体、どんな役に立つのでしょうか?

 

BUNは「尿素窒素」の略です。

このBUN(尿素窒素)は、血中尿素に含まれる窒素成分を表したもの、です。

つまり、「尿素中の窒素成分」が「BUN(尿素窒素)」です。

この、尿素が作られる段階の最初は、「タンパク質の分解」です。

タンパク質が分解されるとアンモニアが発生します。

アンモニアは毒性が高いので、肝臓で代謝されて、毒性の低い「尿素」に変換されます。

肝臓で作られた「尿素」は、腎臓の糸球体で「濾過(ろか)」されます。

糸球体の次は、「尿細管」という場所で、尿素の約50%が「再吸収」されて体内に戻っていきます。

残りの約半分の尿素は、そのまま尿の一部として排出されます。

 

ですが、腎臓の機能が低下すると、尿素を尿に出せなくなっていきます

すると、血液中に尿素の窒素成分(=BUN)が多くなります。

つまり、BUNの数値が高くなります。

このため、腎機能が低下すると、BUNが身体に溜まって数値が上がります

 

しかし、それ以外にも、BUNの数値は影響を受けます。

むしろ、BUNは腎臓以外の要因(=腎外性因子)の影響を受けやすくあります

例えば、腎臓に流れ込む血液の量(腎血流量)が減ると、それだけで、BUNの数値は上がります

脱水症や心不全などでは、腎血流量が低下するため、BUNは上昇します。

これは、腎血流量の低下に伴って、尿細管から尿素窒素の再吸収の割合が増加するためです。

「再吸収」が増えるため、血液中の尿素の窒素成分(=BUN)も増える事になります。

 

そして、逆に、クレアチニンはBUNほど、腎臓以外の要因の影響は受けません

このため、BUNとCrを比べる事で、他の診察・検査の結果とあわせて、腎臓以外の「何が要因か?」を、大雑把に推測する事ができます

 

具体的には、以下の要因があります。

BUN/Cr比>10~20
・循環血液量の減少:下痢、嘔吐、過度の発汗、心不全、利尿薬、出血性ショック等
・尿素窒素産生の亢進:高蛋白食、アミノ酸輸液、消化管出血等
・蛋白異化亢進:外科的侵襲、火傷、出血、重症感染症、癌、甲状腺機能亢進症、高熱、副腎皮質ステロイド、テトラサイクリン系抗菌薬等

BUN/Cr比<10
妊娠(循環血液量の増加)、多尿(尿崩症、マンニトール利尿等)、低蛋白食、重症肝不全等

 

以上、健診・検診の2記事目、でした。

 

まだ途中ですが、ここまでの所でも個別に説明していくと、結構、内容があります。

とはいえ、これでも「メジャードコロ」に絞った内容です。

本来、病気などを正確に判断するためには、もっと「基礎知識」が必要で、さらにそれに加えて「経験」も必要になります

「検査の数値」は、一般の方が思っているのとは違い、万能には程遠いモノです

 

数値だけで正常や異常など、判断がつかない場合や、判断を間違う場合も、非常に大奥あります。

「一見以上だけど正常」や、「一見正常だけど異常」などの、例外的バリエーションを「身をもって体験する」事が大切です。

この記事で説明しているのも、ほんの要点のみ、の話です。

この記事だけで検査結果の数値を判断しないようにしましょう

 

 

この記事だけで検査結果の数字を判断しない!

 

 

 

 

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ABOUT ME
医師水野
内科の医師。2003年に医師免許取得(医籍登録)。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 その後、糖質オフやビタミン・ミネラルなどの情報をブログ、Facebook、Twitterや、講演会などで発信。 監修本「糖質オフ大全科 (主婦の友社)」が中国でミリオンセラーに。 著書は「糖尿病の真実~なぜ患者は増え続けるのか~ (光文社新書)」「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法(エクスナレッジ)」「薬に頼らず血糖値を下げる方法(アチーブメント出版)」、など。