公開サロン記事

健診・検診は何をすれば?-1

この記事は、有料オンラインサロン過去記事(シーズン1~3)の公開版です。

健診について書いていますが、繰り返し書いているのは「素人判断しない事」という事です。

医師でもない方が素人判断すると、大間違いになるかもしれません。

部分的な知識だけで、しかも人間のごく一面だけから健康状態を「分かった」と考えるのは、的外れになりがちです。

くれぐれも、素人判断だけで行動しないようにしましょう

 

素人判断だけで行動しない

 

 

 

 

健診・検診シリーズ一覧

 

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健診・検診は何をすれば?-1

 

最近はとにかく「コスト削減」で、「会社の健診」は項目数がやたら少なくなっています

少な過ぎて、殆ど何も分かりません。

セットで判断する項目ですら、そのうちの一つだけ、なので判断できません。

 

 

 

最低限するといい健診項目

 

では、最初に「健診でもこのくらいは」という一覧です。

血算: WBC(白血球数)、RBC(赤血球数)、Hct(ヘマトクリット)、Hb(ヘモグロビン)、Plt(血小板)。炎症・アレルギーなどがあるなら「白血球分画(血液像)」も。

栄養: TP(総タンパク)。出来ればALB(アルブミン)も。

肝臓: GOT(AST)、GPT(ALT)、γ-GTP(γ-GT)、ALP。

腎臓: BUN(尿素窒素)、Cr(クレアチニン)。

脂質: TG(中性脂肪)、HDL、LDL。(TC:総コレステロールは不要)

代謝: UA(尿酸値)、HbA1c、BS(血糖値)。

TM(腫瘍マーカー): どうしても何か測りたいならCEA、男性は40代以降ならPSA。

便検査: 40歳以降なら、必ず便潜血2回を。

鉄: 女性なら絶対に鉄の検査。血清鉄、TIBC(またはUIBC)。できれば、フェリチンも。炎症があれば更にCRPも。

画像検査: 頭痛が酷いなら一度は頭部MRI。

 

一般向け、かつ、ざっとのリストなので、省略している項目はあります。

 

 

一応、個々の説明

 

一覧の数値について、個々に説明していきます。

 

 

 

血算

 

検査項目:WBC(白血球数)、RBC(赤血球数)、Hct(ヘマトクリット)、Hb(ヘモグロビン)、Plt(血小板)。炎症・アレルギーなどがあるなら「白血球分画(血液像)」も

 

「血算(けっさん)」とは、全血球計算(CBC、complete blood count)の略です。

血液の成分の内、液体ではない成分の検査です。

つまり、血球成分の検査です。

白血球、赤血球、血小板について調べるのが、「血算」です。

検査項目としては、以下の5種類です。

WBC(白血球数)、RBC(赤血球数)、Hct(ヘマトクリット)、Hb(ヘモグロビン)、Plt(血小板)。

 

 

 

白血球分画(血液像)

 

白血球は、リンパ球、好中球、好酸球、好塩基球、単球などの種類に分かれます。

この白血球の種類ごとの割合を調べる検査を「白血球分画(血液像)」と言います。

炎症やアレルギーがある場合には、「どの白血球が増えたり減ったりしているか?」も大切になります。

より的確に鉄の量を推測する場合には、この「白血球分画(血液像)」も測定しておくと役立ちます。

例えば、アレルギーがあるけど炎症が無い場合には、「白血球数が多い」けど炎症は無いので「フェリチンは影響を受けない」、という事になります。

白血球の中の種類である各血球が増えるのは以下の場合です。

好中球 : 白血病、肺炎、脳炎、骨髄炎など
好酸球 : ぜんそく、アレルギー性皮膚炎、寄生虫疾患など
好塩基球慢性白血病、多血症など
単球 : 麻疹、水痘など
リンパ球 : 結核、梅毒、バセドウ病、百日咳など

 

 

 

MCV

 

赤血球に関わる数値には、3つあります。

RBC(赤血球数)、Hct(ヘマトクリット)、Hb(ヘモグロビン)の3つです。

このうち2つの数値を使って「割り算」したものがあります。

当然、3種類あり、MCV、MCH、MCHCの3つがあります。

が、病気などの判断に使うのは「MCV」のみです。

MCVは、「平均赤血球容積、mean corpuscular volume」の略で、

MCV=Hct(ヘマトクリット)÷ RBC(赤血球数)

です。

正確には、ケタ(桁)を合わせるために10を掛け算するので、
[ヘマトクリット値(%)÷赤血球数(106/㎣)]×10
となります。

MCVの読み方は、そのまま「エムシーブイ」と読みます。

Hct(ヘマトクリット)は、赤血球の「体積」です。

Htとも表記されます。

 

血液を採取して試験管に放置したり、グルグルブン回して遠心分離した場合、血球成分が下側に、液体成分が上側に分離します。

その下側部分の「体積」が、Hct(ヘマトクリット)です。

実際の検査は「ヘマトクリット毛細管」という筒状のものを使って、血球部分の高さと全体の高さから割合を計算します。

その「体積(Hct)」を「数」で割ったものが、MCVです。

 

つまり、赤血球1つあたりの「大きさの目安」です。

MCVの数値が小さければ、赤血球の大きさが小さい、という事を意味します。

逆に、MCVが数値が大きければ、赤血球の大きさが大きい、という事です。

赤血球は、病的な状態などになると、大きくなったり、小さくなったりします。

栄養関係で言えば、典型例には、ビタミンB12や葉酸の不足で大きくなり、鉄不足で小さくなります。

MCVの基準値は、大まかに言えば80〜100です(実際は検査会社によって基準値が異なります)。

「貧血」があった場合には、MCVによって「原因が何か?」を大まかに推測できます。

貧血があり、MCVが小さい、つまり赤血球が小さい場合には、「小球性貧血」と呼びます。

逆に、貧血があり、MCVが大きい、つまり赤血球が大きい場合には、「大球性貧血」と呼びます。

 

 

 

球が小さい、小球性貧血

 

「小球性貧血(貧血+MCVが低値)」の原因は3つあります。

鉄欠乏性貧血、鉄芽球性貧血、サラセミア

この3つです。

鉄芽球性貧血は、酸素を運ぶタンパク質の「ヘモグロビン」を作れなくなる病気です。

このため赤血球内に鉄が溜まってしまった状態の「鉄芽球」が増えていきます。

先天性(遺伝性)の場合と、血液のがんや薬物などによる後天性とが、あります。

サラセミアも、正常な「ヘモグロビン」を作れない病気です。

こちらは、先天性(遺伝性)の病気で、ヘモグロビンの遺伝子異常が原因です。

「常染色体優性遺伝」という遺伝の仕方をするため、両親のどちらかがサラセミアだった場合には、子もサラセミアになる可能性が高くなります。

自然発生する事は殆どないと言われています。

 

 

 

球が大きい、大球性貧血

 

小球性貧血は3つありましたが、大球性貧血は殆どが「ビタミンB12や葉酸の不足」が原因です。

貧血があって、MCVの数値が高ければ、「ビタミンB12や葉酸の不足」状態である可能性が高い、という事です。

 

 

 

あれ?気づきましたか?MCV正常の罠

 

で、当サロンにご参加の皆さんなら、気づいた事でしょう。

「MCV正常」の罠に。

鉄不足があれば、代謝がうまく回りません。

ミトコンドリアがうまく働きません。

効率の高いミトコンドリアでの代謝が起きづらくなります。

その代わりに、細胞質の中で起きる効率の低い「解糖系」という代謝が働きます。

 

この状態では、タンパク質も脂質もエネルギーにならず、糖質のみがエネルギー源となってしまいます。

さらにその糖質も効率が低いため、少量しかエネルギーを取り出せません。

つまり、「エネルギー源は糖質のみ」で、「糖質も少量しかエネルギーにならない」という状態です。

結果として、「糖質のみ」を「大量に必要」になります

 

お米大好き、パン大好き、麺大好き、スイーツ大好きな方々が、この状態です。

体温や血圧が低くなり、疲れやすくなります。

太るか、ボケるか、癌になります。

 

この状態では、「糖質のみ」を「大量に必要」のため、糖質まみれの食生活になります。

糖質を摂りまくると、代謝でビタミンB群を使いまくる事になります。

ガンガン、ビタミンB群が使われていきます。

それなのに、大量に摂っている糖質まみれの食事には、ビタミンB群が殆ど含まれていません。

早晩、ビタミンB群が不足しまくる事になります。

そうです、結果として「鉄不足」かつ「ビタミンB群不足」の状態になります

 

なお、葉酸はビタミンB群の1つ(B9)です。

(小メモ:ビタミンB群→B1、B2、B3(ナイアシン)、B5(パントテン酸)、B6、B7(ビオチン)、B9(葉酸)、B12の8種類)

ここで、思い出してみましょう。

「鉄不足」だと、MCVは小さくなる。

「ビタミンB群不足(B12や葉酸)」だと、MCVは大きくなる。

?!!

 

では、両方あったら?!

そう、場合によっては、「MCVが普通」の事もあります。

実際に患者さんに何度も言った事があります。

「MCV、これ基準値内です。しかし、実際は鉄不足かつビタミンBの不足というめっちゃ不健康な状態です」

そして、日本人女性の殆どが鉄不足かつ糖質摂りまくりです。

メタボのおじさん方も、殆どが鉄不足かつ糖質摂りまくりです。

結果、一般の方が思っている以上に「MCV正常」なのに「超不健康」という状態の方々がいらっしゃいます。

検査結果というものは、「基準値内」だから「健康」という事では、ありません

基準値内でも「不健康」というのは、結構あります。

 

検査結果の数字が「基準値内」だから「健康」という事ではない

 

 

だから医師以外では判断できない

 

このような「基準値内だけど不健康」という状態は、結構あります。

逆に「異常値だけど健康」もあります。

さらに、「足りているようで不足」や、「過剰なようで不足」なども色々とあります。

これらを的確に判断するためには、以下の事が必要です。

・よく勉強している事
・数値と本人の状態を比較する事
・数を経験している事

「数」というのも、10や20では全く不足しています。

1000以上の症例数を診てナンボ、です。

勉強していても、数を診ていないと「例外」や「見かけの数値かどうか」が分かりません。

こうして検査について書く度に、「自己判断はオススメできない」と書いているのには、こうした理由があります

 

以上、健診・検診シリーズの1記事目、でした。

 

 

健診・検診シリーズ一覧

 

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ABOUT ME
医師水野
内科の医師。2003年に医師免許取得(医籍登録)。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 その後、糖質オフやビタミン・ミネラルなどの情報をブログ、Facebook、Twitterや、講演会などで発信。 監修本「糖質オフ大全科 (主婦の友社)」が中国でミリオンセラーに。 著書は「糖尿病の真実~なぜ患者は増え続けるのか~ (光文社新書)」「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法(エクスナレッジ)」「薬に頼らず血糖値を下げる方法(アチーブメント出版)」、など。