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ガイド34:末端の冷え(順次、公開)
末端の冷え1-なぜ冷えるのか?漢方は? (S3)
末端の冷え2-ツッコミ第一弾 (S3)
末端の冷え3-ツッコミ第二弾 (S3)
末端の冷え4-筋トレの部位は?(S3)
末端の冷え5-実は病気だった?!(S3)
末端の冷え6-レイノー って?(S3)(シリーズ完結)
末端の冷え6-レイノーって?(シリーズ完結)
まずは、レイノーと名のつく3つの簡単な説明を再掲しておきます。
・レイノー現象:寒い時に手が真っ白・紫・赤色などになる「現象」の事。
・レイノー病:症状が「レイノー現象」のみで、他に病気が無いもの。
・レイノー症候群:症状に「レイノー現象」があり、他の病気があるもの。
前記事で、「病」と「症候群」の違いについても説明しました。簡単に違いを言えば、こうなります。
レイノー病:他の病気が “無い“
レイノー症候群:他の病気が ”ある“
では、レイノー症候群の続きです。今回で、「末端の冷え」シリーズが堂々完結!です。
レイノー症候群を起こす病気って何だろう?
レイノー症候群は「原因となる病気」があるもの。
そこまでは説明してきました。
では、その「原因となる病気」には、どんなものがあるでしょうか?
レイノー症候群の原因となる代表的な病気のひとつが「全身性強皮症(Systemic sclerosis:SSc)」です。
全身性強皮症の発症者の9割ほどでレイノー現象がみられるといわれています。
その他、「全身性エリテマトーデス」や「シェーグレン症候群」でもレイノー現象がみられることがあります。
という事で、レイノー症候群の主な原因を、以下に挙げておきます。
・膠原病(全身性強皮症、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、関節リウマチ、多発性筋炎・皮膚筋炎)
・閉塞性動脈疾患(バージャー病、ASO:閉塞性動脈硬化症)
・血液疾患(クリオグロブリン血症)
・薬の副作用
・振動によるもの(振動工具を職業的にもちいる場合)
振動によるもの、というのは振動で毛細血管がダメージを受けており、血流が低下している状態で起きます。
血液が指先などに届きづらくなるため、寒冷刺激で血管がキュッと締まると、「虚血(きょけつ)」状態になりレイノー現象を起こします。
薬の副作用は、血管がキュッと締まる系や、血液をかためる系(止血剤など)の作用を持つ薬剤で起きます。
まぁ、当たり前ですね。
では、クリオグロブリン血症については、お分かりになりますでしょうか?
医師でも内科系の医師でないと、「ん?あぁ・・・そういう病気もあったような」くらいの認識になってしまう病気です。
内科系の医師でも、血液内科以外では、あまり日常的な診療で見かけない病気です。
一般の方は、「クリオグロブリン血症」という名前は、ほぼ「初耳」なのではないでしょうか?
クリオグロブリン・・・?
ここで突然出てきた「クリオグロブリン血症」について、少し説明しておきます。
グロブリンについては、大丈夫でしょうか?
血液中にある「2大タンパク質」が「アルブミン」と「グロブリン」です。
「アルブミン」は色々な役割がありますが、「モノを運ぶ」的なイメージを持っておけばいいでしょう。
通常は血液中のタンパク質の「6割」がアルブミンです。
6割!
実に、半分以上です。
で、「グロブリン」は免疫に関するタンパク質です。
皆さんご存知の「抗体」も、「免疫グロブリン」の一種類です。
通常は、血液中のタンパク質の「3〜4割」がグロブリンです。
血液中のタンパク質は、概ね、アルブミンが6割、グロブリンが4割と思っておけばいいでしょう。
で、「通常は〜割」と、「通常は」としつこく書いたのは、この割合が変化するからです。
典型的には、炎症などが起きるとグロブリンが作られまくるので、グロブリンの比率が高くなります。
血液中のタンパク質をサラっとまとめると、こうなります。
・アルブミン:モノを運ぶ。6割。
・グロブリン:免疫に関係。4割。
さて、「グロブリン」まで説明しました。
次は、「クリオグロブリン」について、です。
「クリオ」は、冷たいとか、冷凍の、という意味です。
クリオグロブリンは、冷たくなると固まる性質のある免疫グロブリンです。
より具体的には、37℃より低い温度で沈殿し、37℃で加温すると再び溶ける性質をもつ免疫グロブリンです。
37℃以下でそんな感じになるので、体内のあちこちで、健康にダメージをくらう事になります。
中・小血管の血管に炎症(血管炎)を引き起こしたり、血管が詰まったりします。
そして、「なぜそんなグロブリンが出来てしまうのか?」も全くもって不明だったりもします。
クリオグロブリン血症は、検査も特異的な検査はなく、治療法もありません。
クリオブロブリンが出来る原因は不明。特異的検査も治療法もない。
レイノー現象に関する検査は?
レイノー現象のみなら「レイノー病」で、他の病気があるのは「レイノー症候群」。
では、こういった「レイノー現象」が起きている時、どんな検査をするのでしょうか?
実は、コレ!という検査がある訳ではありません。
1つの検査でビシッと診断できればいいのですが、そのような検査はまだありません。
アレやコレやで色々して診断がつく、という感じです。
また、レイノー症候群だった場合には「原因となる病気」があります。
そういった他の病気がないかもチェックします。
特に自己免疫性疾患(膠原病)についての検査を行います。
主に血液検査で、「〜抗体」といったものを調べます。
また、「レイノー現象」が起きるかどうか?自体は、「寒冷誘発試験」という検査を行います。
シンプルな検査で、氷水で手指を冷やした後、サーモグラフィーを使って皮膚の温度を測定する、というものです。
レイノー症候群の治療法は?
原因となる他の病気がある場合には、当然ながらその病気に応じた治療をする事になります。
レイノー現象自体への対処には以下のものがあります。
・手指を冷やさないように手袋をしたり冷たい水を避ける
・過労などを避ける
・血管を拡張させる内服薬や塗り薬を使用する
・症状が重い場合は、交感神経をブロックする注射や、交感神経遮断術を行うことも
何科に行けばいいの?
医療機関を受診する時には、何科に行けばいいのでしょうか?
本命としては「リウマチ科」や「膠原病科」です。
次点で「血管外科」。
上記の診療科が無い、という場合には仕方がないので「内科」です。
ここまで説明してきたようにレイノー症候群では、「膠原病があるかどうか?」が非常に重要な見分けになるので、膠原病科が本命の診療科です。
一般的な「内科」だと、医師の得意・不得意によっては、診断できるか微妙かもしれません。
以上、「末端の冷え-6」でした。
これで「末端の冷え」シリーズは完結です。
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末端の冷え1-なぜ冷えるのか?漢方は? (S3)
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