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ガイド34:末端の冷え(順次、公開)
末端の冷え1-なぜ冷えるのか?漢方は? (S3)
末端の冷え2-ツッコミ第一弾 (S3)
末端の冷え3-ツッコミ第二弾 (S3)
末端の冷え4-筋トレの部位は?(S3)
末端の冷え5-実は病気だった?!(S3)
末端の冷え6-レイノー って?(S3)(シリーズ完結)
末端の冷え5-実は病気だった?!
平熱シリーズでも病気について扱いましたが、「末端の冷え」も病気が関係する場合があります。
その場合には、通常の栄養対策では不足する事があります。
何かの症状が出た時には、常に「病気かも?」という視点を持っておくと、ハマらずに済みます。
実は病気だった?!
という事で、あらゆる症状には病気が隠れている可能性があります。
「末端の冷え」については、以下のような兆候・症候・疾患がある場合があります。
低血圧
貧血
膠原病(全身性エリテマトーデス:SLEなど)
甲状腺機能低下症
ASO(閉塞性動脈硬化症)
バージャー病
レイノー病
では、順にサラっと見ていきましょう。
(1)低血圧
低血圧は「代謝が低下」している状態なので、末端の冷えと同じ原因で起きます。
(2)貧血
貧血は鉄不足が「ほぼ必ず」同時に存在しています。このため、鉄不足によるエネルギー代謝がうまくいかなくなり、冷えが発生します。
(3)膠原病
膠原病は免疫が暴走しつつ、色々な病気が出るものです。
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎・多発筋炎、結節性多発動脈炎、混合性結合組織病の6疾患が「古典的膠原病」と呼ばれ、その他にもシェーグレン症候群、ベーチェット病、RS3PE、などが膠原病に含まれます。
(4)ASO (閉塞性動脈硬化症)
ASOは喫煙者・中年男性に多い、下肢の血管が詰まる病気です。かなり進行のスピードが早く、あっという間に下肢が青くなり、黒くミイラ化する場合もあります。基本的には薬では持ちこたえられず、すぐに人工血管に置き換える手術をしない限り、左右両方の下肢を切断するハメになります。
(5)バージャー病
バージャー病は、「Leo Buerger」によって初めて報告されたことから、その名前から「バージャー病(英語読み)」あるいは「ビュルガー病(ドイツ語読み)」と呼ばれています。閉塞性血栓血管炎 (thromboangiitis obliterans,略してT.A.O.)と呼ばれることもあります。四肢の末梢血管に閉塞をきたす疾患で、その結果、四肢や 指趾の虚血 症状(血液が十分供給されないためにおこる組織の低酸素症状)が起こる病気です。まだ分かっていない事が多く、日本でも難病指定になっています。
(6)レイノー病
そして、最後に「レイノー病」。
今回は、これについて主に扱っていきます。
レイノーってよく耳にするけど、何だろう?
レイノーとは、フランスの医師の名前(モーリス・レイノー、Maurice Raynoud/1834~1881年)です。
レイノー医師が、1862年にレイノー現象について最初に詳しく報告を行なったことから、彼の名前が使われています。
この「レイノー」と名のつくものには3つあります。
・レイノー現象
・レイノー病
・レイノー症候群
この3つです。
名前だけだと何が違うのか?分かりそうで、分かりませんよね。
ざっくり言えば、こうなります。
・レイノー現象:寒い時に手が真っ白・紫・赤色などになる「現象」の事。
・レイノー病:症状が「レイノー現象」のみで、他に病気が無いもの。
・レイノー症候群:症状に「レイノー現象」があり、他の病気があるもの。
では、順にこの3つを見ていきましょう。
どれも「末端の冷え」が起きます。
レイノー現象
暖かい室内から寒い屋外に出たとき。
冷凍庫に手を入れて冷凍品を取り出したとき。
そういった時に、手の指が白っぽくなった。
そんな事を経験した事があるかもしれません。
それが「レイノー現象」の「手前」や「なり始め」です。
白くなるまでだったら、まだ「正常」で、それだけなら「レイノー現象」ではありません。
「レイノー現象」の場合は「次」があります。
白の次に、紫や赤に色が変化します。
明らかにヤバい色です。
ここまでクルと、「レイノー現象」です。
単に白になるだけではなく、紫や赤になるのが「レイノー現象」です。
ヤバそうですよね?
「寒冷刺激」にさらされたり、「ストレス」があったときに。
手の指が白くなり、やがて紫や赤に色が変化する。
これが「レイノー現象」です。
レイノー現象は、その後、正常な状態から白、紫、赤そしてまた正常な状態に戻ります。
なお、紫色になっても、軽症であれば気がつかないこともよくあります。
白くなってから正常な色に戻るまでは、数分から15分ほどかかるといわれています。
主に手の指に現れますが、足の指にも起こることがあります。
レイノー現象で手が白くなるのは、手足の指にある細動脈が発作的に収縮して「虚血(きょけつ)状態」になっているからです。
虚血状態が続き酸素欠乏状態になると紫色になり、細動脈や毛細血管が拡張して「過還流(かかんりゅう)」となって指の色が赤くなります。
このため、白→紫→赤と色が変化します。
レイノー病とレイノー症候群は何が違うの?
原因となるような疾患がなく、
レイノー現象の症状しか現れないものを、
「レイノー病」と呼びます。
そして、逆に、原因になる病気があって、
レイノー現象が起こっているものが
「レイノー症候群」です。
レイノー現象を起こすもののうち、割合で言えば、レイノー病(原疾患が無い・分からないもの)が80%程度と言われています。
また、レイノー現象を起こすのは、中高年の女性に多いのも特徴です。
「違い」だけを言えば、こうなります。
レイノー病:他の病気が “無い“
レイノー症候群:他の病気が ”ある“
なお、レイノー病は、別名、「原発性レイノー症候群」、「特発性レイノー症候群」などとも言われます。
それと区別して、レイノー症候群を「二次性レイノー症候群」を呼ぶ事もあります。
この辺りは、専門家がゴチャゴチャ言っているだけなので、割とどうでもいいですね。
で、時々触れている事ですが、「原発性」や、「特発性」や、「本態性」というのは、医学用語で「原因が分かりません!」というのをソレっぽく表現するものです。
そう、原発性や、特発性や、本態性も、単に「原因が分かりません!」と言っているに過ぎません。
「分からない」と言っちゃうと、患者さんから信用されなかったり、医療者のプライドが許さないので、こういった「原発性」や、「特発性」や、「本態性」というソレっぽい用語が用意されています。
「ザ・権威」ですね。
何種類も「分からない」のを誤魔化すような言い方がある所に、医療・医学の未発達さと、医療者のプライドを感じますね・・・。
以上、末端の冷え-5、でした。
次の「末端の冷え-6」は、レイノー症候群の続きになります。
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末端の冷え1-なぜ冷えるのか?漢方は? (S3)
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