この記事は、有料オンラインサロン過去記事(シーズン1~3)の公開版です。
現サロン(シーズン4&5)に参加希望の方はコチラをご覧ください。
健診・検診は何をすれば?-3(シリーズ完結)
健診について書いていますが、繰り返し書いているのは「素人判断しない事」という事です。
医師でもない方が素人判断すると、大間違いになるかもしれません。
部分的な知識だけで、しかも人間のごく一面だけから健康状態を「分かった」と考えるのは、的外れになりがちです。
くれぐれも、素人判断だけで行動しないようにしましょう。
素人判断だけで行動しない
健診・検診シリーズ一覧
健診・検診は何をすれば?-1 (S3)
MCVが高い時は?(S3)
健診・検診は何をすれば?-2 (S3)
健診・検診は何をすれば?-3 (シリーズ完結)(S3)
健診・検診は何をすれば?-3
健診項目一覧の再掲
まずは、健診・検診で測定する項目の一覧を再掲します。
血算: WBC(白血球数)、RBC(赤血球数)、Hct(ヘマトクリット)、Hb(ヘモグロビン)、Plt(血小板)。炎症・アレルギーなどがあるなら「白血球分画(血液像)」も。
栄養: TP(総タンパク)。出来ればALB(アルブミン)も。
肝臓: GOT(AST)、GPT(ALT)、γ-GTP(γ-GT)、ALP。
腎臓: BUN(尿素窒素)、Cr(クレアチニン)。
脂質: TG(中性脂肪)、HDL、LDL。(TC:総コレステロールは不要)
代謝: UA(尿酸値)、HbA1c、BS(血糖値)。
TM(腫瘍マーカー): どうしても何か測りたいならCEA、男性は40代以降ならPSA。
便検査: 40歳以降なら、必ず便潜血2回を。
鉄: 女性なら絶対に鉄の検査。血清鉄、TIBC(またはUIBC)。できれば、フェリチンも。炎症があれば更にCRPも。
画像検査: 頭痛が酷いなら一度は頭部MRI。
では、3記事目の今回は、続きの「脂質」の項目からです。
脂質
検査項目: TG(中性脂肪)、HDL、LDL。(TC:総コレステロールは不要)
脂質は昨今の「経費削減・健診」でも、割と測定される項目です。
が、やはり上の3つ全てではなくどれかだけ、という事も増えてはきています。
TG、HDL、LDLの各項目については、ブログを参照してください。
3項目を簡単に分けて言えば、こうなります。
TG:エネルギー
HDL:コレステロールの回収係
LDL:コレステロールの配達係
なぜTCは測らなくていいの?
まだまだ現場では測定されている事の多いTC。
しかし、LDLが代わりに測られるようになり、TC(総コレステロール)は、過去のものになりました。
以前は、LDLコレステロールを直接測ることが技術的にできませんでした。
このため、TGとHDLとTCから計算で、LDLを算出していました。
しかし、検査技術の発達とともに、LDLを直接測れるようになり、不要な項目になりました。
TCをまだまだ測りたがる医師も多いですが、これには2つ理由があります。
・TCで基準値を見るのに慣れているから
・LDLの検査データはバラつきが多いから
とはいえ、TCから計算でLDLを算出する時、TGが高値などの場合だと算出したLDLの数値がアテにならなくなります。
このため、やはりTCではなく、LDLを直接測った方が有効でしょう。
さらに、TCが基準値以上で引っかかっていても、病的意義が無い場合も多くあります。
例えば、TGが食後で高いだけだったり、HDLが高いだけ、といった場合です。
これらの場合、病的な状態では無いのに、TCを測ったがゆえに「異常あり」とされてしまいます。
このため、むしろTCを測ってあると邪魔ですらある、という感じです。
代謝
検査項目: UA(尿酸値)、HbA1c、BS(血糖値)。
この辺りは健診では、割と定番です。
しかし、昨今の「経費削減」で、あっさり省略されている事もあります。
UA(尿酸値)は、高い場合、糖質オフとビタミンC 4,000mg/日の摂取をすれば、数ヶ月で低下します。
HbA1cとBS(血糖値)は、糖質オフで下がります。
TM(腫瘍マーカー)
検査項目: どうしても何か測りたいならCEA、男性は40代以降ならPSA。腫瘍マーカーは「早期発見」には全く向かないので、測っても「末期発見」しかできません。
一般の方の「誤解あるある」で、「腫瘍マーカーが正常なら、がんは無い」というものがあります。
が、これは間違いです。
殆どの腫瘍マーカーは、早期がんが全く分かりません。
早期のがんがあっても、全く腫瘍マーカーが高くなりません。
唯一、割と早期でも分かるのがPSAです。
PSAが正常なら、ほぼ前立腺癌はありません。
でも、気になるから何か検査したい、という場合にはCEAを測るといいでしょう。
最近では、腺癌というタイプの癌が増加傾向です。
CEAは、その腺癌で高くなる腫瘍マーカーです。
ただし、癌以外にも喫煙などでも上昇します。
CEA・CA19−9・AFPという3つをセットで、健診のオプションになっている場合もあります。
CA19−9は膵臓癌(これも腺癌の1つ)などで上がる腫瘍マーカーです。
AFPは、大腸癌などで上がる腫瘍マーカーです。
便検査
検査項目: 40歳以降なら、必ず便潜血2回を。
現代の日本人のほとんどが、毎日糖質まみれ、です。
そうなると増えるのが、大腸ポリープや大腸癌です。
40歳を過ぎると、大腸癌のリスクが高まります。
その大腸癌を発見するための最初の検査が便潜血検査です。
また、大腸ポリープは、放っておくと割とすぐに癌化します。
このため早く見つけて内視鏡でとっておくのが肝心です。
なお、便潜血検査は1回だと、癌を見逃す可能性が高い検査です。
キッチリ2回、しておきましょう。
便潜血検査は、キッチリ2回しておく!
また、1回陽性でも、次の年に陰性だったから大丈夫、と思う方もいます。
「健診あるある」です。
しかし、便潜血検査は見逃しが多い検査なので、翌年が陰性でもポリープや癌が無いという証明にはなりません。
1回陽性の翌年に陰性だったから大丈夫、ではありません。
1回陽性の翌年に陰性だったから大丈夫、ではない!
1回でも便潜血検査が陽性だったら、大腸カメラをしましょう。
癌や癌になりかけのポリープが見つかる事は非常に多くあります。
1cm以内程度の小さいうちなら、大腸カメラでとる事が出来ます。
大きく育つと、大腸カメラでは取れず、手術で大腸ごと切除しなければならなくなります。
また、ポリープでも、大きく育つにつれて癌化していきます。
早めにとってしまいましょう。
鉄関連
鉄: 女性なら絶対に鉄の検査。血清鉄、TIBC(またはUIBC)。できれば、フェリチンも。炎症があれば更にCRPも。
血清鉄、TIBC(またはUIBC)は、健診のオプションとして、医療機関で割と気軽に測ってくれます。
しかし、なかなか測ってもらえないのが「フェリチン」です。
健診のオプションで追加で測ってもらおうとしても「ウチではやってません」と断られる事も、多くあります。
その場合は、自宅で同日に簡易検査するのも手です。
「同日に」するのがポイントです。
自宅でフェリチン検査
また、フェリチンは、炎症や肝障害があると鉄が不足していても数値が高くなります。
このため、肝臓の数値や、炎症があれば更にCRPも測らないと正確な数値が分かりません。
画像検査
画像検査: 頭痛が酷いなら一度は頭部MRI。
ひどい片頭痛の原因は、多くは鉄不足です。
とはいえ、他に脳の病気が無いとは限りません。
このため、頭痛がひどい場合には、脳のMRIを1度は撮っておくと安心です。
なお、CTの場合は、脳を撮っても、あまり血管や腫瘍がうつりません。
このためCTを脳を撮って病気を見つけようとするなら、造影剤を使ってCTを撮る必要があります。
が、造影剤を使ったCTを撮ると被爆量が増えます。
そこまでするなら、元々情報量の多いMRIを撮った方が被爆もなくて済み、造影CTよりも多くの情報を得られます。
なお、胸部症状が何も無い場合、心電図、胸部X線は、殆ど意味無し、です・・・。
とはいえ、心電図も胸部X線も、大体が必須です。
まぁ、やっても損はないので受けておきましょう。
胸部X線検査では被爆しますが、1日分の太陽光の線量と同じ程度です。
心配ならビタミンCを多めにとっておきましょう。
また、CTは健診で撮るものではありません。
CTは、何かの症状があって病気を発見したい場合に撮ります。
というのも、そこそこ被爆するためです。
CTでの被爆は、線量的には1年間の日光で被爆する量と同じ程度です。
胸部X線は、太陽光1日の被爆量ですので、300倍以上の被爆となります。
やった事ないなら1回だけ
1回はやるといい検査が「ABC検診」というものです。
自治体によっては「胃がんハイリスク検診」などとも呼称しています。
これは、ピロリ菌の抗体と、胃が荒れているかどうか、を血液で調べる検査です。
他の採血検査のためにとった血液で、ついでに検査できますので、気軽に追加できます。
また、自治体によっては補助金が出てて、半額以下で出来る所もあります。
なお、23区内でも区によって補助金の有無が違います。
不要なもの
悪性腫瘍リスクマーカー(アミノインデックス)
認知症リスクマーカー(高感度CRPなどを調べるもの)
上記のように不要な検査・健診オプションもあります。
どちらも保険が効かず、お高い検査です。
また、結果も参考程度にしかなりません。
結局、対策は高タンパク糖質オフ、ビタミン、ミネラル。費用を、サプリや食費にしたほうが効果的です。
とはいえ、採血するだけの検査ですので、金銭的に高い以外のデメリットもありません。
お金が有り余っているなら、参考程度に受けてみるのはアリでしょう。
オプションで付けられない?
「会社の健診」だと、会社と病院で一括して契約されているため、オプションを付けられない事も多くあります。
その場合は「会社のお金でやる検査だから・・・」と思っておきましょう。
自分で健診や人間ドックを受ける場合は、割とお願いすれば検査項目を変更できます。
とにかくどんな病気も見逃したくない!
「とにかくどんな病気も見逃したくない!」という方もいる事でしょう。
しかし、これは現代では「不可能」です。
例えば、がんで最も小さい病巣もチェックできるのは、PET検査とCT検査を同時に行う「PET CT」です。
しかし、この検査でも「100%、全部発見!」とはいきません。
お高いリスクマーカーの検査も、あくまで「リスク」の数値が出るだけで、実際になるかどうか?は分かりません。
「発見」に限界があるなら、「予防」に注力するのが現状でのベストです。
高タンパク・糖質オフ、ビタミン、ミネラルなどで病気を寄せ付けない身体をキープしましょう。
以上、健診・検診シリーズの3記事目、でした。
これで、このシリーズは終わりになります。
健診・検診シリーズ一覧
健診・検診は何をすれば?-1 (S3)
MCVが高い時は?(S3)
健診・検診は何をすれば?-2 (S3)
健診・検診は何をすれば?-3 (シリーズ完結)(S3)
この記事は、有料オンラインサロン過去記事(シーズン1~3)の公開版でした。
現サロン(シーズン4&5)に参加希望の方はコチラをご覧ください。