糖尿病

SPTの解説一般向け

今回はSPTの一般向けの解説です。

大まかには別ページで説明した通りです。

糖尿病治療法の「SPT」って?SPTという糖尿病の治療法について。 SPTって何の事? SPTは「Spike Prevention Therapy...

 

 

SPT以外の糖尿病治療が一通り載っている書籍はコチラ。

 

食事やビタミンなども載っている糖質オフの書籍はコチラ。

 

SPT、軽く再説明

SPTは「Spike Prevention Therapy」の略で、
糖尿病の食後高血糖を抑える事を主眼に置いた治療法です。
世界で私が最初に提唱致しました。
(といっても各種の治療を組み合わせただけですが)

そしてその最大の目的はインスリン注射から内服薬への切り替えです。

 

SPTの最大の目的は
インスリン注射から内服薬への切り替え

 

インスリンの分泌能力が残っている場合には、
HbA1cをキープしたまま、物凄く切り替えられます。

とはいえ、
さすがのSPTでもインスリンの分泌能力が完全にゼロの場合には、
インスリンの離脱はできません。

 

SPTでも
インスリンの分泌能力が完全にゼロの場合には、
インスリン注射からの離脱はできません

 

内服薬で副作用がなければ初回でインスリンは中止できた事もありました。

もちろん糖質オフなどの食事療法も同時に指導開始しています。

 

なぜインスリン注射からの離脱を目指すのか?

 

なぜ、インスリンから内服へ切り替えるのでしょうか?

従来は「糖尿病なら早めにインスリン注射の導入」が常識でした。

昔は私もそう指導して、患者さんが良くなるように一生懸命インスリンの指導をしていました。

現在でも多くの医師は「早めにインスリン」のままでしょう。

 

傷や熱傷の湿潤療法と同じ流れです。

未だに某大学病院ではゲーベンを使っていますし、カソデックス、ユーパスタ、イソジンなどにさらされている患者さんも多くいます。

某大学病院からは湿潤治療をしている小さな医療機関に患者さんが逃げてきます。
曰く、「痛いし治らない」。

 

同様のことが糖尿病でも起こっています。

専門医の所から「インスリンを打っていても良くならない」と糖質オフに詳しい医師の元へと患者さんが移ったりします。

糖尿病、湿潤療法について、従来式の治療の治療を受けている場合は、主治医を変えましょう。

医師を説得しようとして消耗するのは、もう終わりにしましょう。

医師の考えを変えるのはとても大変です。

 

インスリン注射からの離脱を目指す理由、その1

 

さて、従来の「早めにインスリン注射導入」
「インスリンを打って、膵臓を休ませてあげよう。β細胞が死なないようにしよう」
というコンセプトでした。

β細胞については以前の投稿を参照ください。

膵臓のβ細胞について今回は、インスリンを分泌してくれる大切な 膵臓の「β細胞」 について。 (元記事公開日:2015年6月7日)2...

 

しかし、この流れに大きな影響を及ぼした研究がありました。
ACCORD試験です。

詳細は例によって偉大なる江部先生が書いてくれています。

これは、インスリンやSU剤による強化療法で死亡率が上がるという結果です。

「SU剤」という内服薬は、
「膵臓のβ細胞から強制的にインスリンを出させる薬剤」で、
持続型インスリンを打った時のように血糖値が下がっても、
さらにどんどん血糖値を下げる薬剤です。

つまり、インスリンやSU剤で治療して、
ガッチリHbA1c値を下げると低血糖で死んでしまう可能性が高い
という事です。

これがインスリン注射から内服薬(SU剤を除く)に切り替える理由の1つ目です。

 

 

インスリン注射からの離脱を目指す理由、その2

 

さらに2つ目の理由があります。

講演会で述べました様に、インスリン自体に問題があります。

太る、アルツハイマー型認知症になりやすい、文明国型の癌になりやすい。

さらに、血糖値やHbA1cがよくてもインスリンやインスリン分泌促進性薬剤を使っていると眼底出血したりすることがあります。

また尿蛋白が出続けて、糖尿病性腎症の改善がみられない事があります。

これが2つ目の理由です。

インスリン自体によって臓器障害や様々な弊害が考えられるからです。

このためインスリン注射から離脱する事で、
過量のインスリンによる健康障害を減らせたり、避けたりできる可能性があります。

 

 

SPTのまとめ

 

ではまとめです。

なぜSPTを使ってインスリンから内服へ切り替えるのか?

1.インスリンで治療強化すると低血糖で死亡するリスクが高いから。
2.インスリン自体によって臓器障害などが起こるから。

 

SPTによりインスリン注射離脱のその後は?

 

このように、インスリンから内服へ切り替える場合、まずSPTを使います。

SPTでインスリンから内服へ切り替えた後は、
どうしたら良いのでしょうか?

SPTに切り替えても食事の糖質が控えられない人は薬山盛りのままとなります。

もしくはさらに薬が増えたりします。

また、糖質を摂り続ける場合、
糖質による膵臓への負担で膵臓のβ細胞がますます過労死していきます。

すると、インスリンの分泌能力がいよいよ足りなくなり、
再びインスリン注射に戻ってしまう事があります。

こうなってくると、もう2度とインスリン注射からの離脱は望めません

「糖質を摂り続ける」というご自身の選択と行動の結果です。

 

さて、糖質をきちんと控え続ける事ができた場合はどうでしょうか?

SPTに切り替えて、HbA1cも落ち着いてきら、次のステップに進みます。

 

次はインスリン・オフ療法です。

 

インスリン・オフ療法についてはコチラ。

インスリン・オフ療法って?今回はインスリン・オフ療法について。 ※名前変更について 2015年6月20日に当初この記事を書きましたが、翌年の2016年...

 

以上、SPTの一般向け解説でした。

ABOUT ME
医師水野
内科医。2003年に医師免許取得(医籍登録)。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 その後、糖質オフやビタミン・ミネラルなどの情報をブログ、Facebook、YouTubeなどで発信。 監修本「糖質オフ大全科 (主婦の友社)」が中国でミリオンセラーに。 著書は「糖尿病の真実~なぜ患者は増え続けるのか~ (光文社新書)」「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法(エクスナレッジ)」「薬に頼らず血糖値を下げる方法(アチーブメント出版)」、など。