今回は「採血で貧血を指摘」された時について。
他の、鉄や貧血についての記事はコチラ。
総まとめ
鉄や貧血のジャンルの記事
https://mizunodoc.jp/archives/category/鉄関連
この記事のきっかけは、「採血で貧血指摘→貧血にオススメは?」の回答が、まさに「地獄への道は善意で敷き詰められている」=「善意の不全」そのものだった・・・
見事なまでに、ほとんどが間違いだらけでした・・・。
はじめに注意事項
以下の事項は「血液疾患」などの特殊な「貧血」ではなく、一般的な貧血についての記載です。
また注意事項が多数ありますので、よく、しっかり、確実に読み込んで、熟読して下さい。
9割以上の方がきちんと読み込まず、誤解します。
(繰り返し)
以下の事項は「血液疾患」などの特殊な「貧血」ではなく、一般的な貧血についての記載です。
また注意事項が多数ありますので、よく、しっかり、確実に読み込んで、熟読して下さい。9割以上の方がきちんと読み込まず、誤解します。
必ず精密検査を!
「採血で指摘されるほどの貧血」には必ず「原因」があります。
「原因」を放置していては、「治る」事はありません。
まず、「便潜血検査」や「婦人科受診(エコー検査含む)」などで「貧血の原因」を精密検査してもらう事が必須です。
それらの精密検査で異常がない場合、というのが今回の内容です。
貧血の原因が大切!
医療機関にしっかり受診していても、「貧血の原因」を全く調べられていない方を、かなり多く見かけます。胃や腸からの出血や、女性の場合には生理の出血が多い、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫などの婦人科疾患が原因にある事が殆どです。
胃カメラ、便潜血検査、女性は婦人科で子宮と卵巣のエコー検査(超音波検査)を、一度は受けておきましょう。
貧血への対策、一覧
では、その「特殊な貧血ではない貧血」への対策です。
<正解>
「高タンパク(ホエイプロテイン必須)」と「キレート鉄」
<惜しい>
レバー、牛肉、豚肉、鶏肉
<不足>
鉄入りラブレ、国産鉄サプリ(ヘム鉄)、ソイプロテイン
<無効>
高麗人参、ほうれん草、小松菜、カツオ、ミネラル入りの水、ヒジキ、サジー
<大間違い>
・「鉄分より血流の悪さ」
・「鉄サプリで鉄過剰がヤバい」
<有害>
酸素吸入
「正解」の解説
正解:「高タンパク(ホエイプロテイン必須)」と「キレート鉄」
採血で貧血を指摘されるくらいの場合、重度のタンパク質不足と、重度の鉄不足が必発です。
「貧血」は、鉄不足だけでなく、赤血球やヘモグロビンを作る「タンパク質」も不足している状態です。
こうなると、タンパク質不足がひどすぎて、食事から充分なタンパク質を摂る事ができません。
プロテインはホエイプロテイン
そこで胃腸への負担が少なく、消化・吸収が良い「プロテイン」を併用する事が必須となります。
また「タンパク質不足」や「鉄不足」がある人にかぎって、プロテインも「植物性」のものを選んでしまいます。
「植物性」のプロテインは、動物性のプロテインによりも、消化・吸収の効率が低いです。
「植物性」=「ヘルシー」というのは全くの「迷信」です。忘れましょう。
重度のタンパク質不足の場合は、効率の良い「動物性のプロテイン」=「ホエイプロテイン」を摂りましょう。
なお、「ホエイ」は「乳清(にゅうせい)」の事で、ヨーグルトでよく上にたまっている透明な上澄みの部分です。
高タンパクの必要量は?
プロテインスコアで計算します。
「日本食品標準成分表」の「タンパク質」量では、不足します。
プロテインスコアはコチラ。
鉄不足で糖質依存
また「鉄不足」があると「糖質依存」もほぼ必発です。「糖質依存」も「タンパク質不足」と「鉄不足」が解消されれば、自然と消えます。
詳細はコチラ。
「鉄不足で糖質依存」
キレート鉄
また、鉄は「キレート鉄」一択です。世界では「キレート鉄」が標準です。
単に「鉄サプリ」と言えば、「キレート鉄」の事です。
高くて鉄の量が少な過ぎて役に立たない「国産鉄サプリ」は「ヘム鉄」です。後の部分で詳記します。
日本は鉄に関して「異常事態」となっています。
キレート鉄は以下のものなどがあります。
チュアブルタイプ、チェリー味、鉄27mg錠(ラムネみたいに噛んで食べられるもの)
(iHerbの仕様でリンクが効かないので手動コピペを→iherb.co/mAe6aes7)
サプリ慣れしていない方は、チュアブルタイプが続きやすいです。
NowFoodsの鉄36mgカプセル
(iHerbの仕様でリンクが効かないので手動コピペを→iherb.co/t7pVYgpR)
NowFoodsの鉄18mgカプセル
1カプセル36mgのがキツイ(受け付けない)場合は、半分量のもあり。
(iHerbの仕様でリンクが効かないので手動コピペを→iherb.co/bszSbF39)
「iHerb」でこの鉄サプリが売り切れている場合は、ほかの「iHerb」の鉄サプリでもOK。
某医療機関がすすめる「お高いヘム鉄」を飲む必要は全くありません。
「ヘム鉄」は日本だけのローカルサプリで、「採血で指摘される程の貧血」では全く役不足です。
数年間飲み続けても、全く鉄不足が解消されていなかった症例を何例も実際に診ました。
必ず精密検査!(再掲)
冒頭にも書いたように、必ず「精密検査」を受けてください。
中高年の場合、胃腸や婦人科系の「癌」が原因の貧血もよくあります。
実際に私の診た患者さんでも、何人も貧血からの精密検査で癌が見つかった事があります。
必ず「精密検査」を受けてください。
中高年の場合、胃腸や婦人科系の「癌」が原因の貧血もよくある。
男性は「便潜血検査」、女性は「便潜血検査」に加えて「婦人科受診」です。子宮や卵巣のエコー検査もしてもらってください。
貧血の精密検査は、男性は「便潜血検査」、女性は「便潜血検査」に加えて「婦人科受診」(子宮や卵巣のエコー検査は必須)。
鉄サプリで貧血が進行!
鉄を飲めばそれで大丈夫、という事もありません。
国産鉄サプリの1日量の10倍~30倍に相当する「鉄100mg」を毎日摂っても、貧血が進行する場合があります。
それは鉄補充により血液が増えた事で、「原因となる病気」からの出血が増える事があるためです。
特に、子宮筋腫があったり、過多月経のある女性では、かなりの頻度で「鉄補充してるのに貧血と鉄欠乏が進行」する事があります。
必ず、医療機関で定期的に採血をしてもらってください。
はじめは1ヶ月単位で、落ちつていてきたら3ヶ月単位、といった間隔です。
重度の過多月経に対するピル
鉄300mgを毎日飲んでいても、全く鉄欠乏が改善しない「過多月経」の女性の方も意外と多くいます。
ご本人にきいてみても「そんなに出血しません」という、本人に自覚がない出血をしている場合も多くあります。
この場合も、婦人科受診は必須です。
また、日本では普及が遅れに遅れている「ピル」もこういった場合には、充分メリットがあります。
ただし、日本の産婦人科のドクターは「ピル否定派」がほとんどですので、理解のある医師を探して受診する必要があります。
「惜しい」の解説
「レバー、牛肉、豚肉、鶏肉」などの肉類は「タンパク質不足の解消」に役立ちます。
しかし、既に「採血で指摘される程の貧血」がある場合は、充分量のタンパク質を肉類で摂る事ができません。
胃腸自体も消化液もタンパク質で出来ているため、重度のタンパク質では、肉類を消化・吸収する力がありません。
このため、まずはプロテインを少量頻回から飲む事が必須となります。
「不足」の解説
・鉄入りラブレ:「ラブレ鉄」が含まれています。「タンパク質」ものすごくヒドいと、「キレート鉄」すら摂るのが難しい場合があります(胃がムカムカするなど)。
その場合には、「プロテイン少量頻回」と「ラブレ鉄」から始めるのもアリです。
タンパク質が解消されてくると、「キレート鉄」が摂れるようになります。
タンパク質の解消には、概ね1~3ヶ月はかかります。
・国産鉄サプリ(ヘム鉄):「採血で指摘されるほどの貧血」の場合、店頭で売られているような「国産鉄サプリ(ヘム鉄)」では、鉄の量が全く不足します。
また国産鉄サプリは「ヘム鉄のmg数」がデカデカと記載されており、ちっちゃく「鉄として3mg」などと記載されています。
そのちっちゃく書かれている「鉄として」の量が重要です。
その他、日本独自の「鉄に関する異常事態」はコチラを。
ほんっっっとにおかしい事になっています。ご注意ください。
・ソイプロテイン:プロテインを飲まないよりは良いですが、やはり低効率のためなかなかタンパク質不足が解消されません。ホエイプロテインを飲みましょう。
「無効」の解説
・高麗人参:「何か元気になる」イメージの高麗人参ですが、特にタンパク質も鉄も含まないため、一時的に「何となく効いた気がする」事はあっても、貧血の改善には全く役に立ちません。
・ほうれん草、小松菜:植物の鉄(非ヘム鉄)は動物の鉄(ヘム鉄)の5~6分の1しか吸収されません。
つまり、動物の鉄と同じくらい摂ろうとした場合、5~6倍の量を摂る必要があります。
ほうれん草の鉄は、100gあたり4mg程度です。
植物性の鉄を含む「ほうれん草」から、100mgの鉄を摂ろうとすると、250g×5=1250gとなり、1日に1kg以上となり、全く現実的ではありません。
「ホエイプロテイン」と「キレート鉄」を摂りましょう。
・カツオ、あさり、牡蠣(かき):こららも他の食物に比べれば鉄が多めです。
また含まれている鉄の形も動物性のもの(ヘム鉄)なので植物の鉄(非ヘム鉄)よりは吸収は良いです。
しかしながら含まれている量自体が、100gあたり、数mgに過ぎません。
カツオの場合、100gあたりの鉄は2mg程度です。
「採血で指摘される程の貧血」では、最低1日に100mgの鉄が必要です。
1日にカツオ500g以上になります。
・ミネラル入りの水:必要なのは「タンパク質」と「鉄」です。鉄ではないミネラルをいくら摂ったとしても、貧血の改善には全く役に経ちません。
・ヒジキ:以前は「鉄鍋」で調理されていたため、100gあたり数mgの鉄がヒジキに含まれていました。
現在のヒジキはほとんどが「アルミ鍋」で調理されていたため、鉄はほとんど含ません。
黒いからって鉄を含んでいる訳ではありません。
どれたけヒジキを摂っても、鉄不足は解消されません。
・サジー:「サジー」というのは、「スーパーフルーツ」などといわれる果物のピューレ的なもの。
英語では「シーバックソーン(Sea buckthorn)」。
グミ科の落葉低木の果実です。
砂漠緑化などにも利用されています。
で、元が果実なのでタンパク質は当然ほぼ含んでいません。
鉄は1回量で2mg程度。
しかも「植物の鉄」なので吸収もイマイチ。「貧血を採血で指摘」される重度の貧血の場合には、全く効きません。
「貧血を採血で指摘」される状態は、そもそも食物からの鉄では間に合わない状態です。
メディアでもてはやされても、実態はこんなものです。
「大間違い」の解説
・「鉄分より血流の悪さ」:「鉄分より血流の悪さ」というのは全くの間違いです。
「採血で指摘される貧血」は実際に、血液(血色素)が足りない状態です。
「血液の量(血色素量)」と「血流」は全く別の話です。
減ってる血液(血色素)が増えて、はじめて健康になります。
・「鉄サプリで鉄過剰がヤバい」:「因果の逆転」という統計結果の間違った解釈から生まれた誤解です。
詳細はコチラ。
・「キレート鉄はヤバい」:日本だけの迷信です。世界は「キレート鉄」です。
ほんとに日本は鉄に関しては異常です。
その他、日本独自の「鉄に関する異常事態」はコチラを。
「有害」の解説
「酸素の吸収」をしても、貧血は全く治りません。
その吸ったときのみ、「効いてる感じがする」程度のいわゆる「プラセボ効果(偽薬効果)」しかありません。
さらに、余計な酸素を吸う事によって、身体が酸化(錆びる)ので「有害」です。
一般的な貧血の対策は「原因への対処」と「タンパク質と鉄の充足」です。
フェリチンの検査
なお、フツーの医療機関では、まず初回に「フェリチン」を測ってくれません。
つまり、採血してもらっても鉄欠乏があるかどうか、分かりません。
貧血があればイコールヘモグロビン値が低ければ、2回目以降の採血でフェリチンを測ってくれるかもしれません。
よく医療機関を調べたり、選んだりして、受診してください。
「フェリチンを測ってください」と言うだけで、「怒られた」という方も多数います。
人間ドックでのオプションで頼んでも断られた、という事例も多数あります。
以上、「特殊な貧血ではない」一般的な貧血の対策、でした。