糖質オフライフ

糖質オフでどうなりたいのか?

今回は糖質オフの目的について。

糖質オフをしたいのですが、
どれ位まで糖質をオフしたほうが良いのですか?

 

上記の様な質問がよくあります。

これに対する答えは「目的による」です。

 

という事で各パターン毎に大体の糖質オフの仕方について、ごく大雑把にアバウトに書きます。ええ、物凄くザックリと。

 

 

パターン1:何かやせたい的な?

 

今ある体脂肪は、糖質摂取から来ています。
糖質を減らしましょう。

なんとなく減らしたい、程度なら、糖質も何となく減らす程度で良いです。

 

今MAXメタボでガツンと減らしたいなら、3食ともコメ・メン・パンを抜きましょう。

さらにお急ぎプランの場合は、脂質もやや控えめに。

 

動物性蛋白質をメインに食べると、脂質も一緒に摂れるので気にしなくて良いです。

つまり、追加でバターやラードを摂らないという事です。

 

ココナッツオイルなどの中鎖脂肪酸は追加でとっても良いかもしれません。

食事の3時間前に摂取すると効果的です。
ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸が3時間でケトン体へ代謝されるためです。

 

ただし、体質などによっては逆に脂質を増やした方がやせる方もいます。

ケトン体・脂肪酸システムがうまく回らない方などです。
高蛋白・低脂質でうまくいかない方は、中蛋白・高脂質も試す価値ありです。

 

コメ・メン・パン以外にも糖質量が多いものもあるので、私謹製のA4説明書を見てざっとチェックしましょう。

 

 

さらにステップアップするなら江部先生の糖質量ハンドブックを見るべし。信頼できます。

 

 

3食ともコメ・メン・パン抜きの場合、脂質がうまく使えない体質の方はフラつきやダルさが出ることがあります。

 

この辺りは動画でも説明しています。

 

 

そんな時は、タンパク質摂取を強化し、鉄不足がある場合は鉄の摂取が有効です。

鉄不足があるかどうかは、医療機関で採血検査をしないと分かりません

 

しかし、困ったことに「鉄不足があるかどうか?」をきちんと判断できる医師はほとんどいないのが現状です。

鉄不足があっても鉄は充分と言われたり、貧血がないので測る必要は無いと言われて検査すらしてもらえなかったりします。

 

 

パターン2:ムキムキにもなりたい!

 

オッス、ウッス、マッスル!!
(体脂肪を減らしたい方含む)

こんな事言う方はいないとして(何故書いた)、やはり筋肉、マッスル、という方はいるかと思います。

 

いいですよね、筋肉。(太字強調)

 

また既に標準体重かそれ以下だけど体脂肪を減らしたいという方もいるかと思います。

まず、大前提として運動が必要です。
筋トレです。

 

食事後に運動するなら、その分は糖質を摂っても良いという考え方もあります。

運動で消費できるなら血糖値も上がらず、インスリンも出ず、健康的にも大丈夫というものです。

 

その場合、注意するのは血糖の上がってくるタイミングです。

食事開始から30分で血糖は上昇してきます。

つまり、食事開始から30分たつと血糖上昇かそれを防ぐためにインスリンが出るので、高インスリン血症の害がある、という事です。

 

とはいえ、体脂肪を減らす、という段階なら元々健康的でしょうから、そこまで神経質にならなくとも筋肉に集中すれば良いかもしれません。

それでも液体の糖質(ジュース類)は避けましょう

ジュース類は5分で血糖値が上がり始め、30分で全部血糖となっていしまいます。

通常の食事が30分で血糖値が上がり始めるのに、ジュースは30分で全部血糖になってしまいます。飲むべきものではありません。

 

飲みながら運動すれば消費できるかもしれませんが、そうでなければ避けるべきです。

あとは運動、頑張ってください。

運動については私に聞いてはいけません(笑)

 

 

パターン3:運動してます。でもカロリー不足っぽいんです。

 

まず、カロリー
忘れましょう、こんな言葉。

 

カロリーがどうこうは、単なる神話です。
こんな考えは「燃やさないゴミ」へ。

 

あー、そういうお話もあったよね的(昔を懐かしむ遠い目)なものです。

カロリーってどうやって決まるか知っていますか?

カロリーの定義は「1グラムの水の温度を標準大気圧下で1℃上げるのに必要な熱量」です。

 

つまり、燃やして水をどのくらい温めるか?なのです。

体の中で、火をつけて燃やしていますか?

バカバカしいでしょ。
大前提の定義からしてズレています。
お話にならないレベルです。

体内では酵素的な代謝でエネルギーを得ています。

体内での代謝は、燃やした時に水をどのくらい温めるか、なんて全く関係ありません

 

私は、カロリーという言葉すら言いません。
エネルギーと言っています。

もうホント、ここらへんの話は夏井先生の本、
「炭水化物は人類を滅ぼす」
にも載っています。さすがの夏井先生。

また、1つの料理のカロリーの決め方知っていますか?

材料から計算する方法が1つ。
各素材について、燃やしてカロリーを計算した数値があちこちにあります。
それを足し算したりして材料から計算する方法。

もう1つカロリーの決め方があります。
料理まるごと燃やしてカロリーを決める方法です。
特殊なマシーンが必要です。お高いです。

そして驚くことに、この材料から計算する方法と、丸ごと燃やす方法数値がズレます必ずと言っていいほどズレます

 

そして、当然丸ごと燃やす方が正確ですが、いちいち作って丸ごと燃やす、なんてことはほとんど行われていません。

この時点でズレています。結構ズレています。

どれほどアテにならないんだ、カロリー計算・・・。

 

さらにカロリーは、そもそも人体を考えてなさすぎです。
というか全く人体の事は考えていません
なぜなら燃やした時の話ですから。

食べたものがどれくらい消化吸収されるかは、どれくらいエネルギーを使っているかに関係しています。

つまり、あまり食べなくて省エネモードの人は、あまり消化吸収しません。

逆に運動してエネルギー消費が多い人の場合は、消化吸収が活発になります。

でも、カロリーは一定値です。だって燃やした時の話ですので。

カロリーは消化吸収による差異を全く無視しています。

 

とても人体に当てはめる数値ではありません。

 

さらに、

「調理」によっても消化吸収は変わります

焼いただけで消化吸収はグッと良くなります

 

これもカロリー計算では考えに全く入っていません。
人体の実態とはズレまくりです。

 

結論:カロリーなんて忘れましょう

 

こんなものに振り回されるなんてバカバカしいでしょ?

 

 

では、どうやって食べたらいいの?

 

運動してるから、エネルギーいっぱいいるんでしょ?
そうです。

 

では糖質オフで運動している人で、「エネルギーをもっと増やしたいな」的な方はどうしたら良いのでしょうか?

蛋白質と脂質を摂りましょう。

 

蛋白質は植物性蛋白質だと筋肉になりにくいです。

動物性蛋白質を摂りましょう。肉・魚・卵・チーズです。

何でも植物性が体に良いというのも神話でした。

 

動物性の方が身になりやすいのです。

 

脂質も充分とりましょう

スタミナがあるかどうか、は、
脂質代謝が上手いかどうか、
脂質を充分に摂っているかどうか、
です。

 

糖質なんて、食べても運動すれば1〜2時間で尽きます。
その後、体は脂質で動いています。

 

つまり油を上手に使えるようになればスタミナがアップします。
テニスのトップ選手などはすでにこの方法を取り入れています。
糖質摂りません。

特に激しい運動が予測される場合には、
「前日の寝る前」「当日の朝」の2つのタイミングで
脂質をいつもより多く摂る事が必須です。

そうしないと途中でスタミナが尽きます。

 

 

実際に、登山、マラソン、テニスなどをしている方で、「前日寝る前」と「当日の朝」の2つのタイミングでの脂質強化で、スタミナが尽きなくなったという事例があります。

 

脂質も動物性脂質を摂りましょう。

バター、ラード、牛脂、生クリームなどです。

生クリームを1パック、一気飲みしても大丈夫です。

 

また植物性でしたら、熱に強いオリーブオイル、ココナッツオイルが良いです。

荏胡麻油(えごまあぶら)、紫蘇油(しそあぶら)、亜麻仁油(あまにゆ)も良いですが、熱に弱いのでドレッシングなどにして加熱せずに摂りましょう。

他の加工してある植物性油はトランス脂肪酸があり動脈硬化するのでお勧めしません

 

サラダ油、キャノーラ油、グレープシードオイル、ホイップクリーム、マーガリン、トクホのエコナやリセッタやサララなどです。

即刻、家から捨てましょう

 

また油は病気になるんじゃ?という考えも浮かぶかと思います。
なりません。

動脈硬化、認知症、癌、どれとも関係ありません。
脂質はきちんと選択すればヘルシーなのです。

となると、次の質問はこうです。

 

蛋白質と脂質を摂るのは分かりました。
どの位食べたら良いのでしょうか?

 

脂質については「自分で量を色々と試す」のが方法です。

特に摂取するべき量の指針が何もないのが脂質なんです。

栄養学が遅れに遅れている分野です。

 

タンパク質については「プロテインスコア」で計算すると良いでしょう。

 

まとめ
運動している人は
動物性蛋白質と、良質な脂質を摂りましょう。

 

きっちり脂質代謝ができるようになると、スタミナが違ってきます。

 

 

パターン4:糖尿病デビューしています。

 

β細胞の所で書きましたように

糖尿病と診断された時点で、何割かはβ細胞が死んでしまっていると言われています。

 

 

そしてこのβ細胞を増やす方法は現在はありません

糖尿病になりかけ(糖尿病予備群)の状態なら、まだβ細胞は全部無事かもしれません。

 

残りの膵臓の機能を知りたい、という方もよくいらっしゃいます。

これには糖質を摂取しつつ血糖値を測る糖負荷試験や、糖質をとりつつ1日の尿を貯めて検査する尿中Cペプチド検査が必要です。

どのみち、糖質を摂るのでお勧めしませんし、私はオーダーしません。

 

また、お薬が既に処方されているかもしれません。
インスリンも既に打っているかもしれません。

内服薬・インスリンが出ている場合は、必ず糖質オフに理解のある主治医の元で糖質オフを開始しましょう。

低血糖で倒れます。

そのまま発見されなければ死亡します。

長時間発見されなくて、脳梗塞後のようにしゃべれない・手足も動かないという方も診たことがあります。

 

 

糖尿病の場合も目指すは3食ともコメ・メン・パン抜きです。

血糖値が上がる食べ物を食べていて、血糖値が下がるハズがありません。

糖質を食べているうちは薬が必要ですし、その薬もドンドン増えます。

なぜなら残り少なくなった膵臓のβ細胞が、さらに過労死していくからです。

 

自分でインスリンを出せないなら、他から助けが必要になります。

それを避けるために3食ともコメ・メン・パンを抜きましょう。

 

コメ大盛りの方はまず半分にするところからでも良いでしょう。
夕食のコメ・メン・パンをやめるところからでも良いでしょう。

可能な範囲で「まず今日から」始めましょう。(インスリン・内服のある方除く)
インスリン・内服のある方は医師探しから始めましょう。

 

パターン5:癌と診断されました。

 

初めに確認すべきはコレです。

ポイント1:糖質は癌細胞のエサ。

 

癌細胞は糖質をメイン・エネルギーとします。
蛋白質や脂質はあまりつかいません。
糖質を摂取することは、癌細胞にエサをあげることになります。

 

ポイント2:糖質摂取でインスリンも分泌。

 

また、糖質をとるとインスリンが分泌されます。
このインスリンは細胞を増やす働きがあるホルモンです。

癌細胞は体内で毎日発生していると言われています。

ですが、免疫細胞(NK細胞など)がその癌細胞を処理してくれています。

 

そこにインスリンがあったらどうなるでしょうか?

癌細胞が増えやすくなり、免疫細胞での取りこぼしが生じてしまいます。
そして癌へと育つ可能性が増えます。

癌細胞、増やしたいですか?

 

ポイント3:糖質オフでケトン体増加。

 

さらに糖質オフをしっかりすると脂質を分解してできるケトン体が血中で増えます。

このケトン体が癌の増殖を抑制する可能性が示唆されています。

 

糖質オフをするとトリプルで癌に良い可能性があります。

 

 

とはいえ、今ある癌細胞をなくす、というものではありません。

でも、糖質まみれなままよりは、ずっとずっと良いと考えています。

糖質オフを、さらに、できれば糖質0gの断糖を。

 

断糖については用語解説をご参照ください。

 

癌にかかった場合の食事は、やはり糖質オフ・断糖が現状でベストだと考えています。

糖尿病にも癌にも良い効果が期待できます。

変な「お高い」サプリや、素人さんによるインチキ療法にすがる前に断糖を。

 

 

以上、どうなりたいのか?でした。

ABOUT ME
医師水野
内科医。2003年に医師免許取得(医籍登録)。 両親とも糖尿病家系。2度肥満だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。 その後、糖質オフやビタミン・ミネラルなどの情報をブログ、Facebook、YouTubeなどで発信。 監修本「糖質オフ大全科 (主婦の友社)」が中国でミリオンセラーに。 著書は「糖尿病の真実~なぜ患者は増え続けるのか~ (光文社新書)」「1年で14キロ痩せた医師が教える 医学的に内臓脂肪を落とす方法(エクスナレッジ)」「薬に頼らず血糖値を下げる方法(アチーブメント出版)」、など。